サスペンスの王様の傑作サスペンス、北北西に進路を取れの感想です。

 

作品紹介

1959年公開、アルフレッド・ヒッチコック監督作品。サスペンスの神様のサスペンスの傑作。
スパイに間違えられ、殺人犯に間違えられ、組織や警察に追われる男、ジョージ・ソーンヒル。ケーリーグラントが熱演。
第32回アカデミー賞(1959年)において3部門にノミネート。


北北西に進路を取れ
( AllPosters.co.jp )

感想

サイコ、鳥に次ぐ、アルフレッド・ヒッチコック監督の代表作。間違えられサスペンスの傑作が「北北西に進路を取れ」です。
フレンジーの感想の時書きましたが、一時ヒッチコックの映画を見漁っていたことがありました。でもこのタイトルは、そのずっと前、ヒッチコックという名前さえ知らない時から知っていました。なにしろ他の映画やドラマ、漫画などでこのタイトル、またはこのタイトルをもじったものが多く登場していたからです。いったいこれはどういう意味? 「敵は本能寺にあり」みたいで、興味をそそられてました。

簡単にあらすじを。
広告会社の重役ロジャー・ソーンヒル。ホテルのロビーで打ち合わせ中、ジョージ・キャプランという男に間違えられ、拉致されます。連れてこられたのは広壮な屋敷、レスター・タウンゼント邸。そこから何とか逃れたロジャーでしたが、警察には話を信じてもらえず。独自にキャプランの泊っているホテルと訪ねるロジャーでしたが、見つからず、逆に居場所が知られ、再び殺し屋たちに追われます。

次に国連で演説をするというタウンゼントを訪ねるソーンヒル。しかし現れた男は屋敷にいた男とは別の人物。ソーンヒルとの会話中、殺し屋のナイフに倒れ、ソーンヒルはその犯人として警察に追われます。

その頃政府の諜報機関ではソーンヒルは誰だと話題に。実はキャプランは諜報機関が、敵のスパイ(殺し屋たち)を騙すために作り上げた架空の人物。敵スパイに忍び込ませた味方のスパイから敵の目を逸らすための囮だったのです。ソーンヒルをどうするか? それに何もしないと答える教授と呼ばれる男。一人がつぶやく、「さらばソーンヒル、お気の毒に」

間違えられたって、本物がいるから最後間違いだとわかる。その本物がいないって・・・どうする、ソーンヒル。間違えられるにもほどがある。
(^^;
というのが序盤です。

カラーがまぶしい映画ですが、そこは1959年日本公開の映画。どうしてもテンポが遅く感じます。それでもなお、なるほどと思わせるシーンが続く凄さ。いくつかストーリーの流れに沿ってあげていくと・・・。

まず発端の間違えられシーン、これが巧い。

ホテルのロビー、打ち合わせを始めるソーンヒル。母親に電話をしなければと話を中断します。裏で微かにボーイが客の呼び出しに回っています。「ジョージ・キャプラン様、いらっしゃいませんか~」

電話のため、ボーイを呼ぶソーンヒル。その途端、カメラは奥にいる2人の殺し屋(実は敵のスパイ一味ですが)へ。あいつだという顔の殺し屋たち。キャプランを呼ぶボーイの声にソーンヒルが反応したと見えたわけです。あいつがキャプランだ。

打ち合わせの奥にチラリと登場する殺し屋2人。わからないくらい小さな、キャプランを呼ぶ声ボーイの声。ただの偶然、でも間違わせ方が巧いので違和感がありません。

次にタウンゼント邸に連れてこられたソーンヒルの数シーン。初めてタウンゼント(実はヴァンダム)に合うシーンのカメラのグルグル。画面左に歩くヴァンガム、それを追い左に動くカメラ、左に逃げるソーンヒル、それを追い左に動くカメラ。早いカット、緊張感が走ります。

かみ合わない二人の会話。やがてヴァンガムはこう言い残して部屋を出ます。「酒を飲んでいただけ、ごうきげんよう」
拷問が始まるかと思いきや、酒を飲まされることになるソーンヒル。押さえつけられたジョージの顔の前でコップ一杯に注がれるバーボン。「乾杯!」これは???
場面が変わって、べろべろに酔っているソーンヒル。酔わして車を運転させ、事故死に見せかけるということでした。この酒を凶器にするという発想が面白い。今ではよくありそうですが、この頃はまだ斬新だったのでは。まさかヒッチコックが初めて?

