原題 着信アリ
惹句 3日後の自分からの着信。残されたメッセージは死の予告。あなたの携帯にも「死」が届く。
監督 三池崇史
女優 柴咲コウ
俳優 堤真一
女優 吹石一恵
俳優 岸谷五朗
蘊蓄 着信履歴に残る時刻は未来の時刻。未来の時刻は不定で数分~数十分後という短いものから3週間~半年後という長いものまである。
貞子(リング)も見たし、伽椰子(呪怨)も見た。でも美々子はまだ、ということで、着信アリの感想です。
作品紹介
この着信音は死の予告。秋元康原作のホラー小説を映画化、3本シリーズの1作目。
2008年には「ワン・ミス・コール(One Missed Call)」というタイトルでハリウッドでリメイクされた。
感想
タイトルクレジット、企画・原作 秋元康の文字に不安が・・・。でも他のJホラーにはないテイストがあって面白かったです。主演クラスの女優を2人(柴咲コウ、吹石一恵)を持ってくるところと、謎を残す終わり方がそれっぽい。
10年以上前の映画。二つ折りのケータイが懐かしい。でもスマホを使っちゃうともう不便そう。ビデオテープと同様、もう使っている人は少ないです。テクノロジーの進化についていかなきゃならないなんて、霊も大変だなぁ。
ケータイの「着信アリ」の表示はコール中に出れなかった時に表示されたと思いますが、出れても出れなくても殺されます。無慈悲な美々子(みみこ)。そもそも予告するのは殺す人を苦しめるためなんて質(たち)が悪い。アドレス帳から次のターゲットを選ぶなんて、ハッカー並み。
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なつみ(吹石一恵)のケータイに着信。電源を切ってても駄目か・・・。友達からは電話帳から自分の番号を消すように言われ、マスコミに付きまとわれ、結局テレビ番組で除霊の最中に殺されます。不自然に曲がった自分の手で、自分の首を絞め千切るという悲惨。なつみのあげる篭った悲鳴が妙にリアルです。吹石一恵はこの頃がピークだったなぁ。
この映画の一番のキモ、死の予告の着信音。中盤、サイコなこの音楽は子供番組のものだとわかります。熊の縫いぐるみから流れる外国語の歌詞がついた歌。これはこれで怖い。
過去に何かありそうな本宮刑事(石橋蓮司)。序盤からの敵対感がどうかわるのか、ちょっと期待をしたのですがそのままでした。無骨な古参デカの配置に意味がないような。活躍はパート2なのかな。
タイムリミットは16時間。謎を求め夜の廃病院をさ迷う由美(柴咲コウ)。お化け屋敷的な吃驚の連続。映画館で見てたら、周りが悲鳴の嵐になりそう。母の面影と重なるとはいえ、腐った死体と抱き合うのは辛い。
柴咲コウは気の強い役が多いイメージですが、今回は子供の頃、虐待を受けた女子大生役。傷を持つ女性の「か弱さ」を演じてます。
でもなぜ、なつみがテレビに出ることをあれほど反対するのかが不思議でした。
予告の時刻が経過。助かったかにみえた由美ですが・・・。部屋に戻ると時計が逆回り、予告の時間にまで戻ると美々子が現れます。なぜ、わざわざ部屋の時計だけ時間を戻す?
