★[時代劇]大忠臣蔵のすべて【感想追加】

1971年放送, 時代劇

テレビドラマとは思えない。大型時代劇、大忠臣蔵の情報です。

Index

 

撮影秘話

民放番組としては異例の規模で注力された大作時代劇で、さながら当時のテレビドラマ版オールスター作品とでもいうべき様相を持つ。
人気俳優の番組出演交渉にも力が注がれ、例えば東映に対しては「東映作品に、三船敏郎を出演させる」という条件を提示して、その当時東映所属であった佐久間良子のテレビ出演を了承させるなどの条件交渉も行われた(『大忠臣蔵』DVD解説書上巻より)。
序盤ないし中盤にレギュラー或いはセミレギュラーとして四十七士役で出演していた何人かは、終盤の討ち入りの回に登場しないという事態が起きている。
江戸城松の廊下の刃傷沙汰については、原因は製塩法を巡る播州浅野家と吉良家との軋轢が元との解釈を採っている。
最高視聴率は、第50回「討入り その一」の32.8%(「テレビ朝日開局60周年記念 年代別にすべて発表!! 番組視聴率ランキング」の1970年代視聴率ランキング 7位)で、この回は実際の討入りの日であった12月14日に放送されている。

 

データ

放送期間:1971年1月5日 ~ 12月28日
放送時間:火曜 21:00 – 21:56
放送局:NETテレビ(現テレビ朝日)
放送回数:全52話
出演:三船敏郎、司葉子、渡哲也、田村正和、石坂浩二、中村玉緒、丹波哲郎、天知茂、大友柳太朗、神山繁、天本英世、勝新太郎、池内淳子、・・・
プロデュース:勝田康三(NET)、西川善男
企画制作:NET、三船プロダクション

 

 

 

感想

1971年に放送されたドラマ、大忠臣蔵。大石内蔵助役の三船敏郎を始め、豪華キャストが多数出演。松の廊下から仇討ちまで、一年(52回)かけて、じっくりと描かれます。NETテレビ(今のテレビ朝日)で放送されました。

とにかく出演者が豪華。主だった人だけあげてもこんな感じです。
※()内は放送開始当時の満年齢。

<浅野家/赤穂藩>

大石内蔵助 / 三船敏郎(50歳)
浅野内匠頭 / 尾上菊之助(?歳)
大石内りく / 司葉子(36歳)
瑤泉 / 佐久間良子(31歳)
大野九郎兵 / 伊藤雄之助(51歳)
堀部安兵衛 / 渡哲也(29歳)
堀部弥兵衛 / 有島一郎(54歳)
不破数右衛門 / 新克利(30歳)
矢頭右衛門七 / 田村正和(27歳)
矢頭長助 / 加藤嘉(57歳)
赤埴源蔵 / フランキー堺(41歳)
前原伊助 / 若林豪(31歳)
寺坂吉右衛門 / 小林昭二(40歳)
萱野三平 / 石坂浩二(29歳)
お軽 / 山本陽子(28歳)
高田郡兵衛 / 田村高廣(42歳)
小山田庄左衛門 / 中山仁(28歳)
皆川庄六 / 地井武男(28歳)
島彌助 / 田村亮(24歳)
島その / 真屋順子(28歳)
相羽志乃 / 中村玉緒(31歳)

<吉良家・上杉家>

吉良上野介 / 市川中車(74歳)→市川小太夫
千坂兵部 / 丹波哲郎(48歳)
小林平八郎 / 芦田伸介(53歳)
清水一学 / 天知茂(39歳)

<幕府関係者>

徳川綱吉 / 高橋昌也(40歳)
柳沢吉保(側用人)/ 神山繁(41歳)
脇坂淡路守 / 中村(萬屋)錦之助(38歳)
松平紀伊守(京都所司代)/ 佐藤慶(42歳)
稲葉丹後守(老中)/ 細川俊夫(54歳)
土屋主税 / 土屋嘉男(43歳)
お蘭(柳生の隠密)/ 上月晃(30歳)
加倉井林蔵(公儀隠密の頭領)/ 高松英郎(41歳)
兎助 / 露口茂(38歳)
覚雲 / 天本英世(45歳)
野村孝之進(旗本)/ 森山周一郎(36歳)
立花左近 / 八代目 松本幸四郎(60歳)
俵星玄蕃 / 勝新太郎(39歳)
夕霧 / 池内淳子(37歳)
堀内伝右衛門(細川家)/ 志村喬(65歳)
久兵衛 / 桂小金治(44歳)
お紋 / 京塚昌子(40歳)
松吉 / 堺正章(24歳)
山田宗徧 / 岡田英次(50歳)
山田宗徧の娘 千代 / 十朱幸代(28歳)
堀内源太左衛門 / 平田昭彦(43歳)
次郎吉:坂上二郎(コント55号)(36歳)
金三:萩本欽一(コント55号)(29歳)
為五郎:大泉滉(46歳)
丑五郎:小松方正(44歳)
講釈師:ケーシー高峰(36歳)
健太:宮城けんじ(Wけんじ)(46歳)
健次:東けんじ(Wけんじ)(47歳)
お初:今喜多代(44歳)
礼次:正司玲児(正司敏江・玲児)(31歳)
お敏:正司敏江(正司敏江・玲児)(30歳)

