★[感想]ジョーズ

 感想記事の抜粋


原題 Jaws
惹句
監督 スティーヴン・スピルバーグ
俳優 ロイ・シャイダー
俳優 ロバート・ショウ
俳優 リチャード・ドレイファス
女優 ロレイン・ゲイリー
蘊蓄 原作における専門的な部分(詳しい鮫の生態など)を極力抑えた娯楽作品に徹しており、「映画らしい派手な決着」「ブロディ署長に加えてフーパーも生き残る」などの変更が行われている。
1975年、若きスピルバーグ(27歳)の最高傑作。ジョーズの感想です。

 

 

あらすじ

海辺の町アミティに現れた巨大なホオジロ鮫。鮫退治に沖に向かったのは3人の男。しかし鮫がその姿を見せた時、男はつぶやいた。

「この船では小さすぎる...」

感想

鮫退治のため船に乗り込んだのは荒くれのシャークハンタークイント、大金持ちの海洋学者フーバー、海が嫌いな警察署長ブロディ。この3人の個性がすばらしいです。

海の上ではクイントがやりたい放題、昔ながらの海の男は大学出のフーバーとぶつかります。ブロディも時々クイントにブツブツ文句を言ってます。しかしフーバーも同じ海の男。体の傷を見せ合って少し意気投合。ブロディはこっそり自分の盲腸の傷を見ています。

やがてジョーズの攻撃にフーバーが海底に追いやられ、クイントもジョーズに食われ、残ったのは頼りのないブロディひとり。もうどうしていいかわからないのに、船はどんどん沈んでいき、残るは斜めに傾いたマスト一本とそこにしがみ付くブロディのみ。

あ~ぁ、もう駄目だ!

わざわざ最後に頼りないブロディを残すところが唸らされます。

ジョーズについてはよく初め鮫が出てこなくて思わせぶりだとの批判?を聞きますが、私はすばらしい演出だと思います。スピルバーグ監督は初めの1時間は鮫を出さないと約束で監督を引き受けたそうです。

ジョン・ウィリアムスの音楽もいい。見えないジョーズが近づいてきた事が音楽でわかる仕組み。残念なのはこの映画を映画館で見ていないこと。

見た人の話を聞くと映画館とビデオでは大違い、ビデオのホオジロ鮫はオモチャみたいだそうです。映画館で見たかったなぁ。

ワンシーン

最初の被害者はビキニの女の子。ブロディは人食い鮫の出現に海岸を封鎖しようとしますが、観光収入優先の市長に押し切られてしまいます。そして今度は子供が鮫の餌食に・・・。子供の親が鮫に懸賞金を出したことから、一山当てようという連中が集まって鮫退治が始り、やがて4m程度のイタチ鮫が捕まります。

島は大喜び。記念写真を取ろうと事になって誘われて照れながらもブロディまでが写真に収まります。そこに喪服の女性が現れてブロディを呼び止めます。そしていきなり彼の頬にビンタ。

「(鮫がいることを)知ってたのね」

女性は殺された子供の母親でした。ブロディは返す言葉もありません。このビンタで一発で観ている方も緊張感いっぱいに。一気に物語に引き込まれてしまいました。

好きな台詞

どのぐらい金を持っているのかとのブロディの質問に答えてフーバー

「私個人でか?それとも一族でか?」

それを聞いてブロディはもう答えなくていいといいます。如何にもお金持ちという感じが出ていて好きです。

薀蓄

「JAWS」とは「顎(あご)」とか「口部」という意味。「危機的な状況、窮地」という意味もある。
「ジョーズ」の鮫の名前はブルース。スピルバーグの弁護士の名前。
スピルバーグの作品では珍しく子供が死ぬ描写(鮫に喰われ、海へ引きずり込まれる)がある。
当初、原作者であるピーター・ベンチリーが映画の脚本も書いたが、スピルバーグは「面白くない」と却下した。
ディスカバリーチャンネルの『実話!映画「ジョーズ」』では、1916年夏にニュージャージー州で起きた、ホオジロザメが海岸や川で泳いでいた人を襲撃した事件を元に、ピーター・ベンチリーが小説を書いたとしている。
原作における専門的な部分(詳しい鮫の生態など)を極力抑えた娯楽作品に徹しており、「映画らしい派手な決着」「ブロディ署長に加えてフーパーも生き残る」などの変更が行われている。

