★[感想]第9地区

 感想記事の抜粋


原題 District 9
惹句 人類、立入禁止。
監督 ニール・ブロムカンプ
俳優 シャールト・コプリー
俳優 デヴィッド・ジェームズ
俳優 ジェイソン・コープ
女優 ヴァネッサ・ハイウッド
蘊蓄 出演者はほとんどが無名俳優であり、主演のシャールト・コプリーは監督の高校時代の友人であるという。
きゃりーぱみゅぱみゅもお気に入り、第9地区の感想です。

 

 
 

作品紹介

南アフリカ、ヨハネスブルク上空に宇宙船が現れて28年。エビと揶揄されるエイリアンたちは故障した船を離れ、第9地区と呼ばれるエリアに隔離されていた。エイリアン対策課のヴィカスは、エビたちを新たな難民キャンプへ立ち退かせるため、第9地区を訪れるが、そこで得体の知れない液体を浴びてしまう。
南アフリカ出身のニール・ブロンカンプ監督が、ピーター・ジャクソンの全面バックアップで長編デビュー。全米でサプライズ大ヒットを記録。アカデミー賞作品賞やゴールデン・グローブ賞脚本賞などにノミネートされた。
 

 

感想

ネットできゃりーぱみゅぱみゅを調べていたら、サクサク(TVKの番組)に出た時の動画を発見。見てみました。

へぇ~、想像してたのと違って普通だ。そう驚きます。でもドラコ・マルフォイ(ハリーポッターの悪役の子)のファンだとか、ブロッコリーは森みたいだとか、なかなか面白い。その中でこんな話が。

「《 第9地区 》のエイリアンはイイと思う。」

それには白井ヴィンセントも反応、やっと共通項を発見か。そうなると見たくなるのが、そのエイリアンとやら。トレーラー(予告編)では姿を見せなかったはず、検索すればすぐに見つかるだろうけれどもこの際だ。久しぶりにDVDを借りてみました。

映画を見てみると。インタビュー映像が次から次へと。

「みんなからは頭がよくないと言われたけれど、ヴィカスは素晴らしい息子だった」
「ここにあった彼のものは捜査でみんな持っていかれちゃたけど、全部取り返したわ」
「正しい行動とはいえないけれど、彼は与えられたチャンスにかけたんだ」
「とにかくみんなに真実をみてもらいたい。そして教訓にしてほしい」
「ヴィカス・ファン・デ・メルヴェという男は、いつもどこかいい加減で好きになれなかった」
「まったく誰も予想しませんでした。彼があんなことをするなんて夢にも」
「いや、彼のしたことは許されないと思います。あれはね、裏切りだよ」。

どうやらみな同じ男(ヴィカス)について話しているらしい。
彼自身の記録ビデオも多く登場。でたらめに流しているようでどうして。巧に状況説明、伏線が引かれています。

整理してみると。ヨハネスブルグ上空に現れた巨大宇宙船。故障したらしく、もう28年も宙に浮かんだまま。中にいた宇宙人達は地上に降ろされ、第9地区と呼ばれるエリアに隔離されています。

(これが話題の宇宙人か)。

知能はそれほど高くなく、その姿から海老と揶揄(やゆ)されるエイリアン達。顔はむしろ昆虫のようです。何かとトラブルの元となる彼等の扱いはぞんざい。でもそれもどっちもどっちだという視線で話は進んでいきます。

ヴィカス・ファン・デ・メルヴェはエイリアン対策課職員。超国家組織MNUからエビ達を新たな難民キャンプ(第10地区)へ移動させる責任者に任命されます。自らエビたちに同意のサインを取り(ほとんど詐欺、捏造)、逆らうものにはヘリからの銃撃。そして第9地区を進むうちに、エイリアンの住居の中でカプセルに入った液体を発見。レポートするうちに誤って、その液体を浴びてしまいます。

ここから話は急展開。鼻から黒いものが出て、指の爪が剥がれ、繰り返し繰り返し激しい嘔吐。病院で目を覚ました~は愕然とします、なんと腕が海老のそれに。

うぎゃ~!! (꒪ཀ꒪)

蔑むものから、蔑まれるものへ。彼は隔離されモルモットに。なんとか抜け出すヴィカス。追うクーバス大佐(MNU傭兵部隊)。会社の狙いはエイリアン達だけが使える協力な武器。執拗にヴィカスを追います。

読めない展開、節度のあるスプラッタ。一体ヴィカスはどうなるんだ。過去形で語られたインタビューシーンが、あれこれ頭を刺激します。初めはヴィカスの姿にざまをみろと思わせておいてから、徐々にその境遇に同情させる。ここがうまいなぁ。