律儀だなぁ。
(^^;
虐待の理由として、代理ミュンヒハウゼン症候群の話が出てきます。特命リサーチ200Xでは「連続幼児怪死事件を調査せよ!」でイギリスの看護師の話として紹介されてたのを思い出しました。自傷して周りの気を引くのがミュンヒハウゼン症候群、子供や配偶者を傷つけて気を引くのが代理ミュンヒハウゼン症候群。平成20年の調査では日本でも虐待死した児童の4.5%とが該当するらしい。霊よりもこっちの方が怖い、怖い。
終わり
ワンシーン
由美がなつみに電話するシーン。普通は2人の話すシーンを交互に映すか、画面を左右に分けて同時に見せるところ。ところがまるで混線でもしたように、別の会話が絡んできます。こんな感じ。
由美「もしもし、なつみ」
TVディレクター「おお、ひさしぶり」
由美「なつみ、水沼さんて人、知ってる?」
プロデューサー「なに言ってるの、明日だよ、放送」
由美「ううん、知らないならいいの。ねぇなつみ、テレビなんて止めたほうがいいよ」
プロデューサー「だから、天道先生の入り時間、30分早めてさ。セットチェックしてもらうんだよ、あのおっさん、ブチブチブチブチうるせいからさ」
由美「その霊能者の先生って、本当に信用できるの?」
プロデューサー「できるわけないじゃない、いまさら。あんた責任取れる?」
なつみ「由美がなんか、してくれるっていうの?」
由美「なつみ・・・」
プロデューサー「いいじゃん、それ」
なつみ「もう切らなきゃ」
会話がつながってないようで、つながっている。怖いシーンだけでなく、こんな風に、おやっと思わせるシーンがホラーには必要です。「仄暗い水の底から」では、それが怖いシーンにつながってて唸らされたことを思い出しました。
蘊蓄(予告電話の特徴)
発信者は自分の携帯電話の番号である。
着信履歴に残る時刻は未来の時刻。未来の時刻は不定で数分~数十分後という短いものから3週間~半年後という長いものまである。
着信メロディは登録の有無に関わらずどの人も同じメロディが用いられ、自分の携帯電話が鳴っているとは気付かない場合もある。
音声による予告の場合は、留守番メッセージに被害者自身の声や周囲の音が入っている。予告時間になると録音されていたものと全く同じ音や声が発せられる。
メールによる予告の場合は、被害者の死ぬときの写真や動画が添付されている。
被害者の携帯電話に登録されている電話番号から次の被害者が選ばれる(友人や恋人にかかって来やすい)。死の予告を受けた次の被害者が死ぬと、上記と同じような行動をする。
死に方は即死ではなくほとんど苦しみながら死ぬことが多い。(岡崎陽子が死の予告で電車に轢かれ、右手足を切断する重傷を負ったのにも関わらず即死ではなかった)
被害者は、その着信時刻にその電話の内容通りのセリフを自分が口にしたことや音に気付き、自らの死を悟り苦しみながら死んでいく。まれに着信履歴の時刻より早く死ぬこともある(原作で妹尾刑事が予告時間の1日前に死亡している)。
この予告を受けてしまうとその運命から逃れることは難しい。電源を切ったり、解約したり、破壊してもつきまとわれる。ただ、この予告を携帯電話の所有者以外の人が取れば、電話を受け取った人が身代わりとして死ぬことになる(『2』で判明)。また、『Final』では死の予告を受けても誰かに転送すれば、死の予告から逃れることができるが、転送できるのは、最初に着信を受けた人だけで転送された人はその予告を転送した人にも、他の人にも転送することができず、そのまま死んでしまう。犠牲を一人も出さずに死の運命から完全に逃れるにはそれを送る元凶をどうにかする必要がある(『Final』では、元凶となっていた水沼美々子を主人公や周囲の人間が一致団結して存在そのものを消滅させている)。
携帯電話の機能が向上するたびに、その機能に応じて新しい予告の形態が現れる。逆に、携帯電話や電話などのなかった時代には、「死の予告手紙」が被害者の筆跡で送られてきていた(80年前に台湾のある炭鉱の近くの村の人々が一人を除いて全滅している)。内容は「何日後、または何か月後にこういう風にして死ぬ」といったもの。電話での予告の場合は、電話を取ると被害者自身の声で「お前はいつ、どこで、どのようにして死ぬ。」という言葉を聞かされ、被害者はその予告通りに死ぬことになる。
● 被害者が死んだ後、口の中に赤黒い飴玉や台湾製の石炭が発見される。
資料
原題 着信アリ
英題 One Missed Call
惹句 来る。3日後の自分からの着信。残されたメッセージは死の予告。あなたの携帯にも「死」が届く。
脚本 大良美波子
原作 秋元康
監督 三池崇史
製作 黒井和男
指揮 -
音楽 遠藤浩二
主題 柴咲コウ「いくつかの空」
撮影 山本英夫
編集 島村泰司
美術 稲垣尚夫
女優 中村由美(女子大生)/ 柴咲コウ
俳優 山下弘(謎の男)/ 堤真一
女優 小西なつみ(女子大生)/ 吹石一恵
女優 水沼菜々子 / 清水聖波
俳優 本宮勇作(世田谷署の刑事)/ 石橋蓮司
俳優 藤枝一郎(プロデューサー)/ 松重豊
俳優 天道白水(インチキ霊能師)/ 花木薫
会社 -
配給 東宝
公開 2004年1月17日
上映 112分
国旗 日本
言語 日本語
費用 -
収入 15億円
本編を観るには・・・
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参考・引用
着信アリ – Wikipedia
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超映画批評「着信アリ」60点(100点満点中)
更新履歴
2稿)2018年02月07日、シネマドローム
初出)2015年05月10日、シネマドローム