ジョーズの鮫は電動で泳ぐはずだったんだが防水が不完全で故障。しかたないから近寄って来るシーンをヒレと音楽だけでごまかしたら逆に恐怖感アップで大ヒットした。スピルバーグ監督は「あの頃にCGがあったら『ジョーズ』は駄作になってた」と語っている。
サメロボットが動かないため、撮影ができず、撮影ができないので、脚本を変える。それでもサメは動かず、最後までサメが動かない可能性もあった。
大きな水槽での撮影が通常だった当時。本物の海での撮影は困難だった。潮の流れで撮影位置から動いてしまい、定位置に戻すのに半日かかることもザラであった。
ジョン・ウィリアムズが作曲したジョーズのテーマ曲。この曲はジョーズが出てくる時のみにしか流れない。実はサメではなかったシーンでは曲は流れない。
こっそりとカメオ出演しているスピルバーグ監督。サメのハンティングがあまりうまく行かず、イラついているクイントが無線交信する相手の声がスティーブン・スピルバーグ。
リチャードドレイファス抜擢時にスピルバーグは、ドレイファスから逆に「一緒にこんな映画おりよう」と言われていた。
リチャードドレイファス(学者役)と船長役ロバートショウ(船長役)は、映画の中だけでなく、不仲だった。
クイントがアミティの人たちにサメのハンターとして売り込んでいた時、“あのサメは人を丸のみだ。小刻みに揺れながら、肉を柔らかくする、それで終わりだ”というセリフを言う。自分がその通りになるとも知らずに。

撮影スケジュールがどんどん遅れ、我慢の限界に達したスタッフが「いつ撮影は終わるんですか?」と聞くと、スピルバーグは「僕がクビになって製作中止になれば終わるよ」と答えた。
終盤、フーバーに襲い掛かって檻を破壊するシーンのサメは、ロボットではなく本物のサメ。エサだけ食べてなかなか檻を襲ないサメが、たまたま網に引っ掛かり大暴れ。迫力のシーンとなった。
原作のラストでは、サメがオルカ号に乗り上げてしまったために、呼吸が出来なくなって死んでしまうというもの。脚本も同様だったが、エンターテイメント的面白さにこだわったスピルバーグが現場で勝手に変更した。
ラスト、ブロディがサメに向かって叫ぶセリフは、字幕では「くたばれ、化け物!」となっているが、本当は「Smile you son of a bitch!(スマイル・ユー・サノバビッチ!)笑え、クソ野郎!」である。
クライマックスでホオジロザメが息絶えるシーンで車のマフラー音が轟く。これにはスピルバーグ監督初期作品『激突!』が関係している。

スピルバーグが撮影中に最も意識した作品はアルフレッド・ヒッチコックのスリラー『鳥』(1963)だった。海を監視しているブロディ署長へのズーミングは、『めまい』(1958)で使った「ドリーズーム」(めまいズーム)である。
苦労の連続だった撮影。約束のクランクアップの日は過ぎ、お金も使い果たした。なんとか完成にこぎ付け、やってきた試写会の日、若きスピルバーグ監督は観客の反応を見るのが怖くてロビーでじっとしていたそうです。映画も終盤に差し掛かった頃一人の男が試写室から出てきました。彼は大急ぎでトイレに向かおうとしたが、間に合わず床に吐いたそうです。

