● 私が人間か、機械か判定してください。(==; イミテーションゲームの感想です。

 

作品紹介

● 解読不可能と言われたドイツの暗号機、エニグマ。その解読に成功したのはイギリスの数学者、アラン・チューリング。
● チューリング役はベネディクト・カンバーバッチ、その恋人(?)にキーラ・ナイトレイ。
● 監督はモルテン・ティルドゥム

感想(前編)

● 第2次世界大戦時、ドイツ軍が用いていた暗号機、エニグマ。ドイツ語で「 謎 」という名のこのマシン。解読不可能と言われたその暗号は、連合国側を大いに悩ませたといいます。

当時でも無線は利用可能。遠くの味方に作戦を伝えることはできますが、敵側も傍受可能。そこで暗号化技術が重要になってきます。本部からの指令は暗号化して発信、暗号の解き方をしる味方は意味がわかるけど、敵側には意味不明というわけ。

暗号はどんどん複雑になり、人手では処理不能なレベルに。暗号機の登場となります。中でもエニグマは156,000,000,000,000,000,000通りの暗号化が可能。この中から毎日違う設定で暗号化、確かに解読は不可能かも。これだけパターンがあると、スーパーコンピュータでも無理かもしれません。
(味方の中では何月何日はどの暗号化を使うか、リストを共有化してたらしい)

イギリス情報部では数学者アラン・チューリングに白羽の矢を当てます。苦労の末、暗号を解読、連合軍の勝利に貢献するというのが、この映画の大筋。でも実際に見てみると予想と大きく違う印象。映画は予告や宣伝文句と作品自体が大きく違うのは珍しいことではないですが。

● 物語は3つの時間が交錯して語られます。アランが暗号の解読に明け暮れる日々。アランの少年時代、そして終戦後のアラン。多くの天才がそうであるように、ちょっと変人なアラン・チューリング。自意識の強い彼は解読メンバーからも孤立。少年時代、教育の不可の下に釘付けされるシーンが挿入されます。
(イギリスのイジメ、激しい!)

解読のため、大金をかけチューリングマシン(解読器)を作ろうとするが、デニストン中佐(作戦上の上司)が反対、上司の言うことを聞けという中佐に、あなたの上司は誰かと聞くチューリング。アランはチャーチル首相に直訴状を出し、希望を叶えます。そしてチームのリーダーに。役に立たないというメンバーを二人辞めさせます。理屈に窮屈、空気の読めないアランは、ますますメンバーから孤立することに。

アラン・チューリング役はデビッド・カッパーフィールド、・・・じゃないベネディクト・カンバーバッチ。
覚えられん(--;

現代版シャーロック・ホームズ役を見たことがありますが、こういう役もこなすんだ。おどおどしている仕草が巧い。後半、ゲイであることがわかりますが、直接的な表現はありません。

● アランの救いとなるのがジョーン・クラーク(キーラ・ナイトレイ)。人手不足となったチーム、新聞にクロスワードパズル(実は覆面試験)を解き、やってきた女性。本試験ではアランでも6分かかるという難問パズルを5分で解き、アランを驚かせます。
アランの天才エピソードが出てこないので、実はこの人が凄いのかと思いましたが、そういうエピソードもありませんでした。しかし、ジョーンのおかげで、メンバーとの関係に光が見えるアラン。メンバーに披露する「熊」のジョークが笑えます。

時が過ぎ、まったく成果の出ないチューリングマシン。業を煮やしたデニストン中佐はマシンの破壊を指示、しかしメンバーが仲裁に入り、1ケ月の猶予をもらいます。ジョーンに望みをかけるアラン、でも駄目。しかしジョーンの友人の一言に閃きを得て、ついに暗号を解く手がかりを見つけます。その話の前に、エニグマとチューリングマシンの話を少々。

● ポーラインドが手に入れたエニグマが1台、解析チームのもとにありました。タイプライターみたい、小さなエニグマ。平文(普通の文)を入力すると暗号文が出力されます。1台でその逆もできるもよう。普通に考えると「A」という文字は「X」に、「B」は「Y」に、「C」は「Z」に・・と変換するマシンを想像します。エニグマはそれが当然できますが、それだけではありません。設定により変換方法自体を選べるのです。つまり設定により「A」は「X」になるかもしれないし「L」になるかもしれないのです。エニグマを作った人、凄い!
具体的には以下のようにして設定します。

