★[感想]エクソシスト ディレクターズカット版【蘊蓄×7】追加

 感想記事の抜粋


原題 The Exorcist
惹句 この恐怖を超えた映画はいまだ存在しない。禁じられた15分の未公開映像、挿入
監督 ウィリアム・フリードキン
女優 リンダ・ブレア
女優 エレン・バースティン
俳優 ジェイソン・ミラー
俳優 マックス・フォン・シドー
ホラーの概念を変えました。エクソシストの感想です。

 

 

作品紹介

’73年に全米公開されたオカルト映画の古典。
12歳の誕生日を迎えたリーガン、しかしその夜から彼女の奇行が始まる。最新の医学をもっても治療できないリーガン、医者が母親に薦めたのは悪魔払いの儀式でした。カラス神父と悪魔との壮絶な戦いが始まる。
 

感想

昔の映画はいいですね。テンポの遅さや特撮の古さは拭えませんが一本筋が通ってます。
70年代というと教会がその機能を見失って久しいでしょうか? 悩める若き神父の姿に当時のアメリカが見え隠れします。
神父の力に限界を感じる自分、精神病の母。強い力を持つ、ずる賢い悪魔、体を蝕まれる少女。メリン神父が悪魔に殺されて「あれ~」と思ってたら、それでは自分にのり移れと叫んでカラス神父まで。リーガンが元気に昔の姿に戻っても、キリスト教の世界はまだ救われないままといった感じでした。
ただこの映画は昔のままの方がよかったかも。階段のブリッジ下りはちょっと笑っちゃう。
 

ワンシーン

衝撃的なのは悪魔のメイクよりも・・・。まず、まだ普通のリーガンがパーティに現れ、いきなり立ったまま失禁するシーン。映画上のパーティの出席者だけでなく、映画館の観客までが押し黙ってしまいます。
それから辛い最新治療が、結局なんの役にも立たず医者が悪魔払いを勧めるシーン。結局人間は能力の限界にぶつかると神頼みなのね。
アラーの神を拝む信者の後ろをそそと歩く老神父というシーンも、なぜか心に残ってます。湾岸戦争、911にISISを知っている今。さらに深みを感じます。

薀蓄

スパイダーウォークのカットは1974年公開時も採用する予定であったが、ワイヤーが映り込んでいたため、やむなくカットした。公開はCGでワイヤーを消すことができるようになるディレクター・カット版まで待つことになる。
サブリミナル効果を狙い、編集時、要所々々に悪魔の顔を挿入したフリードキン監督。DVDの時代になり、容易に悪魔の顔を確認できるようになってしまったと悔しがった。
光と影。フリードキン監督はレンブラントの絵画を参考に、画作りに徹した。
悪魔祓いの儀式、リーガンの部屋。神父たちの吐く息が異様に白いのは演出。部屋を-30度に冷やして撮影している、それでも役者は薄着のままだった。
出来上がった映画は140分の長さ。フリードキンは原作者兼脚本家のブラッティの反対を押し切って、121分に仕上げた。「映画は短ければ短いほどいいんだ」との理由。(配給会社の意向という話もあり)
悪魔祓い、休憩時のカラス神父とメリン神父会話がディレクターカット版で追加された。フリードキンは不要と思ったが、ブラッティの顔を立て採用した。フリードキンはインタビューでそのことについて聞かれ、自分も歳をとって丸くなったと答えた。
印象的はテーマ曲、チューブラー・ベルズはエクソシストのために作らえた曲ではない。ラロ・シフリン(スパイ大作戦・ダーティーハリー・燃えよドラゴン)が作曲した曲をフリードキンが「こんなもの使えるか」と投げ捨てたため、急遽採用された。

映画エクソシストは監督が 悪魔(のような熱意)だった。ラストシーンの女の子を助けられず 神父の泣き顔が上手く撮れなかった時、監督は神父役を呼び出し、いきなりぶん殴った 困惑して涙目になった神父を見て「ハイ、スタート!」とカメラを回し撮影は成功した。

