★[感想]ローマの休日

 感想記事の抜粋


原題 Roman Holiday
惹句
監督 ウィリアム・ワイラー
俳優 グレゴリー・ペック
女優 オードリー・ヘプバーン
俳優 エディ・アルバート
俳優 ハーコート・ウィリアムズ
有名な名画をちゃんと観てみるシリーズ第1回、ローマの休日の感想です。

有名な名画をちゃんと観てみるシリーズ第1回、ローマの休日の感想です。
 

  

紹介

1953年公開、 オードリー・ヘプバーンの出世作。主演は グレゴリー・ペック。
城を抜け出した王女と新聞記者のワンナイトストーリー。スペイン広場、パンテオン、コロッセオ、真実の口。名所の数々が随所に散りばめられた古典的名画。
監督はウィリアム・ワイラー。この映画の後、大いなる西部、バン・ハー、コレクターを撮ることになる。
  

 

 

感想

タイトルだけ知っていて観たことのない名作映画、たくさんあります。昔は観たくても観れず、テレビの映画劇場や名画座にかかるのを待つしかありませんでした。それがレンタルビデオができ、DVDができ、衛星放送、CS。今では誰でもいつでもネットにアクセス、オンデマンドで興味のある映画を観ることができます。良い世の中になったものだなぁ。なので、面白そうな映画がない時は、名画タイム。今回は誰もが知っている名作、ローマの休日(1953年公開、119分モノクロ、吹替版)を観てみました。

ヨーロッパを表敬訪問中のアン王女。こっそり城を抜け出し、夜のローマの街へ。酔っ払った王女がベンチで寝てるのを見つけた新聞記者のジョーは、見かねて介抱するうちに、自分のアパートに泊めるはめに・・・。翌日、古都ローマの街を巡る二人。やがて恋が芽生えるが、所詮身分の違う二人。王女は城に戻り、ジョーは新聞記者として、王女の会見に出席する。という有名なストーリー。私は本編ではなく、ドラマやアニメの焼き直しを、何度となく見ました。オリジナルはこうだったんだなぁ。
 

 
まず、意外だったのがジョー。出会って早々、アーニャ(アンがそう名乗った)が王女であることに気付きます。そしてこの出会いをスクープにしようとローマを案内、カメラマンのアービングに王女を盗撮させます。金儲け目当てだったとは。
パクり作品だと、水戸黄門ライクに最後に王女とわかり一同ビックリと言うのが多かったですが。アービングが王女の話を始めると毎回、ジョーに蹴られるのが可哀想。回数が多すぎです。
(^^;
ジョーの吹替は城達也。夜の静寂(しじま)のなんと饒舌なことでしょう。
 

 
有名なバイクの二人乗りシーン。アーニャが暴走させるというアクシデントが。歩道の人に突っ込み、出店を破壊するというスペクタクルです。
(^^;
警察に捕まって、被害者一同が集まってすぐに裁判。スピード判決に驚きましたが、出てきた二人を被害者たちが祝福するのにも呆気に取られました。
実は結婚式に遅れそうになったので急いでいたとジョーが話したのを、みんなが信じたということのよう。これはいいのか?昔はイタリアも昭和だったんだなぁ。戦後間もないからか。

真実の口のシーンは、よく映画の名シーンとして紹介されているので、見たことがあります。これだけ観ると恋人同士がローマ観光してるに見えますが、ずっとアービングもいたのね。名シーンではうまくカットされ、映ってないですが。

王女の居場所を突き止めた秘密警察が、ダンパ会場に乱入。三人とバトルを展開。アーニャも桟橋から一人を川に突き飛ばします。でもそのあと浮き輪を投げてあげるところが可愛い。まぁ、そのまた後、他の警察をギターで殴っていますが。
まだこの時新人のオードリー・ヘップバーン。輝いてます。でも彫りの深さに驚き、写真だとわからないけど。
吹替は池田昌子。こんな昔から声優をなさっていたのですね、お蝶婦人。

王女が城に戻った時の侍従の対応に違和感。アン王女が戻ってきた事に驚く家来たち。でも王女を窘(たしな)め怒る人も、体の無事を心配する人もいません。契約社会だからかなぁ、王女が凛と構えるのも納得のような。

