★[感想]パッセンジャー【ネタバレ】

 感想記事の抜粋


原題 Passengers
惹句 乗客5000人 目的地まで120年 90年も早く 2人だけが目覚めた 理由は1つーー。
監督 モルテン・ティルドゥム
女優 オーロラ・レーン / ジェニファー・ローレンス
俳優 ジム・プレストン / クリス・プラット
俳優 アーサー / マイケル・シーン
俳優 ガス・マンキューゾ / ローレンス・フィッシュバーン
やっぱりそれは駄目だろう。惑星移住への孤独な旅、パッセンジャーの感想です。

  

紹介

超大型宇宙船、アヴァロン。惑星移住の希望者5000人を乗せ、120年の旅に出ている。なんの問題もないはずの旅、しかしトラブルが。コールドスリープの故障により、男が一人目覚めることに。目的地まで、あと90年の道のりを残して・・・。
監督はイミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密のモルテン・ティルドゥム。主演、ジェニファー・ローレンス、クリス・プラット。2017年日本公開。
  

 

 

 

感想

惑星移住のため、120年もの長い旅に望む超大型宇宙船、アヴァロン。乗客は5,000人、みな人工冬眠で長い眠りについています。
・・・ってなんか、3~4世代前のSFの設定。手塚治虫のマンガにありそうです。もっとももう21世紀も20年が経過。現実世界では未だ宇宙旅行すら実現してない状態ですが。

航行中、前方に現れた巨大隕石。アヴァロンは自動防御で回避、自動復元しますが、影響がひとつ。コールドスリープの装置が一台故障。乗客のひとり、ジム(クリス・プラット)が目覚めてしまいます。まだ残り90年の旅路が残っている状態で。

起きているのが自分一人なのに気が付き、慌てるジム。宇宙船内を隈無く、探索します。超巨大な船。重力はあるし、食事もボタンひとつ。バーチャルルームで、音楽やスポーツ、ゲームや映画まで楽しめ、バーテンロボット(アーサー)のいるバーまで。未来の世界。でも30世紀になっても、あんな大きな船は飛ばせないだろうなぁ。

誰ひとりいない世界。初めは楽しんでいたジムですが、次第に自堕落な生活に。そして孤独に苛(さいな)れるようになります。自殺まで考えるジム。そんな彼の前に現れたのがオーロラ(ジェニファー・ローレンス)。その体はコールドスリープ装置の中、彼女は長い眠りについていました。

宇宙の孤独な旅。キューブリックの名画、2001年宇宙の旅を思い出しました。長い木星への旅。三人が人工冬眠、二人とメインコンピューターHALとの航行。静かなディスカバリー号の中、ボーマン船長に届いたビデオメール。陽気な家族の映像、でもそれを見ても表情ひとつ変えない船長。長い長い旅の中、人がどう変わるのか。とても印象的なシーンでした。

一方、パッセンジャーはオーロラが出て来てナンホの映画のよう。ジムはオーロラに出会うまでの一年間、孤独な船内探索を続けます。この間がちょっと退屈。凄い未来技術に驚きたいところですが、だいたい想像の範囲内の仕掛け。少しコメディテイストで、物足りません。所詮、男はひとりでは生きていけないのか。この映画は宇宙船が舞台の、シリアスラブストーリーと思った方がいいのかも。
  

 

<ここからはネタバレ、できれば映画を観てから読んで下さい>

彼女と話がしたい。でも目覚めさせてしまったら、彼女も残りの人生を宇宙船の旅で終ることに。ジムは悩みます。
アーサーに相談するも意味なし。一度は断念しますが、長い孤独な旅。結局ジムはオーロラを起こしてしまいます。なぜ起きたかはわからないことにして。ダメだろう、そんなことをしちゃ。
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もっとも同じ状況になったら、自分も同じことをするかもしれませんけど。

やっぱり女性の力は凄い。オーロラの登場で、映画がパッと明るくなります。演じているのはジェニファー・ローレンス。X-menの青い女(ひと)です。

宇宙船の中でふたりきり、ロマンスに発展する若い二人。良い頃合いになった頃、ジムの秘密を明かしてしまうアーサー。ありゃりゃ。
オーロラはジムを恨み、拒絶。孤独よりも最悪な状態に。殺されそうになったりします。死んだら宇宙に捨てるのかな。

