★[感想]踊る大捜査線(01)~ サラリーマン刑事と最初の難事件

2020年12月20日刑事ドラマ, 感想

サラリーマン刑事と最初の難事件

データ

初回放送:1997年01月07日
初回視聴率:18.7%
演出:本広克行
ゲスト
  田中文夫(鍵の束を持っていて事情聴取される男):近藤芳生
  暴れる男:山崎邦正
  須川圭一(ゲーセンで万引きした小学生):森廉
  警察学校校長:伊藤眞
発生した事件
  ゲーセン万引き少年事件
  会社員殺人事件(雪乃の父親が殺される)

感想

取調室で被疑者と二人。昭和の刑事ドラマのような尋問、そんな自分に酔ってるような青島刑事。上からの声に中断され、これは刑事の適正テストだったことがわかります。

モニター越しに取り調べの様子を見てた幹部たちは「いつの時代だ」、「刑事ドラマに見過ぎ」と揶揄しますが、青島本人は満足げ。湾岸署への配属が決まります。そして派手なタイトルバック。懐かしい~。

導入部、今までの刑事ドラマとは違うんだぞ!というアピールが巧み。バババババッ。マグショットでメインキャストを紹介、間にその回のハイライトシーンを入れ込むタイトル。引き込まれます。

話のメインは柏木雪乃の父親が殺された、会社員殺人事件。その中で、このドラマのメインキャラ達の紹介が、さらりとなされます。

IT会社の営業を辞め、ワクワクしたいために、巡査から刑事になった青島(織田裕二)。

男勝りの刑事課盗犯係。でも「私のうしろに立たないで」、過去の事件を引き摺るすみれ(深津絵里)。

もうすぐ定年、青島と同じ刑事課強行犯係。青島にリアル モーガン・フリーマンと言わしめた湾岸署の重鎮、和久(いかりや長介)。やはり引き摺られてる事件あり。・・・今頃、志村けんと会ってるのかなぁ。

湾岸署に研修配置されてるキャリア、真下(ユースケ・サンタマリア)。なんか貧相、昇進試験の勉強中。周りから気を使われています。『『ぷっ』すま』放送開始は翌年、1998年です。

本店(警視庁)の管理官、室井(柳葉敏郎)。重要事件の捜査を指揮する。青島はその姿に憧れるも、その強引さと非情さに疑問を持つ。この頃はまだ仲が良かったのかな。
 

 
鍵の束を持っていた男の取り調べ。青島が事情聴取したのは、営業マンの田中文夫(近藤芳正)。大人しい田中と、捜査が出来なくて鬱憤の溜まってる大島。しゃべっているのは、もっぱら青島。

「仕事は?」
「港南保険の営業やってます。」
「営業?」
「外回りです」
「僕も昔、営業やってたんだ」
「警察に営業があるんですか?」
「いやいや違うよ、警官になる前」
「そうですよね」
「警官、手錠売ったりしないでしょ。丸の内の企業に営業かけて、パソコン売ってた」
「そうなんですか」
「こう見えてもさ、けっこう成績よかったんでね。2年トップ」
「じゃあ、脱サラして刑事に」
「営業やってて、やんなっちゃってさ。毎日毎日同じ人のところに行って、ぺこぺこぺこぺこ頭下げて、僕には耐えられなかった。君もでしょ」
「僕は別に」
「うそうそ。生活マンネリで刺激なくて、毎日つまんないくせに」
「そんなことないです。楽しいですよ」
「営業先のお得意さんに言われたよ、君が来ると、うちの社員の手が止まる。君はうちの会社の寄生虫かって」
「寄生虫ですか・・・。」
「そう、その日に辞めた。人間でいたかったから」
「そうなんですか」
「でも警官になってさ、勤務についてら、結構毎日いろんなことがあるんだ」
「え~」
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翌日、会社員殺人事件の犯人が自首。湾岸署のロビーで連行される犯人とすれ違う青島。犯人が田中でした。向き合う二人。

「君。人を殺して、平気な顔で俺と話していたのか。・・・どうして俺に言わなかった」
「あんたに言いたいことあって、自首してきたんだ。殺すつもりなかった。忍び込むの楽しかったのに見つかっちゃって。あんたの言った通りだ。本当は僕も毎日刺激なかったんだ」
 だまる二人。
「君も刑事になればよかったのに」
「でもそっちも刺激ないんでしょ」
「あるよ、毎日ドキドキしてる。」
「そう、いいなぁ」
笑う田中、最後に青島に言います。
「がんばってね」

このシーンが印象的。捜査なし、でも犯人を自首させた最初の事件。タイトルとは違い、難事件ではないようですが。

私はコンピューター関係の仕事ですが、刺激は嫌と言うほどあります。でもワクワクというよりはヒヤヒヤかも。
(^_^;

事件解決後、入院中の柏木雪乃に、その報告に行く青島。未だ父親を殺されたショックで口の聞けない雪乃は、それを聞いて涙を流します。室井の強引な事情聴取、被害者を顧みない姿を思い浮かべ、青島は雪乃にこう告げます。

自分はまだ刑事の成り立て、右も左もわからないけど、ただ犯人が捕まったからって、被害を受けた人のことはすぐに忘れろっていうのは・・。そうゆう刑事にはなりたくないんすよ。

コメディタッチだったドラマが終盤、ギュッと締まりました。最後、ホロリとして、エンディング「love somebady」。今観ても面白いです。

蘊蓄

警視庁湾岸警察署(ロケ地:潮見コヤマビル)
柏木雪乃が入院した厚生中央病院(ロケ地:厚生中央病院)
青島俊作が通勤で利用する駅(ロケ地:東京臨海高速鉄道東京テレポート駅)
殺人事件が発生した有明興産(ロケ地:テクノウェイブ100)
殺人事件の捜査会議が行われた会議室(ロケ地:タイム24ビル)

時として大胆な嘘も混ぜている。真下が必死で受験勉強をしているが、実際には昇進試験というものはない。
戒名決めのシーンは、これほど面白い場面になるとは事前に全く考えていなかったという(途中からはアドリブだそうだ)。

(田中文夫は)その後、殺人罪で懲役10年の判決を受けて府中刑務所で服役していた。1997年当時33歳。後、殺人罪で起訴され第一審で懲役10年の判決を受け、双方控訴しなかったため一審のみで結審した。『THE MOVIE2』の時点では府中刑務所で模範囚として服役中。『THE MOVIE3』にもヤツら(同作での犯人が解放させることを要求したかつて青島が逮捕した9人の犯罪者たち)の1人として写真のみ登場。

 

 

参考

踊る大捜査線 – Wikipedia
ほんとうはこわい「踊る大捜査線」 – 虚馬ダイアリー
踊る大捜査線 第一話 | とにかく何か書いちゃいなYO


2稿:2020年05月22日-2、テレビの悪足掻き、蘊蓄と感想を追加
初出:2020年05月22日、テレビの悪足掻き