★[感想]新・猿の惑星【ネタバレ】

 感想記事の抜粋


原題 Escape from the Planet of the Apes
監督 ドン・テイラー
俳優 ロディ・マクドウォール
女優 キム・ハンター
俳優 ラッドフォード・ディルマン
俳優 エリック・ブリーデン
蘊蓄 リチャード・D・ザナックは、核戦争によって地球が消滅した前作『続・猿の惑星』をもってシリーズを終了させるつもりでいたが、20世紀フォックスの他の経営陣たちは、前作の製作中に既に第3作の企画を進めていた。
「猿が話すという大事件が今朝ありました」Www、新・猿の惑星の感想です。

 

 

作品紹介

1971年公開、猿の惑星(オリジナル)シリーズの第3弾。1作めに次ぎ、シリーズ2番めの人気エピソード。
地球が消滅する寸前、3匹の猿(コーネリアス・ジーラ・マイラ)が宇宙船で脱出した。しかし、宇宙船はタイムスリップ、たどり着いたのは1973年のアメリカ、高い知能を持つ「人間」が支配する世界であった。
言葉を話す猿たちの出現に、人々は驚き、やがて受け入れる。だが彼らが未来の地球、猿が支配する世界からやってきたと知ると・・・。
 


  

感想

1968年に公開されたチャールトン・ヘストン主演「猿の惑星」。やっぱりタイムトラベルものは当たります、その続編が4作も作られました。5作目「最後の猿の惑星」が公開されたのが1973年。スターウォーズの1作目が公開される4年も前だ思うと驚きます。

私が生まれてはじめて映画館で観た洋画は「猿の惑星」だった話(まだ幼稚園?)は、前にも書きました。こんな話。

「宇宙飛行士が降り立った惑星は、猿が支配する世界。人間は言葉すらしゃべれず、日々猿に狩られる存在。捕えられ、知能が高い人間と認められたテイラー大佐はコーネリアス、ジーラ博士と知り合う。言葉まで話すテイラーに猿たちは驚き、危険視し始め、脳手術を行おうとするが・・・。」

ほとんど意味がわかりませんでしたが、超有名なラストだけは理解、驚いたのを覚えています。・・・ここは未来の地球だったのかぁ。

この後(2作目、続・猿の惑星では)、テイラーがミュータント化した人類と遭遇。彼らの崇拝するコバルト爆弾が爆発、地球が消滅するという、これまた驚くべきバッドエンド。でもそれより驚いたのが、そのあとに続編が作られたこと、地球がもうないのに。なんと爆発寸前、コーネリアスとジーラが宇宙船で地球を飛び出し、過去の地球にたどり着いたという話。それが今回紹介する「新・猿の惑星」です。最初に見たのは子供の頃、テレビの吹き替え版で。今回はDVDの字幕版でしたが、ほとんど記憶通りでした。

冒頭。青い空と蒼い海、穏やかな波。そして見上げるほどの崖。これはテイラーが自由の女神をみたあの場所ではと驚きます。そこに軍のヘリコプター、海に漂う宇宙船の上を旋回。これは現代か。連絡を受けると救援部隊が海岸に。宇宙船を引き上げ、そこに将軍が到着。ハッチを開けると中から宇宙服を着た3人が現れます。一斉に敬礼

「ようこそ、アメリカへ・・・」

と言いかけ、言葉を失います。ごく普通の宇宙服、ごく普通のヘルメットを取った3人は、みな猿だったのです。
とってもシュールwww。驚く将軍、戸惑う猿たち。人が驚く姿を見るのは楽しいもの。ぐいぐい引き込まれます。ちょっとコメディタッチ(真面目なだけによけい笑える)に物語は進みます。

着替えは持っているは、着替えるは。与えられたエサ(オレンジ)はフォークとナイフで食べるは。ただの猿ではないということになって、動物学者(ディクソン博士、ブラントン博士)が呼ばれます。知能テストをする二人、簡単に答えるジーラ。ここでお馴染みのバナナテスト(天井から吊り下げられたバナナをとる)開始。
すぐに階段を組み立てバナナに手が届く、位置に座るジーラ。

「 なぜ、取らないのかしら 」と訝(いぶか)るブラントン博士に、「 バナナはキライなの 」と答えるジーラ。

猿がしゃべった! 博士たちは驚き、言葉を失い、檻から離れます。

なぜ、しゃべったんだ、黙っているって約束だろ。口論を始める猿たち。突然隣の檻から手を伸ばしたゴリラにマイロが絞殺されてしまいます。悲しみに暮れるジーラ、コーネリアス。この辺りの流れるような展開が上手いです。でもゴリラがどうしても着ぐるみにしか見えないのが不思議。猿メイクはすごいのに。
(^^;

