★[感想]ポセイドン・アドベンチャー【ネタバレ】

 感想記事の抜粋


原題 THE POSEIDON ADVENTURE
惹句
監督 ロナルド・ニーム
俳優 ジーン・ハックマン
俳優 アーネスト・ボーグナイン
女優 ステラ・スティーヴンス
女優 シェリー・ウィンタース
蘊蓄 1991年2月17日 日曜洋画劇場(テレビ朝日)で、解説者の淀川長治は、「私はこの映画を見るために生まれてきたといってもいいんですね」と語っている。
1970年代、パニック映画の傑作。ポセイドンアドベンチャーの感想です。

  

 

作品紹介

豪華客船ポセイドン号を海底地震による大津波が襲う。天地逆転の船内からの脱出劇
70年代にブームとなったパニック映画(ディザスター・ムービー)の先駆け、豪華キャストによる人間ドラマ
アメリカン・ニュー・シネマ全盛に見せたハリウットエンターテイメントの真髄

物語

1400名の乗客を乗せニューヨークからギリシャに向かう豪華客船ポセイドン号。大晦日の夜、パーティに浮かれる船を海底地震で発生した32mの大津波が襲う。船は転覆、天地が逆転する大惨事となる。
「じっとしていては死ぬのを待つだけだ、船底(海面)へ向かえ」との牧師の声に従ったのは9名。刑事とその妻、雑貨商、老夫婦、ボーイ、歌手、幼い姉弟。強いリーダーシップでみんなを導く牧師、反発する刑事。迷路のような逆さまの船、その中を彷徨う10の個性。苦難の末に辿り付いたエンジンルームは既に水浸しになっていた。

感想

まだ私が子供の頃、まだ淀川さんが解説をしていた日曜洋画劇場。そこで見たこの映画は、とても衝撃的でした。豪華客船の転覆シーン、強力なリーダーシップを発揮する牧師、やたらと文句をつける刑事、太ったオバちゃんの潜水、そして、そして、そして…。

DVDがレンタルされているのを見つけ、早速借りてみました。調べて見ると丁度アメリカン・ニュー・シネマ全盛期の作品。ハリウッド的人間ドラマに別の意味も付け加わりました。果たして今見る70年代ディザスター映画、その感想は如何に。

タイトルバック、嵐の海を行くポセイドン号。うねる大波をものともせず、悠然と進みます。計算で割り出されたSFXの海よりも、適度なデフォルメで、海がまるで生き物のように見えます。津波に呑込まれ、転覆する瞬間の迫力にも驚き。

逆さまの船内や、時々爆発する船。大掛かりなセットというレベルを越てません。船内の火事もディズニーランドのアトラクション程度。
やっぱりタイタニックの特殊撮影は凄かった。でも船が逆さというアイデアは希有。トイレも逆さなのに、しばし無言。上ってくる海水の中にうつ伏せの死体が1体交じってるのに目を奪われました。
 

 

<ここからはネタバレ、できれば映画を観てから読んで下さい>

あの牧師はジーン・ハックマンだったのか。無条件に英雄に見えた彼に、今回は疑問符が少々。

リーダーシップの大切さはそのまま。
でもなぜ船のプロよりも牧師の彼の方が正しい判断ができるのか?
決めつけと指図(さしず)はカルト教団のそれでは?
神(脚本家)の後ろ盾が無くても、自信を持ってその選択ができるのか?
神を呪う牧師はニューシネマへのクロスカウンター?

…余計な考えが浮かぶ大人って嫌だな。(=.=;
 
ロト刑事役のアーネスト・ボーグナイン。眉、目、鼻、口、髪。どのパーツも個性的。手塚治虫の漫画に出てくる外人みたい。すぐにダッチ(ワイルドバンチ)と分かりました。

牧師の行動に一々文句をいう彼。最愛の妻を亡くした時、牧師おまえのせいだと叫ぶ彼。その癖、牧師なしでは何もできない彼。人間臭さに共感しました。彼はずっと新聞記者だと思ってたのに刑事だったとは…、記憶のすり替えなのかな。

太ったおばさん(失礼!)ベル。ずっと足手まといだった彼女が実は潜水が得意で、牧師の危機を救うことになる展開の妙。最後事切れる彼女に子供の私は釘付けでした。

今見ると心臓発作があまりに突然なのに呆然。ちょっとだけ笑いそうになりました。彼女はこの役でアカデミー賞助演女優賞にノミネート。いい役もらったなぁ。

どこかで見たことがあると思ったら、なんと船長はレスリー・ニールセン。シリアルな演技を見るのは、確か刑事コロンボの殺し屋役以来。《 裸の銃を持つ男 》 シリーズは何歳の時なんだろう。焼け焦げた死体となって出てきた時は、やっぱり笑ってしまいました。
(^_^;

ラスト。救援隊により焼き切られる船底。覗く空の青さがあまりに眩しい。ヘリコプターに救助される生き残った6人。カメラがぐっと引いて沈没したポセイドン号の全景が見れると思いきや、船底とヘリコプターを見上げるカットのみ。これはSFXがないと無理か・・・。
 


