1949年の黒澤映画、初の犯罪サスペンス 野良犬の情報です。
:追加更新部分)

紹介

黒澤監督初の犯罪サスペンス映画。実弾入りの拳銃を盗まれた若い刑事が、ベテラン刑事とともに犯人を追い詰める。
東宝を離れていた黒澤が他社で撮った作品の1本。
第23回キネマ旬報ベスト・テン第3位。昭和24年度芸術祭賞。
 
 

感想

暑い暑い夏の日、混雑する乗り合いバス。拳銃を盗まれたことに気付く村上刑事(三船敏郎、若っ!)。バスを駆け降り犯人を追いかけます。その時の東京の風景が凄い! これってどこの国。
くわっ(゚Д゚)

舗装されていない大通り、むき出しの土。建物はみな平屋、台風が来たら吹き飛ばされそうな木造。空が広い、広い。空き地もあちこちに見えます。この映画は1949年の公開。戦後ってこんなだったんだぁ。神戸や東北の震災どころではない、戦後まもなくの日本の方がもっともっと凄いです。

モノクロ映画なのは当然ですが、この画面は。画面アスペクト比が、昔のテレビみたい。実はこれはスタンダートと呼ばれる映画標準の画面比。シネマスコープとか、初めからあったわけではないようです。

拳銃を盗まれてことに責任を感じる村上刑事。仲間と思われる女スリに目をつけ、執拗に追いかけます。女スリは、何度も巻こうとするが、逃げられない。一日中付きまとわれた飲み屋で一休みする女スリに、店の主人に外で待つ刑事の話をされ、ギブアップ。刑事に酒の差し入れを。こんな人情がふつうにあったのかなぁ。刑事とスリとはいえ、人のつながりを感じます。コンプライアンスなんて言葉、なかったんだろうなぁ。今だって本当はないんだろうけど。

女スリの話を頼りに、闇市を探る村上刑事。このシーンは実際の闇市を隠し撮りしたらしい。へんな言い方ですが、とても活気があるように見えるのは気のせいでしょうか。やることがいっぱいある方が人は元気なのか。働き方改革でとかで、日本の元気にトドメが刺さされないといいけど。
(--;

細かいカットで続くこの場面。お祭りの屋台のような店ばかり、よくわからない部分も多い(米の通帳って何?)ですが、見る人がみれば貴重な記録なのかも。

近づいてきた男から「米の通帳」でピストルを売ってやると言われた村上刑事。酒場に現れた女を捕えるが、近くにいたという元締めには逃げられる。
一方、盗まれた拳銃で犯罪が行われたことがわかる。村上は辞表を出すが上司に破り捨てられ、代わりにベテラン刑事の元に行くよう命じられる。その刑事というのが佐藤刑事(志村喬、すでに年寄り役)。
話に無駄がないので、テンポがいいです。2度観て気が付くことも多いです。まだ、羅生門も七人の侍も撮る前の黒澤明。話運び(脚本)の上手さは天性のものなのでしょうか。

