★[感想]禁じられた遊び【ネタバレ】

 感想記事の抜粋


原題 Jeux interdits
惹句 永遠の輝きにみちた世界映画史上不滅の名作!
監督 ルネ・クレマン
女優 ポーレット / ブリジット・フォッセー
俳優 ミシェル・ドレ / ジョルジュ・プージュリー
俳優 リュシアン・ユベール
女優 シュザンヌ・クールタル
蘊蓄 ポーレットの両親はブリジット・フォッセーの両親が演じている。
戦争の歯止めになるものは・・・、禁じられた遊び の感想です。

 

 

作品紹介

1953年日本公開のフランス映画。 監督はルネ・クレマン、出演はブリジット・フォッセーとジョルジュ・プージュリー。
有名なテーマ曲、愛のロマンスはナルシソ・イエペスの演奏。
ナチス軍のフランス侵攻で両親を亡くした少女ポーレットは、ミシェル少年と出会い、貧しい農家で暮らすことになるが・・・。。
アカデミー賞名誉賞(後の外国語映画賞)、ヴェネツィア国際映画祭サン・マルコ金獅子賞受賞。
 

 

感想

名画発掘プロジェクト。名前は知っているけど、実は観たことがない名画の数々。それらを端から観ていこうというこの試み。第1回は「禁じられた遊び」です。

ギター1本、ナルシソ・イエペスが奏でるテーマ「愛のロマンス」が超有名。でもそのストーリーは? 女の子が男の子と一緒にお墓を作り、大人に叱られる話・・・ぐらいしか知りませんでした。実際に観てみると、どんどん話に引き込まれ、最後は涙涙涙でした。
(TДT)最近、涙もろいぞ。

1940年6月。野原の中、細い道を列を作り疎開していく人々。突如戦闘機が現れ、爆撃開始、一斉に伏せる民衆。飛び去るとまた避難を始めます。しかし、クルマの一台がエンジンがかからず、人々は足止め。なかなか動き出さない車に業を煮やした男たちは、その車を土手の下へと追いやります。車のあとを追う父と母、そして少女ポーレット(五歳)。お洒落な服、裕福な暮らしがみてとれます。車を棄て、歩きだす父と母、ポーレットは子犬を抱き、あとを追いかけます。

逃げているのはフランス人?攻めて来てるのはドイツ軍? ドイツ軍のフランス侵攻の時か。戦闘機は見えますが、敵の顔は見えません。淀川さんの解説によると、フランスの戦争映画はこういうものらしい。

今度は編隊を組んで現れたドイツ軍。空爆、機銃掃射。再び伏せる人々。子犬が逃げ出し、それを追うポーレット。標的状態です。慌てて娘を追う父と母、ポーレットを押さえ、伏せますが、銃弾が命中。二人は息絶えます。母親の顔に不思議そうに手をやるポーレット。子犬も撃たれたようでピクピクしています。

機銃掃射の弾が一直線に襲ってくるのを見ると避けられそう、伏せていたのが仇になりました。犬の痙攣は演技? それとも薬でも射ったのか。

ポーレットは後から来た年配夫婦に拾われ、その荷車(にぐるま)に乗ります。でも、子犬(死骸)を川に投げ捨てられてしまい、流れていく子犬をポーレットは追いかけます。そして、少年ミシェルと出会います。

ここまではあれよ、あれよと話が進みます。日本公開は1953年。シェーン、ローマの休日、東京物語、君の名は・・・などが公開された年。他と比べてもテンポが早いような。無駄のない展開が巧みです。

ミシェルは貧しい農家の子。父、母、多くの兄姉と暮らしてます。しぶしぶポーレットを預かることになったドレ家。母親が飲み物を差し出しますが、ポーレットはいらないと言います。あら、なんか入っているものねぇと指で、浮いている虫をとる母親。癖のある父親(ジョゼフ)はいつも怒っている様子。お嬢様のポーレット、ここで暮らすのは辛そう。

そして、隣のグアール家。ドレ家とは犬猿の仲。両家のいがみ合いが度々描かれます。それはくどいほどに。フランスとドイツも隣同士、戦闘機や戦車の代わりに、殴りあいで戦争の醜さを表していると言うことでしょうか。

仲良しのポーレットとミシェル。ミシェルがポーレットを気遣う姿が健気です。ポーレットの要求が多いのは、これもまたフランスらしい。(再び日曜日洋画劇場での淀川長治さんの解説より)
そうなのか。
(^_^;)

墓(子犬の)が一つなのは寂しいと言うポーレット、ミシェルは教会や墓から十字架を盗み、小動物を殺し、その墓をつくります。魔性の女を予感させるポーレット。
(^_^;)

ポーレット役はブリジット・フォッセー。映画初出演。オーディションで選ばれたそうです。後にラ・ブームでソフィー・マルソーの母親役を演じてます。また、初めに撃たれて亡くなるポーレットの父、母は、ブリジットの本物の父母が演じてるそうです。

一方、ミシェル役はジョルジュ・プージュリー。やはり映画初出演、後に死刑台のエレベータに出ています。

「禁じられた遊び」は、原題「Jeux interdits」の直訳とのこと。でも映画の内容と違うような。「禁じられた」と過去形になっているので、楽しんでた遊びが、途中で禁止されるのかと思いきや、さにあらず。大人たち(と言っても父親と司祭だけ)が、ミシェルが十字架を盗んだのを咎めているのであり、お墓を作っていることさえ気付いていません。

ちなみに原作の原題は「Les Jeux inconnus」、「名も無き遊び」ぐらいの意味だそうです。また、原作ではミシェルは、教会の十字架を盗もうとして、足を滑らせ死んでしまうらしい。