この後、クルーのガス(ローレンス・フィッシュバーン:マトリックスのモーフィアス、地獄の黙示録のクリーン)が目を覚まし、アクセス禁止だったエリアにも、入れるようになった二人。三人で船内を調査する中で、宇宙船に危機が迫っていることが判明。ジムを目覚めさせたトラブルは徐々に船内に広まり、誤動作多発。頼りのガスは死んでしまったし。ジムとオーロラは力をあわせて、難局を乗り切ります。

一台だけ復活したスリープマシンを、オーロラは使わず、長い旅路を二人で臨むことに。それで良いのか?オーロラ。

数十年後、目的地に同着したアヴァロン。出迎えた人々の前に現れたのは、ジムとオーロラの子孫たちだったを匂わす結末となります。ネット上では賛否両論、どちらかと言えば批判的な感想が多かったような。

もっとも、現れたのがジムの子孫かどうかは不明。オーロラが別の男を起こし、作った子供の可能性もあります。長い航海で何が起きるかわからないので。

宇宙船での旅。それは日本で平々凡々と過ごすサラリーマンでも同じ。ともに楽しく過ごせるパートナーを見つけることができるか否かが、その人の人生の明度を決めます。その違いは大きい。結ばれた後、月日が経つと二人がどうなるか、この映画同様不明ですが。

もう、他人事ではなくなるかも。これからどうなるか楽しみです。

終わり

 

蘊蓄

オリジナル脚本と映画版はココが違う!
では、実際にオリジナル脚本と映画版ではどのように違うのでしょうか。おおまかな話の流れや設定は同じです。しかし決定的に異なるのが、甲板長であるガスが死んでからの展開です。映画版では、ジムとオーロラが協力して危機を乗り越え、二人で宇宙船に家を建てました。しかしオリジナルの脚本では、ジムとオーロラ以外の乗客および宇宙船のクルーは死んでしまいます。ジムとオーロラが船内の異常部分を修理した後に、宇宙船が乗客とクルーが眠る冬眠ポッドを宇宙に放出するのです。そして放出されたポッドを見てオーロラは、ジムに起こされていなかったら自分も死んでいたと知ります。最後に新しい星に到着し、大勢の子どもと子どもより人数の少ない大人が宇宙船から降ります。これが本作とは異なる、オリジナル版の最後なのです。

 

 

資料

原題 Passengers
惹句 乗客5000人 目的地まで120年 90年も早く 2人だけが目覚めた 理由は1つーー。
脚本 ジョン・スペイツ
原作

監督 モルテン・ティルドゥム
制作 ニール・H・モリッツ、スティーヴン・ハメル、マイケル・マー、オリ・マーマー
指揮 デヴィッド・ハウスホルター、ベン・ブラウニング、ジョン・スペイツ、リンウッド・スピンクス、ブルース・バーマン、グレッグ・バッサー、ベン・ウェイスブレン
音楽 ーマス・ニューマン
主題 JUJU 『Because of You』(日本語吹替版テーマソング)
撮影 ロドリゴ・プリエト
編集 メリアン・ブランドン
美術 ガイ・ヘンドリックス・ディアス
視覚 エリック・ノードビー

女優 オーロラ・レーン / ジェニファー・ローレンス(乗客、ジャーナリスト)
俳優 ジム・プレストン / クリス・プラット(乗客、技術者)
俳優 アーサー / マイケル・シーン(バーテンダーのロボット)
俳優 ガス・マンキューゾ / ローレンス・フィッシュバーン(乗組員クルーのチーフ)
俳優 ノリス船長 / アンディ・ガルシア

会社 ヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズ、スタート・モーション・ピクチャーズ、オリジナル・フィルム、Lスター・キャピタル、ワンダ・ピクチャーズ、コンパニー・フィルムズ
配給 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公開 2017年3月24日
上映 116分
国旗 アメリカ合衆国
言語 英語

費用 $110,000,000
収入 $303,144,152

 

 

  

本編を観るには・・・

 

参考・引用

パッセンジャー (映画) – Wikipedia
映画評論 パッセンジャー
パッセンジャー 映画感想・ネタバレ 恋人になれなかったらある意味ホラー | サウウェブ
映画『パッセンジャー』の私的な感想―オリジナル脚本に込められていた本当のテーマ―(ネタバレあり) – マリブのブログ
『パッセンジャー』の改変されたオリジナル版ラスト / 強姦神話としての眠り姫からアダムとイヴへ – 辰巳JUNKエリア
 

 

更新履歴

2稿)2020年02月26日、シネマドローム ネタバレ感想追加
初出)2020年02月13日、シネマドローム
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