テレビドラマとは思えないキャスト、映画では不可能な尺。制作費は当時のお金で10億円。当時大騒ぎになった3億円事件のなんと3倍強です!!
当初は吉永小百合や石原裕次郎、平幹二朗もキャスティングされていたと言うから驚き。実現してたら更に凄かったのに。
もっとも当時子供の私は、誰が誰だかわかりませんでした。コント55号が出てきて、一晩で畳替えをしたぐらいしか覚えていませんでした。改めて見るといろいろ面白い。
萬屋錦之助、やっぱり迫力あるなぁ。山さん(露口茂)がこんな役で!? 真屋順子の若い頃、初めて見た。田村正和、若~い!!三兄弟総出演、さすがに父親(阪東妻三郎)は無理(1953年没)か。

印象的なのが壮大なテーマ音楽。いま聞いても聞きいってしまいます。作曲は冨田勲。オーケストラの中、メインは男声。ジャングル大帝のオープニングがバリトンのソロなのに対し、こちらはテノールの合唱。歌詞はなし、あ~あと歌います。暗さはなく、人生謳歌という感じ。装飾的に入る和太鼓や笛(フルート?)に、元禄時代の太平も感じます。

富田勲というとシンセサイザーというイメージですが、調べてみると、あの曲もこの曲も。知ってる曲がたくさんありました。
子供向けだと、ビッグX、ジャングル大帝、リボンの騎士、キャプテン・ウルトラ、マイティジャック、どろろ。それだけでなく、大河ドラマの花の生涯や、天と地と、新・平家物語も富田勲らしい。新日本紀行を初め、ドキュメンタリーの音楽も作曲してたようです。シンセサイザーはごく一部だったのか。VCOとかVCA・VCFとか言ってた頃かな、ボコーダーとかMIDIとかはYMOの頃だものなぁ。

第5話までは・・・。勅使饗応役(朝廷からの使者を持て成すお役目)で赤穂(今の兵庫県)から、江戸に上った浅野内匠頭。作法を教えるはずの高家、吉良上野介から様々な嫌がらせを受けます。理由は塩の精製方法を教えなかったからという定番なもの。

それは大野九郎兵衛が、使者を独断で門前払いにしたためとか、大石が間際にその事に気付き、使者を立てるも、内匠頭は精製方法は赤穂の宝として、上野介に伝えるのを拒むという肉付けがされています。あぁ、この時明かしていれば・・・と視聴者に思わせる演出か。

一方、吉良の嫌がらせは結構地味。長い間待たせて自分は帰っちゃったり、畳替え(休憩所になる寺の畳を全て新しいものに替える)は必要ないと嘘をついて慌てさせたり、着る衣服を間違えさせたり。昨今聞く学校のいじめの方が、危ないです。
上野介が赤穂の塩が欲しいと言った時に、荷車で本物の塩を持参する江戸家老たち。吉良が怒る気持ちもわからずではありません。

遂に堪忍袋の緒が切れた浅野内匠頭、江戸城は松の廊下で、吉良上野介に斬りかかります。一太刀、二太刀、後ろから押さえる梶川与惣兵衛。有名なシーン。逃げる吉良が、なにかと浅野内匠頭を助けていた脇坂淡路守(中村錦之助)にぶつかり、無礼者とひっぱたかれるシーンは気持ちよかったです。

浅野内匠頭の刃傷に驚き、嘆く、瑤泉院、家来たち。まだ事を知らぬ大石たちの姿に、嫌でも画面に釘付けになります。

意外だったのは、赤穂に大事を知らせる使者を、領民たちが立ち塞ぐシーン。使者は、清水一学のお陰で難を逃れます。吉良を慕う領民たち。この頃から、上野介良い領主説があったのかと驚きました。十年位先に出てくる話かと思ってたのですが。

吉良上野介役は市川中車。市川中車は名跡で、当代は香川照之らしい。まだ見てないけど、半沢直樹の大和田常務って、吉良上野介みたいなんだろうか。

( 2021年03月05日、ここまで )
第二十話 悲しき士情。ここにきて、違和感を覚える展開に。’70年代の日本では、これが涙を誘ったのか・・・。

吉良上野介の動向を探るため、高田郡兵衛(田村高廣)は、妹その(真屋順子)を吉良邸内に潜入させます。そのは既に島彌助(田村亮)の妻になっています。そのは腰元として吉良に仕え、気に入られ、吉良家の状況を逐一、郡兵衛に報告します。喜ぶ郡兵衛、心配でしょうがない彌助。ある日悲劇が起こります。

