★[感想]輪廻

 感想記事の抜粋


原題 輪廻
惹句 ようこそ、前世へ。
監督 清水崇
女優 優香
女優 香里奈
俳優 椎名桔平
俳優 杉本哲太
蘊蓄 あなたの前世は?との質問に優香は「私イタリア人だったと思います。パスタ好きだし」。
Jホラーブームってあったなぁ・・・。優香主演、輪廻(映画)の感想です。

 


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作品紹介

Jホラーシアター第2弾は《 輪廻 》。監督は《 呪怨 》の清水崇、主演は優香
第1弾は《 感染 》と《 予言 》。次にシリーズが選んだテーマは生れ変り。輪廻(りんね)はインド思想の根本概念の一つで、生物は永劫の間、そのカルマ(業)の応報によって生まれ変わるとする。自分も知らない前世、でもそれは今の自分と無関係ではない…。
「まわる、まわる、まわる~♪」の旋律は「う~ぅ、きっと来る♪」に負けず劣らずのインパクト。
ハリウッドよりオファーが殺到、早くもリメイクが決定・・・のはずだったが。。。
 

物語

昭和45年、リゾートホテルで起きた無差別殺人事件。男は従業員や宿泊客だけでなく、自分の息子や幼い娘までをも殺害、最後は自らの手で命を断った。
現代、事件の映画製作が決定、オーディションが行われる。一目見て渚( 優香 )を娘の役に抜擢する監督(椎名桔平)。その直後から少女の幻影が彼女につきまとう。
電車の中で、部屋の奥で、そして夢の中で。不気味な人形を抱える少女、それは殺された娘本人の姿だった。
事件の凄惨さを知るためにと、封鎖されたホテルに向う渚たち。監督は役者にそれぞれが殺された場所で同じポーズを取ることを要求する。役者の姿に被害者の姿がフラッシュバック、気絶する渚。気が付き廊下に出ると、そこは35年前、事件当日のホテルだった…。
 

 

感想

輪廻(まわる)、輪廻(まわる)、輪廻(まわる~)

《 感染 》から感じた何か。それを求め、Jホラーシアター最新作を見ることに。場所は東武伊勢崎線、松原団地駅の東武シネマ。映画で語られる惨劇のホテルと同じ、昭和テイストの映画館です。
でもこちらはまだまだ現役。予告上映が始まってから入った私。ぼんやりと見える館内、観客も数える程。ポツリポツリと座っていて、一人ぐらいこの世のものでなくても不思議ではありません。上映前から雰囲気たっぷりです。
(^_^;

映画の冒頭。封鎖されたホテルの中、彷徨うカメラ、やがて和室のひとつへ。押し入れの中に寄って行くとそこには人形。突然、その顔がつぶれ左目がはみ出します。これが怖かった。
まず人形が不気味。奈良美智が描く子供が大人なったような様相。幼い娘がどのように殺されたか、暗示するかのような破壊。一切反応のない客席も怖い、怖い。

この映画の主な舞台は映画の撮影現場。配役が決まりカメラリハーサルが始まります。殺人鬼と化した父親から、訳もわからず逃げる娘のシーン。渚はカメラの後ろに、いるはずのない殺人鬼の姿を見ます。
「ぎゃあああ~あ!」と絶叫する渚。
この声と表情が凄い。大したシーンでないのに、その叫び声に恐怖をシンクロ(共鳴)させられます。

これがあの《 のほほん 》としている優香なのか。監督はこの映画で優香の笑顔を封印したとか。《 世にも奇妙な物語 》でしか演技を見たことのなかったので、ちょっと感動してしまいました。ネット上の評判も上々です。

映画の撮影現場の映画という設定も効果的。考えて見ると複雑。岡部広子(優香の本名)は優香として新人女優渚を演じていて、渚は父親であり殺人鬼である男に殺された娘(事件では幼女)を演じてる。それを殺戮ホテルと同じ時代の映画館で見ている私。
(その私が書いているレポートを読むあなた)まさに、まわる、まわる、まわる~♪