「そんなに残酷だったか…」

監督はちょっと不安になりましたが、吐き終わった男が再び試写室に戻るのを見て「これはヒット間違い無し」と思った。

完成版を観たベンチリーは激怒し「こんなものがヒットするわけがない。スピルバーグは一生B級監督だ」と罵り、逆にスピルバーグから「元が面白くないからこうした」との反論を受けた。
ベンチリーは、舞台となった海水浴場から人食いザメ出現のニュースを伝えるレポーター役で出演している。
公開は1975年6月20日。全米406とカナダ58の劇場で一斉に封切られ、1ヶ月で6000万ドル(当時の邦貨に換算して約180億円)を叩き出す大ヒットとなり、それまでのあらゆる興行記録を塗り替えた。
76年の夏に配給元のCICではボーナスが12ヶ月分出た。
『泳いでいる女性の下から迫り来る巨大ザメ』というポスターは、原作小説の表紙からきている。このイラストを描いたのはペーパーバックの表紙や、後に『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』のポスターなども手掛けるRoger Kastel。

資料

原題 Jaws
英題 Jaws
惹句 映画史を呑みこんだ<ジョーズ>空前の大ヒット!!
脚本 ピーター・ベンチュリー、カール・ゴットリーブ
原作

監督 スティーブン・スピルバーグ
制作 リチャード・D・ザナック、デビッド・ブラウン
指揮
音楽 ジョン・ウィリアムズ
主題
撮影 ビル・バトラー
編集 ヴァーナ・フィールズ
美術

俳優 ブロディ(警察署長)/ ロイ・シャイダー
俳優 クイント(鮫ハンター)/ ロバート・ショー
俳優 フーパー(海洋学者)/ リチャード・ドレイファス
女優 エレン・ブロディ / ロレイン・ゲイリー
俳優 ボーン市長 / マーレイ・ハミルトン
俳優 ヘンドリックス / ジェフリー・クレーマー
女優 クリッシー・ワトキンス / スーザン・バックリニー
俳優 キャシディ / ジョナサン・フィレイ
俳優 マイケル・ブロディ / クリス・レベロ

会社 Zanuck/Brown Company、ユニバーサル・ピクチャーズ
配給 1975年12月6日
公開 ユニバーサル・ピクチャーズ
上映 124分
国旗 アメリカ合衆国
言語 英語

費用 900万ドル
収入 4億7,200万ドル

 


 

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参考

ジョーズ – Wikipedia
スピルバーグ・自身を語る
スティーブン・スピルバーグ監督『ジョーズ』映画感想 – 1年で365本ひたすら映画を観まくる日記
ジョーズ・インサイドストーリー
映画『ジョーズ』にこっそり隠された9つのメッセージ | Ciatr[シアター]
喰らえ!JAWS ジョーズ ( 映画レビュー ) – 字幕映画のススメ – Yahoo!ブログ
「めまい」と「ジョーズ」の素晴らしきカメラワーク リアルETの英語学習 高校入試&TOEIC/ウェブリブログ
【映画】ジョーズ(JAWS)ネタバレ感想~サメ映画の元祖!スピルバーグ監督らしいド派手なエンドが最高! – びーきゅうらいふ!
スピルバーグ監督が「あの頃にCGがあったら『ジョーズ』は駄作になってた」と語る|ギズモード・ジャパン
映画「ジョーズ」はこんな風に作られていた!ジョーズメイキング画像(1975) : カラパイア
通常より100倍楽しめる。映画「.ジョーズ」を最高に楽しむための鑑賞法はこれだ! : カラパイア
「ジョーズのテーマ曲」に興奮!笑顔ではしゃぐ少女のコロコロ変わる表情がかわいい
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Inside Jaws, A Filmumentary by @jamieswb (2013) on Vimeo
映画『ジョーズ』テーマ曲の元ネタはストラヴィンスキー「春の祭典」だった | 週刊ホホジロザメ
 

更新履歴

5稿:2021年05月01日、シネマドローム
4稿:2016年10月18日、シネマドローム
3稿:2015年03月16日、シネマドローム
2稿:2010年10月20日、シネマパレード~隼
初出:2001年08月19日、東京つまみ食い
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