題名となっているエクソシストとは、英語で”悪魔払い(カトリック教会のエクソシスム)の祈祷師”という意味である。
クリスがワシントンD.C.近郊のジョージタウンに借りる家はプロスペクト・ストリートと36番ストリートにある家である。映画と同じく、その近くに「エクソシスト・ステップス」とのちに呼ばれた階段がある。
ウィリアム・ピーター・ブラッティらの意に反して「悪魔の勝利を描いた映画」とする見方が広まったため、数度にわたってエンディングの変更が検討された。しかし、予算の関係から、内容の変更は25周年記念版まで持ち越された。25周年記念版は1998年10月に公開された。当初撮影されていた、キンダーマン刑事とダイアー神父のその後の交流を感じさせるような、暖かみのあるエンディングが復活。なお、この2人の友情はブラッティ自身がメガホンを取った完結編『エクソシスト3』に引き継がれている。
国交のないイラクでの撮影は極めて稀なケースだったが、血糊の作り方を教えることと引き換えに撮影許可を得た。
初公開時、テレビ伝道師により「悪魔が映画のフィルムを形作っている」とされた。また映画の話題作りのため、フリードキンが撮影中の事故を誇張してマスコミに語ったため、噂が一人歩きする結果となった。
ポスターでも有名になった、メリン神父がクリスの家を訪ねるシーンは、ルネ・マグリットの絵画「光の帝国(The Empire of Light)」をイメージして撮られた。
言語研究所のドアの上に赤い字で「TASUKETE」と書かれた横断幕が貼られていることが、公開時ロードショー (雑誌)などで取り上げられて話題となった。日本語の「助けて」と思われる。
フリードキンはテーマ音楽を担当したラロ・シフリンが制作したデモ・テープを、彼の家族の見ている前で投げつけ、彼を解雇した。その後、マイク・オールドフィールドの「チューブラー・ベルズ」を採用した。映画のスコアはジャック・ニッチェに交替した。
フリードキンは演出の際、45口径の拳銃やショットガンを持ち出し、ジェイソン・ミラーなどに過剰な演技指導をしていた。また演技経験のないダイアー神父役のウィリアム・オマリーが瀕死のカラス神父に告解を与えるシーンでは、感情を引き出すため、本番直前にオマリーの頬を平手打ちし、その動揺した姿のままで迫真の演技をさせた。
スタンリー・キューブリックが本作の監督を熱望したが、スタジオ側は撮影に時間がかかることを危惧し、拒絶した。
ポール・ニューマンやジャック・ニコルソンなどが、カラス神父の役を希望していたが、フリードキンは比較的有名ではない俳優を希望したため、採用されなかった。

原作者ウィリアム・ピーター・ブラッティはホラーとは無縁の俳優兼コメディ作家として活躍していた。しかし『ワシントン・ポスト』に掲載されていた悪魔祓いの記事に衝撃を受け、取材を開始、エクソシストを書き上げた。
ウィリアム・ピーター・ブラッティは実際の事件を元に小説を書き上げた。事件は1949年、カリフォルニア州で起きたもの。実際は少年に悪魔が付き、体に奇妙な文字が浮かび、しゃがれた声でしゃべった。
ワーナーは『フレンチ・コネクション』でアカデミー賞に輝いたウィリアム・フリードキンに監督を依頼することにした。ドキュメンタリータッチで緊張感ある演出が出来るという理由だった。他の監督候補にはスタンリー・キューブリック、アーサー・ペンなどがいた。
リーガンの母親役にはシャリー・マクレーンやジェーン・フォンダ、オードリー・ヘップバーンを候補に挙げたが、フリードキンは彼女たちを断固拒否。『ラスト・ショー』で注目していたエレン・バースティンを選んだ。理由は「他の女よりおっかないから」
過激なリーガン役を演じてくれる少女は見つからないと考えていたフリードキン。オーディションに現れたリンダ・ブレアに「映画の神が俺に最高の贈り物をくれた」と感じた。
監督はメリン神父が悪霊パズズの像を発見するシーンをイラクで行うと主張し、キャスト・スタッフは1か月間イラクに滞在することになった。50℃近い灼熱の気温、撮影クルーに広まった病気、イラク国内で起きたクーデター、間違えてオーストラリアに送られた悪霊パズズの像など滞在中に起きた問題は数知れなかった。
フリードキンはリーガンの寝室のセットをニューヨークの音響スタジオに組んだ。彼はセットの室温をいつでも常温0度にしていた。吐く息が凍りつくようにしたかったため。
リーガンが十字架を性器に突き刺す場面で、それを止めに入る母親役のバースティンをピアノ線で思いっきり引っ張ることにした。何も知らないバースティンは猛烈な勢いで転倒し、背骨を強打して骨格が歪んでしまった。
撮影が進むとフリードキンは現場に拳銃やショットガンを持ち込むようになった。彼はそれを演じる俳優たちのすぐそばで予告なしに発砲し始めた。死の恐怖が、映像に緊張感を持たせた。
リンダ・ブレアの悪魔に憑りつかれたメイクには3時間かかった。43歳のマックス・フォン・シドーを70歳以上のランカスター・メリン神父見せるメイクには4時間かかった。
エンドタイトルに使用されている曲は、イギリスのロック・ミュージシャン、マイク・オールドフィールドの「チューブラー・ベルズ」と、ドイツの現代音楽家ハンス・ヴェルナー・ヘンツェの「弦楽のためのファンタジー」。
公開前映画を上映したいと申し出た映画館は全米で26だった。監督のウィリアム・フリードキンは公開前にその26の映画館全てを訪れ、明かりと音の質を確かめた。
『エクソシスト』はホラー映画にもかかわらず、アカデミー賞で10部門にノミネートされた。
リンダ・ブレアはこの映画公開直後、何者かに命を狙うぞというような脅しを受け、家族と共に6ヶ月間、護衛の警察と生活をともにした。
 