大統領査問委員会で事情聴取となるコーネリアスとジーラ。ここでのやり取りも笑えます。ジーラが自分の名前を答えるだけで、驚きの声を上げる査問メンバー。
オスもしゃべれるのかの問いに、「妻が許せば」と答えるコーネリアス。喋れるだけでない、諮問委員会は騒然となります。
私たちは平和主義者、暴れることはなので鎖を外してというジーラの訴えに、立ち上がり拍手をする傍聴者。この辺りは、見習いたいアメリカと子供の頃思ったなぁ。

 

<ここからはネタバレ、できれば映画を観てから読んで下さい>

全世界にセンセーショナルに伝えられる話す猿のニュース。やがて2匹は人気者に。しかし彼らのいう未来が猿の支配する世界だと知ると警戒、一転隔離されます。将来猿に支配されたら問題だ、今のうちに去勢しちゃえということに。すでに身籠っていたジーラはコーネリアスとともに逃げ出しますが、ハスライン博士に追い詰められ、生まれた赤ん坊は撃たれ、ジーラも撃たれ、撃ったハスライン博士はコーネリアスに撃たれ、コーネリアスは警官に撃たれ、みんな死んでしまいます。
(この辺りはもっとテンポを上げてほしい)

そしてラスト。サーカスの檻の中、赤ん坊猿のアップ。赤ん坊が片言で「マンマ、マッマ、ママ、ママ・・・」とつぶやいているとろでエンドタイトル。そうジーラの子供(後のシーザー)はサーカスに隠れていた時に別の赤ん坊と入れ替えられ、実は生きていた。これからこの子が大きくなり、やがて・・・という含みを持たせて終わります。・・・巧い、面白い、凄い脚本。終わってしまった物語を続けたばかりか、時間の輪をつなげるという次の物語へと伏線。
倒産の危機にあった20世紀フォックスを、なんとかした脚本といっても過言ではないかも。

今の中二病ハリウッドとはちょっと違う、知的でアイロニー溢れるSFドラマ。快活なジーラが狂言回し、物語を動かします。冷戦下の映画、いつ核戦争になるかわからなかった頃の映画。その雰囲気を味わうためにも、今見る映画かもしれません。
(==l

ハスライン博士が酔ったジーラから未来の地球の話を聞き出すシーン。シガレットケースに見えるそれは録音装置。媒体は当然テープ、今見てもカッコいい。

猿がしゃべった! 世界中のアナウンサーがこのニュースを伝えます。その中に日本のニュースも、お茶の間が映ります。着物を着ている夫婦と子供。ちゃぶ台の上のやたらと大きなものは急須なのかな? 母親はパーマをかけているもよう。日本語ではApeを類人猿と言っています。


 

蘊蓄

リチャード・D・ザナックは、核戦争によって地球が消滅した前作『続・猿の惑星』をもってシリーズを終了させるつもりでいたが、20世紀フォックスの他の経営陣たちは、前作の製作中に既に第3作の企画を進めていた。
脚本家のポール・デーン(英語版)は、コーネリアスとジーラを主人公に設定し、テイラーの宇宙船に乗り過去の地球にタイムスリップする物語を考え、原作者のピエール・ブールに相談を持ち掛けた。
監督にはドン・テイラーが起用され、前2作と比べて登場する猿の数が減ったことでメイクアップする手間が少なくなったため、予算も少額で済んでいる。撮影は1970年11月30日に始まり、6週間後の1971年1月19日に終了した。
デーンはコーネリアスとジーラを通して人種差別を風刺し、映画の後半でその傾向が顕著に表れている。
アーサー・P・ジェイコブスは、前作に出演できなかったロディ・マクドウォールに電報を送り、「君は『猿の惑星』に必要な存在だ」と説得して再びコーネリアス役に起用した。
ジーラ役のキム・ハンターは本作の脚本を気に入り、ジーラの死も受け入れたが、一方で「私はジーラが殺されたことを喜んでいる」として、映画におけるジーラの役割が終わったと述べている。また、前2作と異なり周囲のキャストが人間役ばかりで猿役がマクドウォールとサル・ミネオのみだったことに「孤独を感じた」と述べている。

