クリント・イーストウッド監督、何度目かの問題作。ミリオンダラー・ベイビーの感想です。
 

  

作品紹介

クリント・イーストウッドが監督・主演のヒューマン・ドラマ
老トレーナーの前に現れた弟子入り志願の女。初めは相手にしなかった彼だが、ひたむきさに惹かれ、コーチを始める。彼女は勝ち進み、世界の頂点が見えた時…。
第77回アカデミー賞作品賞、主演女優、助演男優、監督賞の計4部門を受賞。
 

感想

前半。静かに進む物語。その中で徐々に明らかになる登場人物たちの個性、その過去、現在。無駄の無い、無理の無い展開はシナリオ、演出、演技の緻密な連携の成せる技。

わざと打たれて止血、折られた鼻を数十秒だけもたせる技術。「自分を守れ」、「ボクシングではやりたいことの逆をいけ」という戒め。フランキー(老トレーナー)に説得力があります。それにしても、へし折れた鼻につっかえ棒を入れるシーンは痛い。
(-顰-;) 
 


 
強いマギー。みるみる筋肉がついていく彼女に驚き。サンドバックやスピードバッグを打つ姿の堂に入ってます。無口で朴訥(ぼくとつ)、一本気な性格もボクサーそのもの。とても演技とは思えない演技。でも《青い熊》ビリーはもっと怖い。
 

 
後半の展開。映画が観終わった後、暗くなり、何もしゃべりたくなくなってしまいました。そんなことしちゃいけないのでは…。
(=.=)

マギーの栄光から転落、家族との深まる溝。「父親が犬にやったこと」と「モ・クシュラ(私のかわいい子)」、。でも私は泣けはしませんでした。《雨と夢のあとで》ではいつも泣かされているのに。
(^_^; 

国民性の違い? でも日本でも感動してる人は多い模様、ちょっと寂しい。

最後まで姿を見せないフランクの娘。Kさんの話では既に死んでいるとの指摘。娘を語る時の言い回しが、特殊な英語だったとか。さすが字幕を読まなくていい人にはかなわない。
“(-“”-)”
 

 
 

薀蓄

本作品の主テーマが尊厳死や安楽死にあるわけではないが、この問題はキリスト教右派が無視できない勢力を持つアメリカでは極めてデリケートな問題であり、保守派コメンテーター、障害者団体、キリスト教団体によるこの映画のボイコット運動などが起こり話題になった。
イーストウッドはこの件に関して、映画の中におけるフィクションの登場人物による行動と、イーストウッド自身の思想や言動は全く無関係であり、この作品はあくまで彼のアメリカン・ドリーム観を表現したものであると述べている。
この映画の結末は、「意識がはっきりしている患者は延命措置を終わらせてもらえない」という事実誤認に基づいている。現実のアメリカでは、患者が別の者に「治療を打ち切ってほしい」と指示できるほど意識がはっきりしている場合、患者は病院に対し治療の停止を指示することができ、病院は必要な法的形式が保証されていることが確認できればその指示に従わなければならない。意識のはっきりした患者に対し、意思に反して治療を強行した場合は暴行ともみなされる。患者はあらかじめリビング・ウィル(生前意思)という形で治療に関する意思をはっきりさせておくこともできるが、もし患者が負傷後にも意思疎通ができ意識が明確な場合、病院に治療停止を指示することは単純なことにすぎない。
アメリカにおいて、治療拒否は司法制度において自殺とみなされたことはなく、蘇生不要(DNR)指示に基づいて担当医が治療を中止することは自殺幇助とみなされたことはない。法的に有効な蘇生不要(DNR)指示を医師などが拒否することは違法であり民法や刑法の処罰の対象となりうる。
スポーツライターの中には、この映画はボクシング関係者から見れば非常に不正確で混乱させられるものだという批評もある。ボクシング・シーンは非現実的で、マギーを後ろから殴ったボクサーは本来ならプロの権利を剥奪され法廷送りになるのは明白だ、というものである。原作では試合中に起きた事故という設定になっている。しかし、医療機器の描き方が的確でないことを考慮すれば、こうした脚色はイーストウッドの「映画的演出」の一環である、との捉え方もある。

 


 

資料

原題:MILLION DOLLAR BABY
コピー:愛を、教えて。
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ポール・ハギス
原作:《 テン・カウント 》F・X・トゥール/早川書房
制作:クリント・イーストウッド、ポール・ハギス、トム・ローゼンバーグ
製作総指揮:ロバート・ロレンツ、ゲイリー・ルチェッシ
音楽:クリント・イーストウッド
主題歌:ー
撮影:トム・スターン
編集:ジョエル・コックス

フランキー・ダン(老トレーナー)/クリント・イーストウッド
マギー・フィッツジェラルド(女ボクサー)/ヒラリー・スワンク
エディ・“スクラップ・アイアン”・デュプリス(元ボクサー、住み込みの雑用係)/モーガン・フリーマン
ビッグ・ウィリー/マイク・コルター
アーリーン(マギーの母)/マーゴ・マーティンデイル
ミッキー・マック/(やり手マネージャー)ブルース・マックヴィッティ

配給:ムービーアイ/松竹
公開:2005年5月28日
上映時間:133分
製作国:アメリカ合衆国
言語:英語
制作費:3000万ドル
鑑賞 / 丸の内ピカデリー1

映画「ミリオンダラー・ベイビー」日本版劇場予告 – YouTube


 

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参考

ミリオンダラー・ベイビー – Wikipedia
超映画批評『ミリオンダラー・ベイビー』70点(100点満点中)
映画『ミリオンダラー・ベイビー』あらすじ・ネタバレ・キャスト【クリント・イーストウッド作品】 | ciatr[シアター]
映画「ミリオンダラー・ベイビー」|映画に観る終末期医療~終の信託~
映画「ミリオンダラー・ベイビー」はよくできたダメな映画だと思う – 夏のひこうき雲
 


  

更新履歴

3稿)2017年11月14日、シネマドローム
2稿)2015年12月23日、シネマドローム
初出)2005年06月20日、東京つまみ食い