物語の途中で亡くなるミシェルの兄、ジョルジュ。馬に蹴られて死ぬ人を初めて見ました。人の恋路でも邪魔したのか。

ミシェルの姉ベルトは、 グアール家の長男と恋仲。両家の父親に火に油を注ぎます。
 

 

<ここからはネタバレ、できれば映画を観てから読んで下さい>

警察がドレ家に。でも、十字架泥棒を捕らえにきたのではなく、ポーレットを引き取りにきたと知るジョゼフとミシェル。ジョゼフは十字架のありかを言えば、ポーレットを孤児院にやらないと言い、ミシェルは白状しますが、結局ポーレットは警察に連れていかれてしまいます。怒ったミシェルは水車小屋の十字架を川に投げ捨てます。十字架を捨てる。当時、衝撃的な映像だったらしい。

制作者の意図はなんだったのでしょう。大人は戦争でたくさん墓を作ってる(人を殺してる)。子供も真似して墓を作ったが、意味がないことに気付き、墓を捨てたということなのでしょうか。

物語の最後、どこかの駅。ポーレットを迎えに来たシスター、大きな帽子をかぶっています。ポーレットに声をかけ、ここで待つようと話し、その場を去ります。大勢の人々の中、一人取り残されるポーレット。一人の女性が声をあげます。

「ミシェル!ミシェル!」

久しぶりに会えた男に向けた、その声にポーレットが反応、ミシェルがいるの? しかし、その姿はありません。ポーレットは当てもなく走りだし、群衆の中に消えていきます。

ネット上の感想を読むと、多くの人が指摘している事が。この時ミシェルが、一言ママと言うところ。ミシェルを失くした時、ママを思い出す。なんて深い人間洞察、残酷な現実でしょう。

トランプ大統領になった時、不穏な空気が漂い始め、ああ、こうやって戦争が始まるんだと思いました。その後、落ち着いて戦争になるようなことはありませんでした。そして任期満了、大統領選敗北となりましたが、負けたことのない国のやることは怖いです。

この「禁じられた遊び」のような、柔らかな説得(戦争反対)が、じわじわと浸透。最後のストッパーになっている、そう信じたいものです。まず、隣と仲良くすることか。

終わり

公開当時(1953年)の出来事

マリリン・モンローがジョー・ディマジオと結婚。
営団地下鉄丸ノ内線の池袋駅 ~ 御茶ノ水駅間が開業。
アメリカのテレビ局NBCのニューヨーク局WNBCが世界初となるカラーテレビの本放送開始。
日本の遠洋マグロ漁船第五福竜丸が米国の水爆実験によって発生した多量の放射性降下物を浴びる。
アニメ映画『ダンボ』が日本初の日本語吹き替え映画として公開。
ドラマ「逃亡者」の原案となる、シェパード夫人殺害事件発生。
ヴェネツィア国際映画祭で黒澤明監督の『七人の侍』と溝口健二監督の『山椒大夫』の日本映画2作品が銀獅子賞を受賞。
東宝映画「ゴジラ」が公開される。
日本プロレスで初の日本選手権が行われ、力道山が木村政彦を下す。

 

蘊蓄

撮影の予算オーバーによりオーケストラを組むことが出来ず、劇伴は全編を通してナルシソ・イエペスがギター一本で演奏した。これにより「愛のロマンス」が広く知られることとなった。
ポーレットの両親はブリジット・フォッセーの両親が演じている。

当時まだ20代の若手ギタリストだったナルシソ・イエペス(1927~1997)。たまたまパリのカフェで、クレマン監督と知り合ったのがきっかけだったといいます。
2人が出会ったとき、クレマン監督はすでに「禁じられた遊び」の映像を撮り終わっていましたが、予算を使い果たして音楽が付けられないというピンチ。相談を受けたイエペスが、それならわたしがということで、ギター1本で、期待以上の効果を挙げてみせたのでした。

 

資料

原題 Jeux interdits
英題 Forbidden Games
惹句 永遠の輝きにみちた世界映画史上不滅の名作!
脚本 ジャン・オーランシュ
原作 フランソワ・ボワイエ『Les Jeux inconnus』

監督 ルネ・クレマン
制作 ポール・ジョリ
指揮
音楽 ナルシソ・イエペス
主題
撮影 ロベール・ジュイヤール
編集 ロジャー・ドワイア
美術

女優 ポーレット / ブリジット・フォッセー
俳優 ミシェル・ドレ / ジョルジュ・プージュリー
俳優 ジョゼフ・ドレ(ミシェルの父)/ リュシアン・ユベール
女優 ミシェルの母 / シュザンヌ・クールタル
俳優 ジョルジュ・ドレ(ミシェルの長兄、馬に蹴られる)/ ジャック・マラン
女優 ベルト・ドレ(ミシェルの姉)/ ロランス・バディ
俳優 フランシス・グアール(隣の家の長男、ベルトの恋人)/ アメデ
俳優 司祭 / ルイ・サンテーブ
俳優 レイモン・ドレ(ミシェルの次兄) / ピエール・メロヴェ
俳優 グアール氏(隣の家の主人)/ アンドレ・ワスリー

会社 Silver Films
配給 東和
公開 1953年09月06日
上映 87分
国旗 フランス
言語 フランス語

費用
収入
 

 

 

本編を観るには・・・

関連 ~ ルネ・クレマン映画

 

参考・引用

禁じられた遊び – Wikipedia
第19回:『禁じられた遊び』(1952年):名画プレイバック|シネマトゥデイ
人生論的映画評論: 禁じられた遊び('52) ルネ・クレマン
禁じられた遊びネタバレ解説 原作とタイトル・結末が違う理由

 

更新履歴

初出)2021/02/26、シネマドローム
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