データ

原題 exorcist
英題 exorcist
惹句 この家の少女に 想像を絶する何かが起きている! すべてを託された男 《エクソシスト》の生命を賭け闘いが--いま始る!
脚本 ウィリアム・ピーター・ブラッティ
原作 ウィリアム・ピーター・ブラッティ

監督 ウィリアム・フリードキン
制作 ウィリアム・ピーター・ブラッティ
指揮 ノエル・マーシャル
音楽 スティーブ・ボエデカー
主題
撮影 オーウェン・ロイズマン
編集 ノーマン・ガイ、エヴァン・A・ロットマン、バド・S・スミス
美術

女優 リーガン・マクニール / リンダ・ブレア
女優 クリス・マクニール / エレン・バースティン
俳優 デミアン・カラス神父 / ジェイソン・ミラー
俳優 ランカスター・メリン神父 / マックス・フォン・シドー
俳優 キンダーマン警部 / リー・J・コッブ

会社 ホヤ・プロダクションズ
配給 ワーナー・ブラザース
公開 1974年7月13日
上映 1時間12分
国旗 アメリカ合衆国
言語 英語

費用 $ 12,000,000
収入 $441,071,011


 

本編を観るには・・・

参考

当時社会現象をもたらした映画『エクソシスト』をみた観客の狂気の反応(1973年) : カラパイア

映画『エクソシスト』に隠された恐ろしいサブリミナル映像 : カラパイア
映画「エクソシスト」感想と解説・リーガンに取りついた悪霊についてもまとめたよ|NITABI!!
傑作ホラー映画『エクソシスト』のキャストの現在 | Ciatr[シアター]
オカルト映画金字塔『エクソシスト』の知られざる20の事実 | Ciatr[シアター]
《閲覧注意! 》恐怖のホラ-映画・「エクソシスト」撮影現場 – YouTube
【閲覧注意!】映画「エクソシスト」撮影裏画像 – NAVER まとめ
~あの人は今~: リンダ・ブレア Linda Blair エクソシストの女の子
映画「エクソシスト」で神父たちは聖書のどこを朗読 – 洋画 | 教えて!goo
エクソシスト (映画) – Wikipedia
悪魔が撮った映画 『エクソシスト』 ( 映画レビュー ) – 映画大好き人間の部屋 – Yahoo!ブログ
~あの人は今~: リンダ・ブレア Linda Blair エクソシストの女の子
あの有名なホラー映画、エクソシストのテーマについて知りたいです。タ… – Yahoo!知恵袋
 

更新履歴

7稿)2023年05月15日、シネマドローム
6稿)2020年12月28日、シネマドローム
5稿)2018年11月10日、シネマドローム
4稿)2016年10月17日、シネマドローム
3稿)2015年04月02日、シネマドローム
2稿)2011年07月11日、シネマパレード~隼
初出)2001年02月11日、東京つまみ食い
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