1)複数あるローターの中から3枚を選ぶ。
2)ローターを順にエニグマにセット、ローター位置(どの文字を一番上にするか)をあわせる。
3)プラグボートの配線を変更する。

同じ文字が登場しても、同じ文字変わるわけではないらしい。調べれば調べるほど、複雑なエニグマです。

一方、アランの作ったチューリングマシン、こちらは壁ほどの大きさ。工事中みたいに大きな音をたてて動作します。アランはこのマシンをクリストファ(実は少年時代の初恋の男(ひと)の名)と呼んでいます。
ガタンガタン、電気を食いそうなチューリングマシン。エニグマのすべてのパターンを試すどころが、2桁の掛け算も難しそう。無謀だ。さてこれでどうやって暗号を解読できるようになったか。この映画の肝、ここから先はネタバレです。

感想(後編)

< ネタバレ注意 >

● もう期限の1ケ月も過ぎたし、諦めて飲みにでも行こうか・・・みたいな場面。酒場でジョーンの同僚の一言にアランは言葉を失います。

「解読の手がかりを見つけた!!」

キーワードは「天気」と「ハイル」と「ヒットラー」。朝一番に発信される天気報告。毎日異なるパターンで暗号化されていてもその電文には必ずこの3つの言葉が含まれる。これを元に検証対象を絞り込めば・・・。
すぐさまクリストファの設定を変え、暗号文を入力するアラン。動き出すクリストファ、そしてすぐに結果を出力、みな歓喜の声を上げます。抱き合って喜ぶメンバーたち。

「エニグマの暗号を解読した!」すぐにドヤ顔ででニクソン中佐に報告すると思いきや、逆に報告しようとするメンバーを制するアラン。エニグマを解読したことはドイツ軍にはおろか、味方にも知られてはならないと言います。理由は簡単、ドイツ軍の攻撃の先手を打つようなことをすれば、敵は暗号が解読されたことに気付いてしまう。すぐに暗号方法を変えてしまうだろう。そうなったら今までの苦労は水の泡です。解読した暗号のうちどれに対応、どれを見逃すか。対応する場合も暗号を解いたことがわからないおうな自然な形で・・。メンバーの兄に危険が迫っても見殺しにするアラン。エニグマの解読は伏せられたまま戦争は続き、そして連合軍の勝利で戦争は終わります。

● 第1の感想はこれをドキュメンタリーでみたかったなぁということ。エニグマの構造やチューリングマシンの仕組み、そしてそれがどのように今のコンピュータに進化したのか等々。脚色や演出のないより史実に近い形で見たいです。
例えば暗号解読のキーとなった「天気」と「ハイル」と「ヒットラー」。実際には「天気」だけだったらしい。それだけで解読とは、そっちの方が凄い。またジョーンはもっと地味な女性だったとか。アランの姪はミスキャストだといったとか。また原作者ジョーンとの関係を現実以上に作り上げていると評した。(アランと婚約、それが破棄されるのは本当)。
NHKスペシャルとかで取り上げてほしいくらいですが、極秘の作戦だから資料がなくて無理なのかなぁ。

第2の感想は実はエニグマの方が凄いのではということ。ドイツ軍から奪った1台があったから解読できたのであって、逆にエニグマが敵の手に渡っても、天才がいて、これだけ苦労しなければ解読させなかったというところが凄い。むしろコンピュータの元になったのはチューリングマシンではなくエニグマのような気がします。
 
 


 
 
● 戦争終了後、アランが警察の尋問を受けることに。その中でアランがチューリングマシンの話に。相手が人間か、知性を持つ機械かを判定するゲーム。アランはゲームをやってみようと言い、この長い物語を刑事に語ったということらしい。そして語り終わったアランは最後に刑事に聞きます。私は犯罪者なのか、英雄なのかと。
勝利に貢献したとは言え、多くを見殺しにしなければならなかったのも事実。つらい決断もあったのか。アランは後に青酸カリを飲み自殺をしたとのテロップも。幸せな人生を送りたかったら平凡が一番、ふつうの泣き笑いができるのがいいんだろうなぁ。

