原題 崖の上のポニョ
惹句 生まれてきてよかった。
監督 宮崎駿
声優 ポニョ(ブリュンヒルデ)/ 奈良柚莉愛
声優 宗介 / 土井洋輝
声優 リサ(宗介の母)/ 山口智子
声優 耕一(宗介の父)/ 長嶋一茂
声優 フジモト(ポニョの父)/ 所ジョージ
声優 グランマンマーレ(ポニョの母)/ 天海祐希
日本版人魚姫!? アニメ、崖の上のポニョの感想です。
作品紹介
アンデルセン童話《 人魚姫 》をモチーフに描くファンタジー
《 千と千尋の神隠し 》以来、7年ぶりに宮崎駿が原作・脚本・監督を担当
CGを使わず、すべて手描き。アニメーション本来の柔らかな動きで表現
感想
平日に休みが取れたので映画を見に行きました。話題の《 崖の上のポニョ 》です。それほどでもないとのコメントが多い、4年振りの宮崎アニメ。私の評価はというと・・・。
物語はこう。魚のポニョの憧れは地上の世界。ある日、父親の目を盗み、クラゲの群に紛れ、海辺の街にたどり着きます。そこで出会った少年、宗介。すぐに仲良くなった二人は追って来たポニョの父、フジモトにも気づきません。
宗介の母、リサはデイケアサービスセンター《 ひまわりの家 》で働き、宗介は隣の《 ひまわりの園 》の園児。保育園にポニョを隠し持ってきた宗介だが、結局ポニョはフジモトに連れ帰られてしまいます。
宗介に会いたいポニョ。宗介の傷を嘗めてたポニョは人間の血が体の中に。封印が解かれ、手が生え足が生えたポニョは再び、宗介の元へと向かう・・・。ここまではよく紹介されてるストーリー。実際に映像を見て思いました。そうか、これは絵本の世界なんだ。
印象的なカットに少し強引な展開。デフォルメされた動き。元気に走り回るポニョ。世界を救うとか、自然破壊とか、少女の自立とか、小さい子には難しいテーマ。ポニョはマンガ以前の子供向け、字でなく絵を楽しむ年齢の向けのアニメなのでは。素晴らしい宮崎イマジネーションワールドは健在ですが、大人には少し毒がなさ過ぎです。
記憶に残ったシーンを3つほど。ここからは少しネタばれ。映画を見る予定の方は飛ばして下さい。
まずはポニョ。魚の時と人間の時は可愛いですが、その変身途中がちょっとこわい。右目と左目の間がやけに離れているのが不気味。手と足も初めて生えた時は鳥の足みたいたもの、ホラーだ!
人面魚と呼ばれたり、母親にまで半魚人呼ばわり。ちょっと可哀想。もっとも本人は意味が分かってないようですが。本名がブリュンヒルデっていうのも笑いました。妹はワルトラウテなのか。
(^_^;
次は《 たたたたたたーーーーーっ 》と波の上を走るぽにょ。人間になったポニョは嵐と共に街へ、見つけた宗介の車を追いかけます。リサの運転する車は波に攫われないようにと海岸沿いの道を疾走、このシーンが予想外にスペクタクル。確かに波を描くのは大変だ。でもそれよりも波の上を元気いっぱい走るポニョの笑顔が気持ち良い。ペータペタピョーンピョン 足っていいな駆けちゃお♪って、ポニョの気持ちを表している訳ね。
最後は耕一が帰れなくなった事を知り落ち込むリサと、それを慰める宗介。リサは宮崎アニメによく出てくる芯のしっかりした女性。主役として登場することが多いですが、このシーンでは宗介の方が彼女を慰めます。5歳にしてこの落ち着き。おぉ、これは待望の強い男キャラ復活の前触れか。
それにしても一晩会えないだけで、なぜあそこまで落ち込むリサ?そして名前がコウイチ?それほど好かれていれば耕一も本望だ。
映画館は新しくなったスカラ座。日比谷にできた東京宝塚劇場の地下にあります。夏休みと言っても平日、それも昼の回だったのでガラガラでした。
気になる観客が二人。一人は本当にまだ小さな女の子。映画館が初めてらしく、大きな声で母親にいろいろ聞いてました。でもポニョが始まると一転、ぴたりとその声が止みます。画面に見入っているようで、じぃーっという視線の音が聞こえそう。魅力的、それで疑問がでないほど分かりやすいということか。やっぱりこれは子供向けの映画です。
もう一人はネクタイ姿の会社員。私達と隣のカップルの間で窮屈そう。もっと空いてるところに座らせてあげればいいのに。営業の人が時間つぶしにきたのかな。まさか、さぼり?