アン王女が戻った翌日、宮殿で開かれた記者会見。王女の前に並ぶ記者たち。その中にジョーの姿も。
訪問した国々の中で一番印象的だったのはと聞かれ、どの国もそれぞれ惹かれたところが・・と言いかけ、それを止め、「なんと言ってもローマ!ローマは永遠に忘れ得ぬ街となるでしょう」と告げます。このシーンに泣けました。
有名なシーンなので、当然観たことがあるのですが、1時間40分映画の世界にいた最後に、これがくると効きます。感動してるつもりがないのに、ぽろぽろ涙が出てました。きっと心の奥の方に響いたのかもしれません。やっぱり名作だなぁ。

もっともその後、アン王女が本当に記者ひとりひとりと握手をするシーンは間延び。秘密警察はどこに、複雑な気持ちだろうなぁって考えてしまいましたが。
 

 

蘊蓄

映画の中で、エディ・アルバートが演じるカメラマンが使用する、ライターで紙巻きたばこに火をつけるように見せかけて写真を撮る「ライター型写真機」は、日本製の「エコー8」である。
原題の”Roman Holiday”とは、ローマ帝国時代、休日に奴隷の剣闘士を戦わせる見世物を市民たちが楽しんだことから「他人を犠牲にして楽しむ」といった意味がある。したがって、設定そのものを表すのと併せて、ダブル・ミーニングとなっているとする説がある。
イタリア側も映画産業に対し協力的であった。これは観光産業が目的で、本作で紹介される名所はスペイン広場、パンテオン、コロッセオ、真実の口など枚挙に暇がない。またヨーロッパの工業製品として世界中でヒットしたスクーターのベスパ、小型車のフィアットを登場させている。
当時、オードリーは映画界では無名に近い存在で、体型も女優としては痩せすぎであったが、その彼女をロンドンのパインウッド撮影所に呼んでスクリーン・テストを受けさせ、そのフィルムを見たワイラーがヒロインに抜擢することを決めた。この時、緊張気味にフィルムに収まっていた彼女がテスト終了を告げられて、破顔した時の笑顔がとびきり良くて魅了されたと後に語っている。グレゴリー・ペックも彼女の才能を認め、新人であるにもかかわらず自分と同等のクレジットを与えることに同意した。
ローマ市内を2人がスクーターで走る場面は、この映画の代表的なシーンになったが、わずか3分のシーンであるのに撮影には6日間を要した。

この作品、皇太子殿下様がまだご結婚なされる前に、アメリカに外遊なさった時に、ちょうどラジオミュージックホールをご覧になるときに、映画もついでに見ますとおっしゃった。それがローマの休日。ごらんになって、すごく感激なっさったそうでございます。これは1953年、本当にオードリー、ワイルダーの記念すべき作品です。ゆっくりごらんなさい。

(淀川長治 日曜洋画劇場 前解説 1979年11月11日放送)

 

資料

原題 Roman Holiday
英題 Roman Holiday
惹句
脚本 ダルトン・トランボ、ジョン・ダイトン
原案 ダルトン・トランボ

監督 ウィリアム・ワイラー
制作 ウィリアム・ワイラー
指揮
音楽 ジョルジュ・オーリック
主題
撮影 アンリ・アルカン、フランツ・F・プラナー
編集 ロバート・スウィンク
美術 ハル・ペレイラ、ウォルター・タイラー

俳優 ジョー・ブラッドレー(新聞記者)/ グレゴリー・ペック
女優 アン王女(アーニャ・スミス)/ オードリー・ヘプバーン
俳優 アービング・ラドビッチ / エディ・アルバート
俳優 大使 / ハーコート・ウィリアムズ
女優 ヴィアルバーグ伯爵夫人 / マーガレット・ローリングス

会社 パラマウント映画
配給 パラマウント映画
公開 1954年4月21日
上映 118分
国旗 アメリカ合衆国
言語 英語

費用 $1,500,000
収入 $12,000,000

 

 
 

本編を観るには・・・

 

参考・引用

ローマの休日 – 映画の主人公となったカメラたち – アットウィキ
ローマの休日の名言やトリビアなど徹底紹介! | ciatr[シアター]
「ローマの休日」でアン王女のベッドシーンが想定されている箇所について: 極東ブログ
「ローマの休日」が世界に与えた5つの影響 – NAVER まとめ
「ローマの休日」を巡る旅。「旅するオードリー・ヘプバーン」|トラベル(ホテル・旅行)|VOGUE JAPAN

 

更新履歴

初出)2019年06月01日、シネマドローム
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