★[感想]ワイルドバンチ

 感想記事の抜粋


原題 The Wild Bunch
惹句
監督 サム・ペキンパー
俳優 ウィリアム・ホールデン
俳優 アーネスト・ボーグナイン
俳優 ロバート・ライアン
俳優 エドモンド・オブライエン
蘊蓄 当初は『ワイルドバンチ』の主演はペキンパーの飲み友達であったリー・マーヴィンが予定されていた。
ヴァイオレンス・アクション映画の鬼才サム・ペキンパー監督の西部劇、ワイルド・バンチの感想です。

 

作品紹介

1969年製作、血まみれのサムが西部劇に引導を渡した「最後の西部劇」。
「アメリカン・ニューシネマ」の一つとされる。
 

感想

ベスト映画は何か? ネット上の感想を読んでいると、そんな話題に出会います。ある人のページで熱く語られていたのがこの映画。タイトルをワイルドパンチと見違え、検索に引っ掛からず、しばらく謎の映画となっていました。この間偶然ツタヤにビデオがあるのを発見。なんと西部劇でした。サム・ペキンパー監督作品、名前は聞いたことあるんだけど誰?

1913年、メキシコ国境近く。荒れ地の中にある町。道端で子供たちが歓声を上げています。その輪の中心にはサソリとそれに群がるたくさんの蟻。子供たちが見せる純粋な残酷さ。男たちが現れ、前を横切る老婆に手を貸しました。そして駅へと向かう《 やつら 》。
一方駅舎でも、やつらの来るのを待ち構えています。あいつら、今日こそ皆殺しだ。やつらの正体は強盗団。向かえるのは彼らを捕まえれば刑を免れる囚人達です。

これだけいい人が出てこない映画も珍しい。深作欣次の映画と言ったところ。( 見たことないけど )
(^^;

駅前広場での撃合いは、悲惨そのもの。ミサ帰りの老人たちも巻き込み、修羅場になります。馬車で逃げるやつら、追う囚人たち。馬車が橋を渡ると待ち構えていた仲間がダイナマイトに火を。しかし橋板が抜け、馬車が立ち往生、間一髪なんてシーンも。

カラーの画面がダーンと白黒で抜けるシーンやストップモーションの切り返し。たまに見るこの手のカットは、この監督がオリジナルなのでしょうか?

逃げるやつらと追う囚人たち。囚人のボスとやつらのボスは、昔は同じ一味。そんな設定もあまり深追いせず、一行はメキシコへ。仲間の一人の故郷に入ります。そこで軍隊化した野盗の群れの話を聞きます。仲間の恋人がつれ去られたと聞き、やつらは野盗のアジトへ。まるで城塞のようなアジト。大勢の子分たちを従え現れた軍服姿のボス。駆け寄る女達の中に恋人の姿が。詰問する彼に彼女が罵声を浴びせ、ボスの元に走った時、彼の拳銃が火を吹きます。城塞全体を敵に回すやつら。・・・おぉ。一気に緊迫。

ラスト。残された4人。売春宿の金を踏み倒す男、声をかけるボス。 《 行くか 》。その声に意を決します。仲間を助けるため、野盗団に単独4人、殴り込みをかけるシーンは、私もちょっと血が騒ぎました。
(  ̄д ̄)p

壮絶な死の美学。みんなが死んだ後、一番の老いぼれが生き残り、囚人のボスと手を組むエンディングが巧いです。

終わり

台詞

「LET`S GO ?」「WHY NOT」
 ラスト、銃撃戦に向かう前のやつらの台詞。なんか、粋だなぁ。

蘊蓄

ペキンパーは本作品でスローモーション撮影と当時のカラー映画最多の3600カットを駆使し、アクション映画における暴力描写に新境地を切り開いた。特に6台のマルチカメラを用いて11日間ぶっ通しで撮影されたというラストの壮絶な大銃撃戦は、「デス・バレエ」(死のバレエ)、「ボリスティック・バレティックス」(弾道バレエ)などと呼ばれ、後続の映画製作者たちに多大な影響を及ぼした。

1969年度のアカデミー賞で作曲賞と脚本賞にノミネートされたが、受賞には至らなかった。1998年にアメリカ映画協会が選んだ映画ベスト100中第80位、2007年に更新されたリストではベスト100中第79位にランクインした。1999年にはアメリカ国立フィルム登録簿に登録された。

スローモーションによる強烈なバイオレンスをアーサー・ペン『俺たちに明日はない』に先を越されてしまった悔しさからか『ワイルドバンチ』の撮影現場で「俺たちで『俺たちに明日はない』を葬り去るってやる!!!」とペキンパーが何百もの弾着を仕掛けながらそう言っていたと衣装係のゴードン・ドーソンは回想している。また『俺たちに明日はない』のラストのバイオレンスシーンもペキンパーと同じくアーサー・ペンが尊敬している黒澤の『七人の侍』と『椿三十郎』を手本にしたものである。

冒頭の銃撃戦のシークエンスの中に写っている子供たちの一人はペキンパー自身の子供である。当初は『ワイルドバンチ』の主演はペキンパーの飲み友達であったリー・マーヴィンが予定されていた。

ワイルドバンチとは西部開拓時代に実在した列車強盗・銀行強盗の集団名。「無法者の集団」という意味。

「一体、どの様な理由であれほどの大量の流血の描写が必要なのですか?」との質問にボーグナインは「いいですかレディー、人が撃たれたら血は流れるものなんです」と答えた。

橋の爆破シーン。セッティングの時、スタントマンが火薬の量を注意。気づかなければ全員橋ごと吹き飛ばされていた。

撮影終了後、監督は効果音を全て録音し直した。
「 私はそれぞれの銃を違った感じで処理したい。パイクの銃は特別な感じにし、ライアンのライフルは屋根の上にいる他の賞金稼ぎどもの銃とは特徴を変え、パーンとはじける音に。ストローサー・マーチンの銃は特大で、バッファロー撃ちに使うやつだ。それぞれの銃は持ち主にあった音を出さなくてはならない 」

 

資料

原題 The Wild Bunch
英題 The Wild Bunch
惹句
脚本 ウォロン・グリーン、サム・ペキンパー
原作

監督 サム・ペキンパー
製作 フィル・フェルドマン
指揮
音楽 ジェリー・フィールディング
主題
撮影 ルシアン・バラード
編集 ルイス・ロンバルト
美術

俳優 パイク・ビショップ / ウィリアム・ホールデン
俳優 ダッチ・エングストローム / アーネスト・ボーグナイン
俳優 デケ・ソーントン / ロバート・ライアン
俳優 フレディ・サイクス / エドモンド・オブライエン
俳優 ライル・ゴーチ / ウォーレン・オーツ
俳優 テクター・ゴーチ / ベン・ジョンソン

配給 ワーナー・ブラザース=セヴン・アーツ
公開 1969年8月16日
上映 134分(劇場公開版)、145分(ディレクターズ・カット)
国旗 アメリカ合衆国
言語 英語

費用 $6,000,000
収入

 
 

本編を観るには・・・

参考・引用

ワイルドバンチ – Wikipedia

更新履歴

5稿)2022年01月18日、シネマドローム
4稿)2018年02月28日、シネマドローム
3稿)2015年05月08日、シネマドローム
2稿)2011年02月16日、シネマパレード~隼
初出)2005年08月22日、東京つまみ食い
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