笑う子供

殺人鬼は法医学の大学教授、大森。その研究は人間の肉体と精神であった。あの事件はなんらかの実験だったのでは・・・と話は進みます。

また、もう独りの主人公、木下弥生(香里奈)。彼女も運命の糸に導かれ廃墟となったホテルへ。セットの中、殺人鬼から逃げ惑う渚。廃墟の中、ゾンビのように彷徨う被害者たち、逃げ惑う弥生。大森が凶行時、自ら撮影した8mmビデオ。この3つにより凶行現場が再現される終盤は見応えがあります。じわじわ進んで、行き止まり。あるはずのものがなく、ないものがある。3つの再現の巧みな絡み合いに、テンポが生まれ、緊迫感が溢れてきて、ぐいぐい引き込まれてしまいます。そして突如明かされる意外な事実。油断していただけに見事に足を掬(すく)われました。渚に執着する監督、少女の霊が渚にいう《 ずっといっしょだよ 》という言葉。この伏線の張り方が巧いです。

このシーン、もうひとつ気になる点がありました。それは子供の笑い声。凶行シーンの中、とても演技とは思えない、笑い声が聞こえます。
演出にしてはあまりに不自然・・・。気のせい?でも確かに聞こえる・・・。ほら、また。ボーイが刺されて、笑い。メイドが刺されて、また笑う。息子が刺されて・・・。今度は笑わない。幽霊にしては生命感に溢れているが・・・。
その正体は映画館のロビーの子供たち。《 あらしのよるに 》を観に来たのか・・・。切符切りのおじさん、ちゃんと注意してください。
(*_*)
 
終わり

薀蓄

治田さんが大森教授を演じるに当たって、清水監督が、「ビューティフル・マインド ジョン・ナッシュのこと」という(映画『ビューティフル・マインド』のモデルにもなった)ジョン・ナッシュに関するドキュメンタリーDVDを参考として手渡した
昭和45年の雰囲気を伝える場所として、福岡県八女市の土橋八幡宮とその付近の町並み(白壁が美しいらしい)が採用され、約40人の地元の人がエキストラとして参加しています。八女(やめ)市は、八女茶と仏壇と提灯が特産で、堀江貴文の実家。
殺人現場となったホテルの外観は、熊本県南阿蘇郡湯の谷温泉の阿蘇観光ホテル(2002年2月に廃業)
ホテルのセットを作るのに1億円かかっている。
メイン・キャラクターの1人である“人形”を制作したのは、木立真佐美さん。押井守監督作品『イノセンス』に出てくる人形の“ホンモノ”を作ったのもこの人

 
TVスポットにはコメディ版、コメディ(関西地区限定)版あり。映像はそのまま、ナレーションで笑わせる。
あなたの前世は?との質問に優香は「私イタリア人だったと思います。パスタ好きだし」。
 

資料

原題 輪廻
英題 Reincarnation
惹句 ようこそ、前世へ。
脚本 清水崇、安達正軌
原作 大石圭

監督 清水崇
制作
製作 オズ
指揮 濱名一哉、小谷靖
音楽 川井憲次
主題 扇愛奈『輪廻』
撮影 柴主高秀
編集 高橋信之
美術 斉藤岩男
視覚 松本肇

女優 杉浦渚(新人女優)/ 優香
女優 木下弥生(女子大生)/ 香里奈
俳優 松村郁夫(映画監督)/ 椎名桔平
俳優 村川忠司(渚のマネージャー)/ 杉本哲太
俳優 尾西和也 / 小栗旬
女優 森田由香 / 松本まりか

会社 オズ
配給 東宝
公開 2006年1月7日
上映 96分
国旗 日本
言語 日本語

費用
収入 4.5億円
 

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本編を観るには・・・


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参考・引用

輪廻 (映画) – Wikipedia
これはJホラーの真骨頂かもしれない、とにかく怖い「輪廻」|ゾンビの数だけ抱きしめて
映画『輪廻』をもっともっと楽しむための9項目 海から始まる!?/ウェブリブログ
映画「輪廻」ネタバレあらすじ結末 | hmhm
三匹の迷える羊たち : 映画感想「輪廻」


 

更新履歴

5稿)2021年06月23日、シネマドローム
4稿)2017年08月23日、シネマドローム
3稿)2015年05月06日、シネマドローム
2稿)2011年06月30日、シネマパレード~隼
初出)2006年01月23日、東京つまみ食い
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