★[感想]パラサイト 半地下の家族【ネタバレ】

 感想記事の抜粋


原題 기생충
惹句 全員失業中の一家が目指す、高台の豪邸。そこは、最高の就職(パラサイト)先――!?
監督 ポン・ジュノ
俳優 キム・ギテク / ソン・ガンホ
俳優 キム・ギウ / チェ・ウシク
女優 キム・ギジョン / パク・ソダム
女優 チュンスク / チャン・ヘジン
貧乏人は金持ちが嫌いです、パラサイト 半地下の家族の感想です。

 

 

紹介

カンヌ国際映画祭でパルム・ドール受賞、アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞を受賞の韓国映画。
高台の大豪邸のパク一家に入り込んだ貧乏人キム一家。しかしそこには先客がいた。上から下へ、喜劇から悲劇へ、物語が急展開する。
2020年日本公開、監督 ポン・ジュノ、出演 ソン・ガンホ、チェ・ウシク。
 

 

 

感想

2018年、アカデミー賞を受賞した韓国映画。アジアで初めての作品賞受賞で大きな話題になりました。

裕福な家庭の地下に、こっそり忍び込んだ貧乏人家族。そこでとんでもないことが起こる・・・。一体とんでもない事って何!? 映画を観るまではあまり情報を入れないようしてたので、誤解してたところが多々。観てみてわかりました。

貧民街、半地下に暮らす父母兄妹。全員失業中のキム一家に思わぬ話が。パク家(超金持ち)の娘(ダへ、女子高生)、その家庭教師をしている友人が海外に行くことになり、ギウ(兄)がその後釜に入ることになります。

頭の良いギウは策略を巡らせ、ギジョン(妹)を息子の美術の家庭教師に推薦、妹も気に入られます。次はチュンスク(母)をお手伝いさんに、そしてギテク(父)をお抱え運転手に。キム一家はパク家に入り込んでいきます。

パク一家が旅行に行くと天国、キム一家は家族でリビングでのんびり。だから、パラサイトなのか。半地下って金持ちの家の地下じゃないんだ。それにこっそり忍び込んだわけではなかったのね。なるほど。

キム一家の住む半地下(パンジハ)は韓国によくある住宅形態のもよう。丁度部屋の窓の真ん中辺りが地面、部屋から通行人が立ち小便する姿が見えます、あっ窓にかかった。部屋のトイレは逆流を防ぐために、異様に高い位置に。兄妹は無料のWifi電波を探し、家の中をうろうろします。

一方、パク家。羨ましくなる大邸宅。リビング広い! キッチン広い!! ウォーキングクローゼット広い!!!
こんな家に住んでみたいものです。お手伝いさん必須だけど。

描かれる対照的なふたつの家族、観てて感じたことが。それはこの監督、貧乏など知らない、裕福な家庭で育ったのかなということ。何しろ私の家は子供の頃、とても貧乏だったので、よく分かります。
違和感を感じたのは、パク家の中に入った貧乏人たちの反応。もう少し、豪邸に驚く顔とか、無駄な贅沢に呆れるとかあると思うのですが、それが皆無でした。もっとも、あとの出来事を際だたせるため、意図的に省略してるのかもしれませんが。
 
パラサイト完了。キャンプに出掛けたパク一家、替わりにリビングで寛ぐキム一家。来客を告げるチャイム。ここから大きく物語は動きます。
 

<ここからはネタバレ、できれば映画を観てから読んで下さい>

現れたのはムングァン、ギウの桃作戦で辞めさせられた家政婦です。忘れ物があるというムングァン。なんと忘れ物とは彼女の夫、グンセでした。

実はこの豪邸にはパク一家も知らない地下エリアがあり、隠し扉から行き来が可能。前の持ち主の時からこの屋敷で働いていたムングァンは、そこに借金取りに追われるグンセを匿っていたのでした。
・・・ムングァンの食事の量が多いと言うのは、そういう訳か。

驚くキム一家。逆にムングァンたちに一家の秘密を知られてしまいます。パク一家が急遽、家に戻るとの連絡も入り、パニック状態。揉み合いの最後、チュンスクはムングァンを階段から蹴落とし、夫共々地下エリアに閉じ込めます。戻って来たパク一家の目を逃れ、キム一家は半地下に戻ります。

その夜、大雨で半地下の家が水浸しに。トイレは逆流、大変なことになります。
子供の頃の私の家も、大雨になると水浸し。玄関が水でいっぱいになり、畳まであと数ミリ。ドキドキだったのを思い出しました。あれは辛い。
(´_`。)゙

翌日、パク家ではダソンの誕生日会をすることに、ギウたちも呼び出されます。そして、惨劇が始まります。

地下の様子を見に降りたギウは、グンセの反撃にあい、瀕死の状態に。グンセが地上に出ます。ムングァンの仇を打つ。包丁一本、誕生日のパーティーの会場に現れたグンセは、まずギジョンを刺します。それを見たダソンが気絶。グンセは次にチュンスクを襲うも、返り討ち。チュンスク強い!
そして、ダソンを運ぶドンイクを、突然ギテクが刺します。
・・・えっ!?(; ゚ ロ゚)