猿を演じる役者達に施された特殊メイク(ジョン・チェンバース)の技術は、当時のレベルでは飛び抜けて精巧なものだった。メイク担当のジョン・チェンバーズはアカデミー名誉賞を受賞したが、メイクアップ賞が設立されたのは10年以上経った1981年である。
小説家・劇作家のウィリアム・サローヤンの甥は本作の製作に関わっており、猿の惑星が日本で上映された事を驚いたという。原作者のピエール・ブールは、フランス領インドシナで有色人種を使役していた農場の監督であり、戦時中に日本軍の捕虜となって、白人と有色人種の立場の逆転を経験し、それが原作小説である『猿の惑星』の執筆動機になっており、「人間を支配する猿=日本人」という暗喩が込められていたからであると言われていた。しかし、実際にブール本人がこの事について言及したことはなく、またブールは日本軍の捕虜になったことはなく、彼を捕虜にしたのはヴィシー政権下のフランス軍であり、日本人を猿に見立てて描かれたという説には証拠となるものが無い。
猿の惑星の正体が判明する本作のラストシーン(米ソ冷戦の成れの果てをイメージしたと言われている)は非常によく知られており、2005年に20世紀フォックスホームエンターテイメントより発売された日本版DVDでは、最大級のネタバレであるにもかかわらず大々的にパッケージイラストに描かれている。

幼い頃にナチス・ドイツによるロンドン大空襲から逃れるために家族でアメリカに移住し、『わが谷は緑なりき』の主役級の末っ子役など、子役として数多くの映画に出演した。
『名犬ラッシーの家路』(1943年)で共演したエリザベス・テイラーとはそのとき以来の親友であった。しかし、成長するにつれ子役として低迷してしまったため、18歳でニューヨークに移動してブロードウェイで活躍した。1960年には “The Fighting Cock” でトニー賞も受賞している。
『史上最大の作戦』や『クレオパトラ』などの大作に出演したほか、『猿の惑星』シリーズでは全5作中4作に出演し、完全特殊メイクによる主人公のチンパンジー、コーネリアス博士役(第1作・3作目)とその息子シーザー役(第4作・5作目)を演じた。
クラシック映画作品の収集家でも知られ、数多くの16mmやビデオテープを所蔵していた。しかし、海賊版なども所蔵していたため、1974年にはFBIによって家宅捜索されたこともある。

アクターズ・スタジオで学び、1947年に舞台版の『欲望という名の電車』にステラ役で出演。1951年に映画化された時にも同じ役で出演し、1952年にアカデミー助演女優賞を受賞した。
1950年代半ばの赤狩りの時期に、共産主義者を支援した嫌疑でブラックリストに載ってしまい、テレビや映画での仕事がほとんどできなくなってしまった。公民権運動に熱心に取り組み、1962年には、多くの映画関係者が共産主義者と不当に告発されたことを受けて、最高裁判所で証言もしている。同年、名誉回復。その後、映画『猿の惑星』の最初の3作に出演し、再び脚光を浴びた。その後、テレビのソープオペラにたびたび出演した。

第一作め「猿の惑星」の冒頭で、テイラー大佐がハスライン博士の時間理論に触れている。

 

資料

原題 Escape from the Planet of the Apes
英題 Escape from the Planet of the Apes
惹句 大宇宙を、目もくらむ 白色の閃光が走った 真赤な炎となって溶け去った地球 その時、このドラマが始まった!
脚本 ポール・デーン
原作

監督 ドン・テイラー
制作 アーサー・P・ジェイコブス
指揮
音楽 ジェリー・ゴールドスミス
主題
撮影 ジョセフ・バイロック
編集 マリオン・ロスマン
美術 ジェリー・ゴールドスミス
キャラクター ピエール・ブウル

俳優 コーネリアス / ロディ・マクドウォール
女優 ジーラ / キム・ハンター
俳優 ルイス・ディクソン博士 / ブラッドフォード・ディルマン
俳優 オットー・ハスライン博士 / エリック・ブリーデン
女優 ステファニー・ブラントン博士 / ナタリー・トランディ
俳優 大統領 / ウィリアム・ウィンダム
俳優 マイロ博士 / サル・ミネオ

会社 APJACプロダクションズ
配給 20世紀フォックス
公開 1971年7月31日
上映 98分
国旗 アメリカ合衆国
言語 英語

費用 $2,060,000
収入 $12,348,905


 

本編を観るには・・・

 

参考・引用

新・猿の惑星 – Wikipedia
「猿の惑星」のもう一つの解(ネタバレあり) – 夢幻∞大のドリーミングメディア
APEとMONKEYの違いは? -映画「猿の惑星」の字幕版を見ました。原題は- 英語 | 教えて!goo
新・猿の惑星
www.asahi-net.or.jp/~AN4S-OKD/okyda/eiga/011046.htm
『新・猿の惑星』のラストの場所って・・・ – 「愛と青春と映画の旅立ち」
猿の惑星 : 吾唯足知な日々
ロディ・マクドウォール – Wikipedia
キム・ハンター – Wikipedia

更新履歴

初出)2017年08月09日、シネマドローム

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