ホテルでキャプランを調査中、殺し屋たちに居場所を特定されたロジャー・ソーンヒル。母親と一緒に部屋を後にします。エレベータに乗り込もうとする二人。閉まりかけのドアに殺し屋たちも乗り込んできます。
満員のエレベータ。「こいつらだよ」目で母親に合図するソーンヒル。隣に立っている殺し屋。でもてんで息子を信じていない母親は殺し屋たちに向かってこう聞きます。
「あなたたち、本当に息子を殺しにきたの?」
あっけに取られる殺し屋A、B。そして笑い出す殺し屋。つられてエレベータ内は大爆笑、当の母親も大笑いを始めます。ひとり苦虫を噛み締めるソーンヒル。こういうシーンが紛れているところが本当に好き、最近の映画ではあえてやらないようですが。

国連で本物のタウンゼントに会うシーン。ここは本当に「あっ」と言ってしまいました。
ラウンジでタウンゼントを待つソーンヒル、その前現れたタウンゼント。屋敷の男(ヴァンガム)とはまったく違うのに、戸惑うソーンヒル。事情を聴いているタウンゼントが突然声を上げて倒れます。手を添えたソーンヒル、その手は背中に刺さったナイフに。思わず抜いてしまいます。
「見ろ!!」
ナイフ片手に呆然としているソーンヒル。席を立ちそれを見る人・人・人、受付嬢も身を乗り出して見ています。カメラマンがフラシュをたきました。

翌日の新聞にソーンヒルの姿がアップで。思わず笑ってしまうほどの間違われっぷり。そんな中、キャプランの真実が語られるシーンが。この持って行き方が、さすが神様です。
 


 
この後、有名は複葉機のシーンにつながるのですが、そちらはワンシーンにて。

その先もまだまだ。オークション会場からの脱出シーン、教授とソーンヒルの会話をかき消す飛行機のエンジン音、ケンドールに殺されるソーンヒル、ソーンヒルの紙マッチと続いて、ラストはラシュモア山の彫刻を下り逃げるというファンが喜びそうなシーンがたくさん。
そのあたりは実際に見てお楽しみください。
d(^^)

 


北北西に進路を取れ
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ワンシーン

驚くほどの広い荒野、遥か彼方に地平線がまっすぐ。長い長い直線道路を一台のバスが近づいてきて、乗客を一人下ろします。下りたのはソーンヒル。キャプランから指定された待ち合わせ場所がここなのか。

俯瞰するカメラ、画面の98%が荒野。ライトブラン一色な世界に驚かされます。アメリカ、広すぎ!! 高級スーツが景色に馴染みません。

こんなところになぜ? 周りを見渡すソーンヒル、あるのは枯れた草木ばかり。車が1台通り過ぎます。かなりのスピード。そしてまた静寂が。反対方向から高級車が、でもこちらもただ通り過ぎるだけ。今度は大きなトラック、砂煙を舞い上げ、埃だらけになるソーンヒル。

ソーンヒル目線の荒野のカット、ソーンヒル自身を写すカットが、しばらく続きます。これから何が起きるのかと観客に考える時間を与えているよう。車がただ通り過ぎるだけで、ちょっとドキドキします。そして埃だらけになるソーンヒルが笑えます。

交差する細い道、そこから一台の車が近づき、男を一人下します。スーツに帽子姿の男。この男がキャプラン? 近づいていくソーンヒル。二言、三言。この男はキャプランではないらしい。バスが近付き、それに乗る帽子男。乗車間際にこう言います。
「おかしいなぁ、あの飛行機 何もないところに農薬蒔いている」

ひっぱるなぁ。

帽子男が去るのを待っていたかのように、突然こちらに近づく複葉機。高度を下げ、ソーンヒルに突っ込んできます。驚き身をかわすソーンヒル。旋回し、再びソーンヒルを襲う複葉機。今度は発砲まで。逃げるソーンヒルは走ってきた車を止めようとしますが叶わず。三度襲う複葉機。たまらぬソーンヒルは枯れたトウモロコシ畑に身を隠します。