● これは映画館で観るより、自宅でじっくり観る映画かも。戦争のシーンも少ないし、血の苦手な人も安心して見ることができます。派手なVFXシーンはありませんが、じっくり人間ドラマを見たい人はどうぞ。

薀蓄

● エニグマ(enigma)はドイツ語で「謎」を意味する。
● チューリングマシンは、クリストファではなくチューリングボンベと呼ばれていた。
● ブレッチレーには、最大で約7000人も勤務し、エニグマの解読にあたっていた。戦後は「戦争中はどっかに逃げていた卑怯者」扱いされ、職を失った人もいた。
● he Imitation Gameという題名は、『計算する機械と知性』と題された1950年の論文においてチューリングが考案したテストの名前に因んでいる。
● 彼の友人であり一時婚約者でもあったジョーン・クラークとチューリングの関係は議論の対象となり、
● 原作者ホッジスは脚本を「ジョーンとの関係を現実以上に作り上げている」と表した。
● チューリングの姪ペインはクラークは「どちらかというと地味」であったと述べ、ナイトレイの起用は不適切ではないかと語った。

資料

● 原題:The Imitation Game
● 監督:モルテン・ティルドゥム
● 脚本:グレアム・ムーア(英語版)
● 原作:アンドリュー・ホッジス(英語版)
● 製作:ノーラ・グロスマン、アイドー・オストロウスキー、テディ・シュワルツマン
● 製作総指揮:グレアム・ムーア
● 音楽:アレクサンドル・デスプラ
● 撮影:オスカル・ファウラ(英語版)
● 編集:ウィリアム・ゴールデンバーグ
● 製作会社:ブラック・ベア・ピクチャーズ、フィルムネーション・エンターテインメント(英語版)、ブリストル・オートモーティブ

♂ アラン・チューリング : ベネディクト・カンバーバッチ(三上哲)
♀ ジョーン・クラーク : キーラ・ナイトレイ(佐古真弓)
♂ ヒュー・アレグザンダー : マシュー・グッド(福田賢二)
♂ ロバート・ノック刑事 : ロリー・キニア(こねり翔)
♂ ジョン・ケアンクロス(英語版): アレン・リーチ(中林俊史)
♂ ピーター・ヒルトン(英語版): マシュー・ビアード(英語版)
♂ アラステア・デニストン(英語版)中佐 : チャールズ・ダンス(有本欽隆)
♂ スチュアート・ミンギス少将 : マーク・ストロング(てらそままさき)

● 配給(イギリス):スタジオカナル
● 配給(アメリカ):ワインスタイン・カンパニー
● 配給(日本):ギャガ
● 公開(イギリス):2014年11月14日
● 公開(アメリカ):2014年11月28日
● 公開(日本):2015年3月13日
● 上映時間 114分
● 製作国:イギリス、アメリカ
● 言語:英語、ドイツ語
● 製作費:1400万ドル
● 興行収入:$208,521,672

【 Youtube 】映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』予告編 – YouTube

本編を観るには・・・


天才数学者、アラン・チューリングの
数奇な人生を描いたサスペンス
( オムニセブン )

 

 

参考

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 – Wikipedia
エニグマ (暗号機) – Wikipedia
【ネタバレ】イミテーションゲームについてわからないところがあった… – Yahoo!知恵袋
イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(ネタバレ)|三角絞めでつかまえて
チューリングとエニグマ暗号機
ナチスの暗号「エニグマ」はなぜ解読困難だったか – 歴ログ -世界史専門ブログ-
*ネタバレあり* 映画「イミテーション・ゲーム」について先日… – Yahoo!知恵袋
映画イミテーションゲームについてネタバレありです。冒頭の… – Yahoo!知恵袋

更新履歴

2稿)2016年04月03日、シネマドローム、感想後編ほか追加
初出)2016年03月30日、シネマドローム