でもこの作品の魅力はもっと別なところにあるような気がします。どうがんばってもコントロールできない挫折感。(ヴィカスはエイリアン親子を宇宙船に返すが自分は…)。
落ちぶれた先進国が、台頭し出した後進国をに振り回されるような苛立ち。何度も裏返したので、どっちが表だかわからなくなったような焦燥感。そんな毒を飲みやすく調合、与えられたような気がします。似たような気分になったのは今まで二度ありました。

未来世紀ブラジルのエンディングを見た時とカフカの変身を読み終えた時。どちらも、やっぱりそうなのか、あ~あと諦観させられます。余りに見事に苦(にが)いので、反対に元気が出ちゃうほどでした。

でも「第9地区」には違う、とても静かな余韻。終盤、大佐に追い詰められたヴィカスの左目が、ほとんどエビのそれになっているのを見たとき。スチールの花を妻に届ける姿を想像したとき。これでいいんじゃないかなぁ、って不思議な満足感がありました。

・・・こんな感想って。自分自身が今の生活に疲れているからかなぁ。他の人はどんな感想を書いているか、読んでまわることにしよっと。

終わり

蘊蓄

ニール・ブロムカンプ監督の長編映画デビュー作品であり、本作は同監督の自作SF短編映画『アライブ・イン・ヨハネスブルグ』(英題:Alive in Joburg)を長編化したものである。
ニール・ブロムカンプ監督の長編映画デビュー作品であり、本作は同監督の自作SF短編映画『アライブ・イン・ヨハネスブルグ』(英題:Alive in Joburg)を長編化したものである。ストーリーはアパルトヘイト時代に起きたケープタウン第6地区からの強制移住政策を題材にしている。またDVD収録のコメンタリーでは、紛争の多い周辺国から避難してきた難民と南アフリカネイティブとの確執も葛藤した上で参考にしたとも監督自らが語っている。
舞台となった土地の社会情勢を下敷きにしてはいるが、上記コメンタリー内の脚本家コメントでは、監督の「これは政治的な映画ではない」との発言が紹介されている。作品の本来の目的は政治や社会への風刺、皮肉ではなく、人種対立の背景を持つ社会に新たな弱者としてのエイリアンを持ち込むという、設定の新奇さを売りにしたエンターテインメントであると語られている。実際、危険だがユーモラスなエイリアンの描き方、エイリアンの戦闘ロボットによる派手なアクションシーンなど、作品内では娯楽性が追求されている。
製作費は3千万ドルであり、ハリウッドのVFXを使った作品としては少ない。
出演者はほとんどが無名俳優であり、主演のシャールト・コプリーは監督の高校時代の友人であるという。ちなみに主人公ヴィカスのセリフは、演じるシャールトによるアドリブである。(台本貰って開いたら自分のセリフだけ空欄だった)
元々は2006年にピーター・ジャクソンがゲーム『HALO』映画化のためにニール・ブロムカンプを起用したが、映画化の予算について製作会社とゲーム開発元マイクロソフトとの交渉が決裂した。そのため、ピーター・ジャクソンはニール・ブロムカンプの短編を長編化するプロジェクトを動かすことにしたという。
主演のシャルト・コプリーは、監督ニール・ブロンカンプと同じく映画の舞台となった南アフリカ共和国生まれ。

 

資料

原題:District 9
コピー:人類、立入禁止。
監督:ニール・ブロムカンプ
脚本:シャールト・コプリー、テリー・タッチェル
制作:ピーター・ジャクソン、キャロリン・カニンガム
製作総指揮:ケン・カミンズ、ビル・ブロック
音楽:クリントン・ショーター
撮影:トレント・オパロッチ
編集:ジュリアン・クラーク

ヴィカス・ファン・デ・メルヴェ / シャールト・コプリー
クーバス大佐 / デヴィッド・ジェームズ
クリストファー・ジョンソン(エイリアン)/ ジェイソン・コープ
リトルCJ / なし
タニア・ファン・デ・メルヴェ / ヴァネッサ・ハイウッド

配給:ワーナー・ブラザース/ギャガ
公開:2010年4月10日
上映時間:111分
製作国:アメリカ/ニュージーランド
言語:英語、チェワ語、アフリカーンス語
制作費:$30,000,000


 

本編を観るには・・・

参考・引用

第9地区 – Wikipedia
SFホラー映画の名作「エイリアン」の正式続編を「第9地区」の監督が製作することに – GIGAZINE
第9地区: こんな映画三昧記
第9地区 インタビュー: 無名の新人から躍進のシャルト・コプリーが見た「第9地区」 – 映画.com
【ネタバレ】「第9地区」をようやく観ました/ヨハネスブルグからの不敵な挑戦状 – 万来堂日記3rd(仮)
第9地区をみたよ  ガッツリネタバレ( ・ิω・ิ) – ゆーがったぼとるめ~る

 

更新履歴

4稿:2022年02月01日、シネマドローム
3稿:2017年07月25日、シネマドローム
2稿:2015年03月09日、シネマドローム
初出:2012年04月09日、シネマパレード~隼
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