こちらも終始無言での鑑賞。巨大な蟲もでてこないし、滅びの言葉も叫ばないし、しっかりもののお姉ちゃんが泣き出さないし、いつもいっしょだった猫がしゃべらなくならないし、豚じゃなく魚だし、死の呪いにもかからないし、紙で象られた人形が飛ばないし、案山子もはねないので、どのような感想を持ったかは予想するのが難しいです。
(^_^;
薀蓄
本作はハンス・クリスチャン・アンデルセンの童話『人魚姫』(1836年発表)をモチーフとした作品とされている。
本作は、ストーリーの起承転結が明確になっておらず、ほとんど伏線が存在しない。天変地異が起こっても詳しく理由が説明されることなく、全体的に消化不良気味のまま物語が収束するなど「スピード感と勢い」を重視しており、ファンタジーと現実社会が入り混じったストーリー構成となっている。この点について、宮崎は「ルールが何にも分からなくても分かる映画を作ろうと思った」「順番通り描いてくと、とても収まらないから思い切ってすっ飛ばした」「出会って事件が起きて、小山があって、最後に大山があってハッピーエンドというパターンをずっとやってくと腐ってくる、こういうものは捨てなきゃいけない」と話している。
海を舞台にした作品は、宮崎がいつか描きたいと長年夢見てきたが、「波を描くのが大変」という理由で、それまで踏み切れずにいた。2004年11月にスタジオジブリの社員旅行で訪れた瀬戸内海の港町である広島県福山市の鞆の浦(とものうら)を非常に気に入り、準備として2005年の春、鞆の浦の海に隣した崖の上の一軒家に2ヶ月間滞在し、さらに2006年夏、単身でこもった。本作の構想もこの時に練り自身を極限に追いつめる鬼気迫った姿がNHKで放送された。この宮崎の行動に対し、妻の出した条件は「生きてる証拠として、毎日絵手紙を出すこと」だったという。
宮崎が劇場公開以前に描いた初期ボードのポニョの姿は本作と異なっており、カエルのような姿をした魚という設定になっていた。人間姿のポニョの髪や衣装も全く異なっている。
ポニョが1人で宗介の家までたどり着き、宗介とリサの前に玄関で迎えられるという設定になっているが、本作の場面には描かれていない。その他にもポニョが宗介が描いたポニョの似顔絵を見つけて驚いたり、ポニョが宗介にぶたれて泣いたり(『となりのトトロ』のメイが泣いたシーンとよく似ている)、ポニョが宗介と一緒に海の中を泳いだり、ポニョが人間のままグランマンマーレの「魔法が使えなくなりますよ」という話を聞いて快く頷いている場面が設定されていたが、すべて没となった。
スカラ座での発表会時、震度3の地震が発生、津波注意報が出た。宮崎監督は「ポニョがいる」とつぶやいた。
作画枚数の比較
崖の上のポニョ 100分54秒 170,653枚
ハウルの動く城 119分11秒 148,786枚
千と千尋の神隠し133分24秒 144,043枚
もののけ姫 124分35秒 112,367枚
資料
原題 崖の上のポニョ
英題 Ponyo
惹句 生まれてきてよかった。
脚本 宮崎駿
原作 宮崎駿
監督 宮崎駿
制作 鈴木敏夫
指揮 -
音楽 久石譲
主題 『海のおかあさん』林正子、『崖の上のポニョ』藤岡藤巻と大橋のぞみ
撮影 -
編集 瀬山武司
美術 -
声優 ポニョ(ブリュンヒルデ)/ 奈良柚莉愛
声優 宗介 / 土井洋輝
声優 リサ(宗介の母)/ 山口智子
声優 耕一(宗介の父)/ 長嶋一茂
声優 フジモト(ポニョの父)/ 所ジョージ
声優 グランマンマーレ(ポニョの母)/ 天海祐希
声優 ポニョの妹達 / 矢野顕子
声優 トキ / 吉行和子
声優 ヨシエ / 奈良岡朋子
会社 スタジオジブリ
会社 日本テレビ、電通、博報堂DYMP、ディズニー、ディーライツ、東宝
配給 東宝
公開 2008年7月19日
上映 101分
国旗 日本
言語 日本語
費用 34億円
収入 155億円
本編を観るには・・・
参考
スタジオジブリ|STUDIO GHIBLI
映画『崖の上のポニョ』公式サイト – スタジオジブリ
「崖の上のポニョ」 裏話が深すぎる!!! – NAVER まとめ
ブリュンヒルデ – Wikipedia
更新履歴
2稿)2010年11月03日、シネマパレード~隼
初出)2008年08月04日、東京つまみ食い