つづく

薀蓄

探偵小説の愛読者でもあった黒澤は、ジョルジュ・シムノンを意識したサスペンス映画を作ろうと企画し、新人の脚本家菊島隆三を共作に抜擢し、彼を警視庁に通わせて題材を集めさせた。そこで捜査一課の係長から、警官が拳銃を紛失することがあるというエピソードを入手、それを採用して熱海で脚本を作り上げた。
撮影のほとんどは貸しスタジオの太泉スタジオで行われた。予算が少ない中、警察の鑑識課からどじょう屋、ホテルやヒロインのアパートまで、オープンセットを含めて実に30数杯のセットが造られた。警察の鑑識課のセットは実際に警察署を見学し、引き出しのネームプレート一つに至るまで忠実に再現された。美術助手を務めた村木与四郎によると、どじょう屋のシーンでは生簀に本物のどじょうを入れたが、画面には全く映らなかったと、語っている。
本作は淡路恵子の映画デビュー作である。淡路は当時松竹歌劇団の研究生であり、本作に出演した時はまだ16歳だった。並木役の最終候補では淡路ともう一人が残ったが、黒澤が「淡路君の方が意地っ張りで面白そうだ」と決めたという。また、後の黒澤映画の常連俳優である千秋実の黒澤作品初出演作でもある。
復員服姿の村上刑事が闇市を歩く場面では、助監督の本多猪四郎と撮影助手の山田一夫の2人が上野の本物の闇市で隠し撮りを敢行し、本多は三船敏郎のスタンドインを務め、山田がアイモを箱の包に入れて撮影した。黒澤は後に「この作品で戦後風俗がよく描けていると言われるが、それは本多に負うところが大きい」と語り、本多を称賛している。
後楽園球場で刑事2人が拳銃の闇ブローカーを捕まえるシーンでは、実際の巨人対南海の試合映像が使われており、川上哲治・青田昇・千葉茂・武末悉昌ら当時の選手の姿も見られる。『全集 黒澤明』(岩波書店)の第2巻に収録されたシナリオでは、この試合は巨人対阪神戦となっており、別当の名前が見られる。また、「ラッキーセブンでございます」の場内放送に合わせて観客が一斉に立ち上がり、セブンス・イニング・ストレッチをする様子も見られる。
緊迫したシーンにあえて穏やかで明るい曲を流し、わざと音と映像を調和させない〈音と画の対位法〉という手法が本作でも用いられている。劇中の使用例をみると、佐藤刑事がホテルで撃たれるシーンでは、ホテルのラジオから「ラ・パロマ[注釈 2]」が流れ、ラストの村上と遊佐が対決する緊迫感あるシーンでは、主婦が弾く穏やかなクーラウのピアノ曲ソナチネ第1番ハ長調作品20?1と、最後に子供達が歌う「蝶々」が流れる。なお、本作では既成曲が多用されており、村上が復員兵に変装し闇市でピストル屋を探すシーンでは夜来香、東京ブギウギ、ブンガワンソロなどの流行歌が使われ、根負けした女スリが情報提供するシーンではヨシフ・イヴァノヴィチのドナウ川のさざなみがハーモニカで演奏される。
タイトルバックの野良犬が喘ぐシーンは、野犬狩りで捕まえた犬を貰い受け、撮影所の周りを走らせた後で撮影したものである。しかし、アメリカの動物愛護協会の婦人から「正常な犬に狂犬病の注射をした」と告発された。供述書を出してこの出来事は幕となったが、黒澤は「戦争に負けた悲哀を感じた」と語っている。
黒澤は、本作を撮り終えた時、俳優やスタッフと別れるのがつらかったと、自伝『蝦蟇の油』に記している。

資料

原題:野良犬
コピー:-
監督:黒澤明
脚本:黒澤明、菊島隆三
原作:-
制作:本木荘二郎
製作総指揮:-
音楽:早坂文雄
主題歌:-
撮影:中井朝一
編集:後藤敏男

村上刑事 / 三船敏郎
佐藤刑事 / 志村喬
並木ハルミ / 淡路惠子(S.K.D)
ハルミの母 / 三好榮子
ピストル屋のヒモ / 千石規子
桶屋の女房(遊佐の姉)/ 本間文子
スリ係市川刑事 / 河村黎吉(松竹)
光月の女将 / 飯田蝶子(松竹)
桶屋のおやぢ / 東野英治郎(俳優座)

配給:東宝
公開:1949年10月17日
上映時間:122分
製作国:日本
言語:日本語

制作費:-

野良犬(プレビュー) – YouTube


   1940年代日本公開の映画一覧はこちら   

 

本編を観るには・・・

 


( オムニセブン )

 

参考・引用

野良犬 (1949年の映画) – Wikipedia
黒澤明『野良犬』|ギラつく若き三船敏郎が疾駆する極上の追跡劇【面白すぎる日本映画 第3回】 | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト
野良犬:黒沢明の世界
映画の國 || コラム ||
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野良犬 -SummaArs 藝術大全
【2137】 <strong>○ 黒澤 明 「<font color=peru>野良犬</font>」</strong> (1949/10 東宝) ★★★★ – HUREC AFTERHOURS 人事コンサルタントの読書・映画備忘録

更新履歴

初出)2018年11月06日、シネマドローム