★[感想]π(パイ)

● ダーレン・アノロフスキー監督デビュー作、π(パイ)の感想です。

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作品紹介

● 1997年公開、ダーレン・アノロフスキー監督デビュー作。
● サンダンス映画祭最優秀監督賞など、数々の賞を受賞している。


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感想

● 難解な映画、天才的なカット、カルト的な人気。ネットでそんな評判を読んだので観てみました、ダーレン・アノロフスキー監督のπ(パイ)。でもまったく難解に感じなかった私。登場人物は少ないし、平行進行もなし。むしろ普通の映画よりわかりやすいと思いました。
数学者が主人公の映画を続けてみたからでしょうか? 主人公に親近感を覚えたとまでいうと大袈裟か。

● 世の中のことは全て数学に置き換えることができる。そう信じて疑わぬマックスは株式市場を数字で表そうとし、216桁の数字に出会う。彼は株で世界を牛耳ろうとする組織や、ユダヤ教の過激派、そして激しい頭痛に襲われ、最後は・・・。というのがあらすじです。

● 世の中のもの全ては数学で表すことができる。私も以前、そう考えたことがあります。きっかけはドラゴンクエスト。生命や能力、経験を1つの数字で表す。そんな大胆な発想に驚き、それが行動の尺度となり得ることさらに驚きました。これを発展させれば・・・。
また少し前に見たNHKスペシャル「神の数式」シリーズ。こちらは物理学者の話ですが、世界を1つの数式で表そうとする天才たちの苦悩を知ったので、違和感がなかったのかも。
(映画にも完全数496の話が出てこないか期待しましたが、出てきませんでした)

● マックスが見つけた216桁の数字ごは何なのでしょうか? まずそんな桁、なんて読むのでしょう? 調べてみると。

日本では無限大数というくらいがありますが、これは10の68乗。216桁に遠くおよびません。英語ではvigintillion(ビジンティリオン)10の63乗(ショートスケール)の次に、Centillion(センティリオン)という位に飛んで、アメリカでは10の303条、ヨーロッパでは10の600乗を表すそうです。
仏教の経典、華厳経には不可説府仮説転という位があり、これは10の37218383881977644441306597687849648128乗。桁数自体が読めない、わけがわかりません。
(^^;
Googleの社名のもととなったgoogolは10の100乗。1Googolでも全宇宙に存在するの原子の数を上回るといいます。ますます、216桁の数字のイメージが掴めません。映画のタイトルがπ。216桁の数字はπと同様、神秘的な数ということを表しているだけだろうけど。

● 映画的な話もしておかないと。全編、白黒。モノトーンに2進数を感じます。頭痛のイメージか、剥き出しの脳味噌が出てきて、ボールペンでつついたりしますが、白黒なのでグロさは軽減。それが狙いか・・・。それとも制作費が少なかったのでフィルム代を節約したのでしょうか?
(ーー;

● 細かなカット。マックスが薬を飲むシーン。

1)薬瓶の蓋を開ける。
2)手に出す。
3)薬を飲む。

というカットが、タン・タン・タンと現れます。それが後半ではタ・タ・タにスピードアップ。ストーリー展開もそう。どんどんアッチェレラント(accelerando)がかかり終章へ。この作品の魅力はこのスピード感にあると思うのですが。

● マックスの恩師、ソル。πの鍵を解く直前までいった男。でも今は隠居の身。今は囲碁友達です。ノイローゼ気味のマックスにアルキメデスの話をします。

「 シラクサのアルキメデスの話を知っているか? 国王はアルキメデスに対して、贈り物が本当に純金かどうか調べてほしいと頼んだ。当時は未解決の問題だ。そのギリシャの偉大な数学者は何週間も悩んだ。夜も眠れず、ベットの上で右へ左へと寝返りをうって苦しんだ。そしてついにその天才と同じベットで寝なければなん妻が耐えかねて夫に言った。気晴らしにゆっくり風呂にでも入ったらどうかと。そんなわけでバスタブに浸かっていたときだ。アルキメデスはその湯の面が上昇することに気が付いた。体が押し上げた湯だ。これで体積を知ることができ、つまりそこから密度が決定されるわけだ。重さと体積の関係だ。こうしてアルキメデスは問題を解決した。」
この話の教訓は何かな? そうマックスに質問し、自ら「この話のポイントは妻だ。妻の話を聞いたから彼は見通しが開けた。つまり休むことも必要だ。でなきゃ行き詰ると教えてる。」と答えます。なぜかこの部分で、大笑いしてしまいました。私ももう少し眠らなければ。

碁盤の上に白と黒の石で螺旋(陰陽魚?)を書いて失踪したり、思わせぶりな行動を取るソル。216桁の数の正体も知っているような。でも声が麦人さんなので、どうしてもピカード館長を思い出してしまいます。

● マックスに近付くユダヤの男、レニー・マイヤー。ヘブライ語が数字だという件(くだり)がよくわかりませんでした。

● 電話のコール音が多く鳴るので電話嫌いの方は注意。

● この映画は1998年のもの。20世紀ではまだ世界を数字で表すことに魅力を感じていたのでしょうか? それにより大きく世界が変わると信じていたのでしょうか? 2016年現在ではあまり魅力を感じている人はいないのでは?
それが出来たとして、例えば「 豆腐をモッツァレラチーズの食感にする 」方法が、その数学から導き出せるでしょうか? たぶん無理。でもスマホでググれば、すぐに答えを見つけ出せます。実は十数年前には想像すらできない素晴らしい世界にいるのかも。
・・・あっそうか、これは数学のお陰かもしれないのか。


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資料

● 監督:ダーレン・アロノフスキー
● 脚本:ダーレン・アロノフスキー
● 製作:エリック・ワトソン
● 製作総指揮:ランディ・サイモン
● 音楽:クリント・マンセル:
● 撮影:マシュー・リバティーク
● 編集:オレン・サーチ
● 配給:アーティザン・エンタティメント(アメリカ)
● 配給:アップリンク / ギャガ(日本)
● 公開:1998年7月10日(アメリカ)
● 公開:1999年7月10日(日本)
● 上映時間:84分

♂ マックス・コーエン / ショーン・ガレット(大塚芳忠)
♂ ソル / マーク・マーゴリス(麦人)
♂ ラビ / スティーヴン・パールマン(筈見純)
♂ レニー・マイヤー / ベン・シェンクマン(中田譲治)
♀ デヴィ / サミア・ショアイブ(深見梨加)
♂ ファロック / アジャイ・ナイデゥ(檀臣幸)

● 製作国:アメリカ合衆国
● 言語:英語
● 製作費:$60,000
● 興行収入:$3,221,152

【 Youtube 】『π(パイ)』 日本予告篇 – YouTube

本編を観るには・・・

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参考

π (映画) – Wikipedia
第7062回「π(パイ) ダーレン・アロノフスキー監督 VFXなき実験的SF映画 ネタバレ」|新稀少堂日記
映画 π(パイ)(1998) こんな文字を見るのは学生の時以来のような・・・ – ザ・競馬予想(儲かるかも?)
カルト映画見聞録「π」
『π(パイ)』: 映画フェイス
映画『π(パイ)』カルト映画として知られるダーレン・アロノフスキーのデビュー作: 映画マニアの徹底レビュー
巨大数の世界① − 日本語の場合
巨大数の世界② − 英語の場合
NHK神の数式・古代ギリシア人が神としてあがめた完全数496は現代物理学のキーワードでもあった。13年9月24日: 散歩好きの絵描き
完全数 – Wikipedia

更新履歴

初出)2016年04月26日、シネマドローム

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