★[感想]カポーティ

冷血なのは誰か・・・。カポーティの感想です。

 

作品紹介

 
《 冷血 》を書き上げるまでのトルーマン・カポーティを描いた伝記ドラマ。
フィリップ・シーモア・ホフマンはアカデミー主演男優賞を受賞。
『ティファニーで朝食を』はトルーマン・カポーティが原作。
 
 

感想

いかにも賞を取りそうな苦(にが)い話。1959年11月15日、カンザス州の田舎町で起きた一家惨殺事件。記事を読んだカポーティは、詳細を本にしようと現地に赴く。やがて容疑者たちとも親しくなるカポーティ。犯人たちの死刑で物語を締めくくろうとする彼だが、事件当日の出来事は話そうとしない犯人たち、そして延期が繰り返られる死刑の執行。彼は次第に苛立ち始める。

個性的なしゃべり方、考え方、そして攻撃的なジョーク。日本だったら物まね芸人たちの餌食になりそうです。丁寧な話運び、美術、衣装。その時代や背景を知っている人には音が無くても楽しめそう。荒涼としたカンザス、横一列に続く枯れ木が印象的です。

なぜ、テファニーで朝食をが発禁?なぜ、殺人犯たちの死刑執行が延び延びになる?と、わからないことが多いまま、犯人が犯行当日を語るクライマックスへ。場内が一瞬真っ暗になったあとに響く銃声が効果的。

待合室から倉庫のような執行場所へ。13階段を順に昇り、牧師の声が一言。床が抜け、苦しみに痙攣する犯人。その揺れが止まるまでを淡々と見せる残酷。呆然、我を無くし、それを見つめるカポーティ。

《 冷血 》はそのタイトル通り、犯人を徹底的に冷血に描いているらしいが、この場面はどのように書かれているのだろうか…。
 
 

薀蓄

ニューヨークの富裕層との酒場での軽妙なジョークなど、シーンのいくつかは主演フィリップ・シーモア・ホフマンのアドリブである。死刑囚との最後の面会で主演が感極まり涙を流すシーンは予定外のことであった。
撮影のほとんどは1950年代から60年代のカンザスとニューヨークの両者の雰囲気を兼ね備えるカナダ・マニトバ州のウィニペグで、晩秋に行われた。数百人に及ぶエキストラの多くがウィニペグ近郊の人たちである。
金原瑞人「ハーパー・リーとカポーティ」によれば、『冷血』が出版された時に、リーはあれだけ協力したのに、感謝の言葉がひと言もないのに愕然としたという。
2006年秋、豪華キャストを迎えたもう一つのカポーティ映画 『Infamous』 が公開となった。こちらも題材は同じであるが、原作は異なる。出演はカポーティ役がトビー・ジョーンズ、ハーパー・リー役がサンドラ・ブロック、その他ダニエル・クレイグ、グウィネス・パルトロー、シガニー・ウィーバー、ジェフ・ダニエルズ、ホープ・デイヴィス。監督・脚本はダグラス・マクグラス。

 
トルーマン・カポーティは1957年、日本で映画を撮影していたマーロン・ブランドと会見するため来日。三島由紀夫と会っている。
フィリップ・S・ホフマンは1967年生まれ。・・・39歳にはとても見えない。
 (^^;
カポーティはこの作品(冷血)の後、作品を書いていない。
フィリップ・シーモア・ホフマンはツイスターに出演している。
 

資料

原題:Capote
コピー:何よりも君の死を恐れ、誰よりも君の死を望む。
監督:ベネット・ミラー
脚本:ダン・ファターマン
原作:ジェラルド・クラーク
制作:キャロライン・バロン、マイケル・オホーヴェン、ウィリアム・ヴィンス
製作総指揮:
音楽:マイケル・ダナ
主題歌:-
撮影:アダム・キンメル
編集:クリストファー・テレフセン

トルーマン・カポーティ(小説家)/ フィリップ・シーモア・ホフマン
ペリー・スミス(殺人犯)/ クリフトン・コリンズ・Jr
ネル・ハーパー・リー(幼馴染)/ キャサリン・キーナー

配給:ソニー・ピクチャーズ
公開:2006年9月30日
上映時間:114分
製作国:アメリカ合衆国、カナダ
言語:英語

制作費:$7,000,000

Capote (2005) – YouTube

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参考

カポーティ – Wikipedia
超映画批評『カポーティ』70点(100点満点中)
『カポーティ』 – 小室みつ子 趣味Blog ‐映画とか映画とか戯言とか ー

更新履歴

3稿)2018年02月20日、シネマドローム
2稿)2015年08月24日、シネマドローム
初出)2010年03月10日、シネマパレード~隼

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