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台詞

神は大変忙しい私達一人一人にかまってはいられない。だから自分自身で乗り切っていかなければならない、たとえ負けると分かっていてもやらねばならない時がある今がその時です。(スコット牧師)
この多数決バカ!(スコット牧師)
跪いて神に助けを祈る? そうすれば何でもうまくいく? そんなのはゴタクだよ。(スコット牧師)
主よ、助けてくれとは申しません。私の邪魔をしないで下さい。(スコット牧師)
40年間私はお前の言うことを聞いてきた。一度くらい私の言うことを聞きなさい。(マニー・ローゼン)
「あの人にちなんで船の名前を付けたの?」 (リンダ)、「そう、彼はギリシャ神話の海の支配者で、地震や竜巻など天災をもたらす短気な神なんです」 (船長)

薀蓄

1976年10月11日 月曜ロードショー(TBS)で、解説者の荻昌弘は、「そこにとどまるか前進するかといった時、必ず前進する方を選ぶ。しないかするかといったときは必ずする方を選ぶ、こうした考えがこの物語を力強いものにし、私たちを励ましてくれるわけなんです」と語っている。
1991年2月17日 日曜洋画劇場(テレビ朝日)で、解説者の淀川長治は、「私はこの映画を見るために生まれてきたといってもいいんですね」と語っている。
製作費1200万ドルは船のセット、転覆場面の撮影、1135万リットルの水に大半が消費されたという。
まだコンピューターグラフィックの無い時代で全て実写であった。
特に水の使用量は310万ガロン(約1173万リットル)にも及んだ。あまりに膨大な使用量から、「街の水が枯渇する」と、ロサンゼルス市からクレームが入ったといわれている。
同年公開の『ゴッドファーザー』とほとんど同じ興行収入を記録する大ヒット作品となった。
元ネタは1969年に発表された、ポール・ギャリコの同名小説。
ロゴ役のアーネスト・ボーグナインは5回結婚している。最初の結婚は従軍中の1949年で、娘が一人生まれているが1958年に離婚。1959年に女優のケティ・フラドと再婚し1963年に離婚。翌年女優のエセル・マーマンと再婚するも、実質的な結婚生活は38日しかもたなかった(離婚は1965年5月)。
ベル役のシェリー・ウィンタースはハリウッド・スタジオ・クラブで演劇を学んだ後、ブロードウェイの舞台に立つ。当時は同じ劇団に在籍していたマリリン・モンローと部屋をシェアしていたという。

データ

原題 The Poseidon Adventure
英題 The Poseidon Adventure
惹句 20世紀FOX映画が〈トラ・トラ・トラ!〉に続いて放つ73年最大の感動巨篇!
脚本 スターリング・シリファント
原作 ポール・ギャリコ

監督 ロナルド・ニーム
制作 アーウィン・アレン
指揮
音楽 ジョン・ウィリアムズ、アル・カシャ、ジョエル・ハーシュホーン
主題 「モーニング・アフター」(The Morning After)、作詞・作曲:アル・カシャ、ジョエル・ハーシュホーン、歌:モーリン・マクガヴァン

撮影 ハロルド・E・スタイン
編集 ハロルド・F・クレス
美術 ウィリアム・J・クレバー
特撮 L・B・アボット

俳優 フランク・スコット(異端の牧師)/ ジーン・ハックマン
俳優 マイク・ロゴ(ニューヨークの刑事)/ アーネスト・ボーグナイン
女優 リンダ・ロゴ(マイクの妻、元娼婦)/ ステラ・スティーヴンス
女優 ベル・ローゼン(太ったおばさん)/ シェリー・ウィンタース
俳優 マニー・ローゼン(ベルの夫)/ ジャック・アルバートソン
俳優 ジェームス・マーチン(雑貨商)/ レッド・バトンズ
女優 ノニー・パリー(歌手)/ キャロル・リンレー
俳優 エイカーズ(船のボーイ)/ ロディ・マクドウォール
女優 スーザン・シェルビー(ロビンの姉)/ パメラ・スー・マーティン
俳優 ロビン(スーザンの弟)/ エリック・シーア
俳優 船長 / レスリー・ニールセン

会社
会社
配給 20世紀フォックス
公開 1973年03月17日
上映 1時間57分
国旗 アメリカ合衆国
言語 英語

費用 $12,000,000
収入 $84,563,118


 

本編を観るには・・・

参考

ポセイドン・アドベンチャー – Wikipedia
cinemaracas-044
ポセイドン・アドベンチャー – 映画の宝庫 ウェブ・ムービー・シアター
「ポセイドン・アドベンチャー」上映作品詳細 – 午前十時の映画祭7 デジタルで甦る永遠の名作
『ポセイドン・アドベンチャー』パニック映画として最高峰!人間ドラマが非常に濃厚 – 映画ブログ デイリーシネマ(旧作新作/洋画邦画/おすすめ映画/レビュー)
映画 ポセイドン・アドベンチャー(1972) これこそ真の英雄  – ザ・競馬予想(儲かるかも?)
アーネスト・ボーグナイン – Wikipedia
シェリー・ウィンタース – Wikipedia

更新履歴

5稿:2021年04月20日、シネマドローム
4稿:2016年10月15日、シネマドローム
3稿:2015年03月10日、シネマドローム
2稿:2011年08月10日、シネマパレード~隼
初出:2005年08月01日、東京つまみ食い

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