そのを吉良家に紹介した口利き屋が、彌助の家を訪ねた時、彼らが赤穂に通じてることを知ってしまうのです。吉良に説明せねばならないと迫る口利き屋、その時彌助のとった行動がなんと《切腹!》え~~~っ、なぜここで腹を切るの? これに免じて、黙っていてよと嘆願する彌助。そんなの無理だわ・・・。せめて確約をとってからやってよ。しかし、そこまでするのであればと吉良には黙ってますと応じる口利き屋、驚く私。・・・これが浪花節なのか。

平成、令和の世では通じなさそう。何勝手に腹切ってるの? あんさん、バカなの? そんなの知らんと令和の口利き屋なら言いそう。まぁそれ以前に腹切りもしないし、仇討ち自体がテロだと炎上しそうですが。

第二十一話 女間者。話は続きます。上野介の実子、上杉綱憲が、上野介を米沢に匿(かくま)う計画を立てます。それでは討ち入りが叶わぬと、慌てる郡兵衛。吉良が米沢に移動する日を狙い襲うことに。その日はいつだ? 上野介が、そのをそばめにしたがっているのを利用。よとぎをしながら聞き出せと、命ずる郡兵衛。

ぎゃ~~~、あんな入れ歯じじぃと嫌だ~~~。でも嫌々従うその。ハニートラップは、昔からあるのか。それともほとんどの城主が男だからいけないのか。弁(わきま)える、弁えないどころの話ではありません。

しかし、結局上野介の米沢行きはなくなり、そのは彌助の墓の前で自害します。話を聞いた蔵之介は、「曲がった御政道を糺(ただ)すために、御公儀と一戦交えようとしている自分達が、道に外れたことをするべきではない」と、郡兵衛を嗜めます。なるほど、でもそれだけか。
(*_*)

第二十二話 第一の脱落者。この後、郡兵衛は直参旗本の娘と婚姻を結び、同士から裏切り者と呼ばれますが、因果はめぐる糸車。それには、深い考えがあったと続きます。

江戸時代は城主のため、戦時中は国のため、昭和の時代は会社のため。そこまでするのかというのが日本人なのでしょうか? 私も昭和生まれなので、根っこにそういうところがあるのかも知れません。

順法、働き方改革、給付金。平成、令和と時代は変わってきました。正しい個の時代がはじまるのかなぁ。でも油断するとまた戦争が始まって、元の木阿弥だったりして。
(-_-;)

( 2021年03月18日、ここまで ​)

つづく
 

サブタイトル

1971年01月05日 風雲はらむ赤穂城
1971年01月12日 渦巻く黒い霧

1971年01月19日 美しき士魂
1971年01月26日 耐えがたき日々

1971年02月02日 元禄の一番長い日
1971年02月09日 悲報赤穂へ

1971年02月16日 大いなる決断
1971年02月23日 暗躍する隠密群

1971年03月02日 大評定
1971年03月09日 葬られた嘆願書

1971年03月16日 神文血判
1971年03月23日 赤穂城の落日

1971年03月30日 下級武士
1971年04月06日 瑤泉院の持参金

1971年04月13日 髷斬り魔
1971年04月20日 柳生の隠密

1971年04月27日 公儀への一戦
1971年05月04日 分裂

1971年05月11日 静かなる対決
1971年05月18日 哀しき士情

1971年05月25日 女間者
1971年06月01日 第一の脱落者

1971年06月08日 大石伏見に遊ぶ
1971年06月15日 見えざる魔手

1971年06月22日 悲恋お軽勘平 その一
1971年06月29日 悲恋お軽勘平 その二

1971年07月06日 秘めたる慕情
1971年07月13日 死を賭けた探索
 

 
1971年07月20日 浪花に散った恋
1971年07月27日 刺客群山科へ
 

 
1971年08月03日 男の盟約
1971年08月10日 紅蓮の隅田川密議
 

 
1971年08月17日 山科の別れ
1971年08月24日 若き獅子たち
 

 
1971年08月31日 琴をひく女
1971年09月07日 若き義士の母二人
1971年09月14日 天野屋利兵衛は男でござる
1971年09月21日 大石東下り
1971年09月28日 暁の江戸潜入
1971年10月05日 吉良家の人々
1971年10月12日 決闘 堀部安兵衛
1971年10月19日 槍の俵星玄蕃
1971年10月26日 散りいそぐ義士
1971年11月02日 敵を恋うる女
1971年11月09日 目ざすは本所松坂町
1971年11月16日 いずこの空や十四日
1971年11月23日 四十八人目の男
1971年11月30日 雪の十二月十四日
1971年12月07日 南部坂雪の別れ
1971年12月14日 討入り その一
1971年12月21日 討入り その二
1971年12月28日 切腹

  

本編を見るには・・・

 

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

大忠臣蔵 DVD-BOX 1 [ 三船敏郎 ]
価格:10725円(税込、送料無料) (2021/3/5時点)

 

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

大忠臣蔵 DVD-BOX 2 [ 三船敏郎 ]
価格:11137円(税込、送料無料) (2021/3/5時点)

 

大忠臣蔵 上巻/三船敏郎,司葉子,長澄修

 


2稿:2021年03月18日、テレビの悪足掻き
初出:2021年03月05日、テレビの悪足掻き