なぜ、ギテクはドンイクを刺したのか? はじめわかりませんでした。

原因はグンセの臭いに顔を顰めたのを見たからのようです。貧乏人を馬鹿にするな! ソン・ガンホ(ドンイク役)が上手くて、不自然さを感じさせないのが凄いです。

大勢いる貧乏人、数少ない金持ち。そして貧乏人は金持ちが嫌いです。韓国は日本より貧富の差が大きいというから、金持ちが酷い目にあうのを観たい観客も多いのかもしれません。

 
映画を観てると、どうしても、邦画との違いを考えてしまいます。細かい伏線、ディテールまでこだわったセット、先の読めない展開。この辺は邦画もクリアしている作品が多いと思います。でも、最近の邦画には閃(ひらめ)きがないような気がします。悪女の感想でも書きましたが。

今回のギテクがドンイクを刺すシーン、同じ監督の「グエムル-漢江の怪物」の死んだはずの女の子が、普通に夕食に加わるシーン。そんな一生忘れられなくなるシーンが邦画にはなくなったかもしれません。映画館がなくなる前に、邦画がなくならないよう、邦画界なにも頑張ってほしいものです。

 

 

終わり

 

蘊蓄

第72回カンヌ国際映画祭では韓国映画初となるパルム・ドールの受賞を果たした。第92回アカデミー賞では作品賞を含む6部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の最多4部門を受賞した。非英語作品の作品賞受賞は史上初めてのことである。また、アカデミー作品賞とカンヌの最高賞を同時に受賞した作品は『マーティ』(1955年)以来、65年ぶりとなった。
アメリカでドラマ化されることが決定している。
この席で監督は「おそらく、海外の観客はこの作品を100%理解することはできないだろう。この作品はあまりにも韓国的で、韓国の観客が見てようやく理解できるディティールが散りばめられている。」と語った。
ドナルド・トランプ大統領は韓国映画である本作がアカデミー作品賞を受賞したことを批判し、「『風と共に去りぬ』や『サンセット大通り』など他にグレートな映画がある」と文句をつけた。これに対してアメリカの配給のNEONは「わかります、字幕が読めないんですね」とTwitterでツイートした。
非英語圏の作品賞受賞に日本映画の作品賞の可能性の声が増えたが、韓国映画界に詳しい深田晃司監督は「映画製作だけでなく、配給や宣伝にも助成金を支給するなど、韓国には海外での興行を見据えた手厚いサポートがある。そこが内向きな日本映画界との違いであり、韓国映画の粘り強さにつながっている」とみている。

 

 

資料

原題 기생충
英題 Parasite
惹句 全員失業中の一家が目指す、高台の豪邸。そこは、最高の就職(パラサイト)先――!?
脚本 ポン・ジュノ、ハン・ジンウォン
原作

監督 ポン・ジュノ
制作 クァク・シネ、ムン・ヤングォン、ポン・ジュノ、チャン・ヨンファン
指揮
音楽 チョン・ジェイル
主題
撮影 ホン・ギョンピョ
編集 ヤン・ジンモ
美術 イ・ハジュン

俳優 キム・ギテク(半地下に暮らす一家の主)/ ソン・ガンホ
俳優 キム・ギウ(ギテクの息子)/ チェ・ウシク
女優 キム・ギジョン(ギテクの娘)/ パク・ソダム
女優 チュンスク(ギテクの妻)/ チャン・ヘジン
俳優 パク・ドンイク(IT企業の社長)/ イ・ソンギュン
女優 ヨンギョ(パクの妻)/ チョ・ヨジョン
女優 パク・ダヘ(パクの娘)/ チョン・ジソ
俳優 パク・ダソン(パクの息子)/ チョン・ヒョンジュン
女優 ムングァン(パク宅の家政婦)/ イ・ジョンウン
俳優 オ・グンセ(ムングァンの夫)/ パク・ミョンフン
俳優 ミニョク(ギウの友人)/ パク・ソジュン

会社 パルンソンE&A
配給 ビターズ・エンド
公開 2020年1月10日
上映 132分
国旗 韓国
言語 韓国語

費用 135億ウォン
収入

 

 
 

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関連 ~ ポン・ジュノ監督映画

 

 

参考・引用

パラサイト 半地下の家族 – Wikipedia
映画『パラサイト 半地下の家族』をネタバレ考察!ラストはどうなる?“格差社会”がテーマ?【ネタバレ解説】 | FILMAGA(フィルマガ)
映画全体が上から下を見せていくように設計されているんです。『パラサイト 半地下の家族』プロダクションデザイナー イ・ハジュン【Director’s Interview Vol.50】 |CINEMORE(シネモア)

 

更新履歴

2稿)2020年08月11日、シネマドローム
初出)2020年08月04日、シネマドローム
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