見渡す限りの荒野、そこで襲い掛かってくる複葉機。この絶望的なシチュエーションに驚かされます。台詞は一切なし、スーツは台無しww

複葉機はトウモロコシ畑に農薬を散布。たまらず逃げ出すソーンヒル。走ってくるトラックの前に立ちはだかり止まるように合図。急ブレーキをかけるトラック、間一髪止まりますが、止まったトラックに複葉機が衝突、大炎上となります。停車した他の車を盗み、ソーンヒルは逃げ出します。

間一髪止まるトラックが凄い。ふつうはソーンヒルの数センチ手前で止まり、あぁ危なかったという演出になりそうですがそうではありません。トラックは止まらずソーンヒルをオーバーラン、ロジャーは倒れることでトラックの下の隙間に入り、事なきを得るという演出。思わず「あっ」と言ってしまいました。
 
 


 
 

ケーリー・グラント
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薀蓄

タイトル・シーケンスはソール・バスによるもので、キネティック・タイポグラフィを本格的に使用した最初の作品であるとみなされている。
恒例のヒッチコック監督のカメオ出演、本作では冒頭のクレジットタイトルの最後、発車直前のバスに乗ろうとした男性がドアを閉められてしまうシーンに登場する。
ソーンヒルが農薬を散布する軽飛行機に襲われる有名なシーンは、カリフォルニア州ベーカーズフィールドで撮影された。
ジェームズ・ステュアートはソーンヒル役を熱望していたが、ヒッチコックは婉曲に断ったという。ヒッチコックは、『めまい』がヒットしなかったのはジェームズ・ステュアートがラヴ・ストーリーを演じるには年を取りすぎていたからと考えていたようで、『北北西に進路を取れ』はスパイ・アクション映画ではあるが、ラヴ・ストーリーが大きな位置を占めているため、ジェームズ・ステュアートよりも若々しいケイリー・グラントを選んだのだろうとトリュフォーは推察している。
この映画の中のミスの一つがメイキングで明らかにされている。ラシュモア山のカフェテリアでケンドールがソーンヒルを拳銃で撃つ場面、ケンドールが発砲する「前」に、画面右手の奥にいる少年が両手で耳をふさいでしまっている。何度もリハーサルを繰り返したのが原因のようで、進行役のエヴァ・マリー・セイントは「なぜこのテイクが残されたのかは謎です」と語っている。
教授とソーンヒルが利用したのはノースウエスト航空であり、この題名は「ノースウエスト航空で北へ」と解釈することもできる。

 

 

資料

原題:North by Northwest
コピー:ー
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:アーネスト・レーマン
原作:ー
制作:アルフレッド・ヒッチコック
製作総指揮:
音楽:バーナード・ハーマン
主題歌:
撮影:ロバート・バークス
編集:ジョージ・トマシーニ

ロジャー・ソーンヒル(広告会社の重役)/ ケーリー・グラント
イヴ・ケンドール / エヴァ・マリー・セイント
フィリップ・ヴァンダム(敵のスパイ一味の親玉)/ ジェームズ・メイソン
クララ・ソーンヒル(ロジャーの母)/ ジェシー・ロイス・ランディス
教授(政府のスパイ機関のボス)/ レオ・G・キャロル
ジャンケット警部 / エドワード・ビンズ
(偽の)タウンゼント夫人 / ジョセフィン・ハッチンソン
レスター・タウンゼント / フィリップ・オバー
レナード(ヴァンダムの手下)/ マーティン・ランドー
ヴァレリアン(ヴァンダムの手下)/ アダム・ウィリアムズ
リクト(ヴァンダムの手下)/ ロバート・エレンシュタイン

配給:メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
公開:1959年09月17日
上映時間:136分
製作国:アメリカ合衆国
言語:英語

制作費:$4,000,000

North By Northwest – Trailer – YouTube
 
 


 

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参考・引用

北北西に進路を取れ – Wikipedia
映画『北北西に進路を取れ』あらすじネタバレ結末と感想(80点) | MIHOシネマ
『北北西に進路を取れ』 ── 存在しない方位の謎。|げたにれの “日日是言語学”
ヒッチコック映画の決定版『北北西に進路を取れ』 – くりごはんが嫌い

更新履歴

初出)2017年10月25日、シネマドローム