★[感想]レインマン

 感想記事の抜粋


原題 Rain Man
惹句
監督 バリー・レヴィンソン
俳優 ダスティン・ホフマン
俳優 トム・クルーズ
女優 ヴァレリア・ゴリノ
俳優 ジェリー・モーレン
蘊蓄 当初、ホフマンは弟の役だったが、兄の役柄に大きな感銘を受け、自分が演じることを直訴。何度もキムに面会し、役作りに励んだ。


ダスティン・ホフマンの演技が光る、レインマンの感想です。

 

 

作品紹介

超高級車のディーラー。でも自転車操業で、綱渡りの商売をしているチャーリー。彼の元に父の訃報が届きます。資産家の父親、これで莫大な遺産が手に入る。ところが故郷に帰った彼は、遺言により財産のほとんどが彼の兄へ渡されると聞かされます。納得のいかないチャーリーは、存在も知らなかった兄の元へ。
兄レイモンドが暮らしていたのは、とある施設の中。彼は重度の自閉症。チャーリーは遺産を手に入れるため、こっそりとレイモンドを連れ出します。
1988年、トム・クルーズとダスティン・ホフマン主演のロードムービー。自閉症、サヴァン症候群という言葉を全世界に知らしめた。
第61回アカデミー賞にて、作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞を受賞。
 

 

感想

当時人気絶頂のトム・クルーズと人気ひと段落のダスティン・ホフマン。ダブル主演のロードムービー。まだ当時知る人の少なかった自閉症、サヴァン症候群を扱っています。

ロサンゼルスへとレイモンドを連れ出すチャーリー。しかし、レイモンドは事故例をあげ、危険だと飛行機に乗ることを断固拒否。またハイウェイもNG。チャーリーとレイモンドは田舎道を車で移動することとなります。

トム・クルーズ演ずるチャーリーは海千山千のディーラー。しかし資金が底を尽き、倒産の危機。なんとか遺産を元手に奮起をと張り切りますが、レイモンド(ダスティン・ホフマン)は金の価値すらわかりません。
何度か切れそうになりるチャーリー。でもいつも最後はレイモンドに合わせ、二人は旅を続けます。若干コメディタッチ、あまり暗くならずに物語は進みます。印象に残ったシーンをいくつかあげると。

同じ事ばかり言うレイモンド。そして自分の意見は曲げないレイモンド。チャーリーは次第にレイモンドの能力に気付きはじめます。
一度見たり聞いたりしたら忘れない記憶力。一瞬でこなす計算。またこんなことも。カフェで女給がレイモンドにぶつかり、持っていた楊枝を落とします。一瞬見ただけで楊枝の本数を正確に答えるレイモンド。計算だけではない・・・。これはレイモンドのモデルとなったキム・ピークの実体験だというから凄いです。時間でも止められるんじゃ。
(・―・・)

街で公衆電話をかけるチャーリー。その隙にレイモンドは一人街を歩きます。横断歩道を渡っている最中に信号機が赤(Don’t walk)に。横断歩道の真ん中で立ち止まるレイモンド。道路は大騒ぎ、慌ててチャーリーはレイモンドをもとに。

怒りレイモンドの首をつかむチャーリー。レイモンドはバックパックからノートを取りだし、なにやら書き始めます。「チャーリー・バビット暴行記録」www。サヴァン症ではないけど、こういう人いる。
(^^)

トランクス(パンツ)はシンシナティのKマートのでなきゃダメだ。としつこいレイモンド。あまりのしつこさに怒り出すチャーリー。
車を降り「パンツはどれも同じだ!!パンツはパンツだ!!」と叫ぶチャーリー。Www

午後三時はテレビ裁判の時間。かならず裁判を見なければ。レイモンドが叫びだす前にと、一軒の家にテレビを見せてくれるよう頼み込むチャーリー。でもうちでは子供たちが漫画を見るんだけど・・・。数分後、周りで子供たちが泣く中、一心不乱にテレビ裁判を見るレイモンド。嬉しそう。
(´ω`)

途中寄った町医者でのレイモンド。3~4桁の掛け算、平方根は求められるが、買い物の釣銭は計算できない。チョコバーは100ドル、新車も100ドル。そして僕は自閉症じゃない、絶対に違うと言います。

ついに破産、もうだめだ。しかしレイモンドの能力をカジノに使うことを思いついたチャーリー。ポーカーで大儲けします。鬱積シーンが長くこの映画で、唯一弾けるシーンです。

公開時、映画館で見た後、しばらくレイモンドが私から抜けなくて困りました。
あまりに印象深かったため、いつの間にか真似をしてしまうのです。
ダスティンホフマンは何度もキム・ピークに面会し、演技を研いたとか。さもありなん。

厄介ものと思った兄が実は子供の頃遊んだレインマンだと知るチャーリー。そして父親の愛情も。二週間の旅でチャーリーは変わりました。ラスト、レイモンドを見送る笑顔。そしてレイモンドも。ストーリーを知っていても、もう1度見たくなる映画です。

この映画をみていて思い出したのが、昨年の相模原障害者施設殺傷事件。元施設職員の男が侵入し刃物で19人を刺殺、26人に重軽傷を負わせた大量殺人事件です。男は逮捕後「障害があって家族や周囲も不幸だと思った。事件を起こしたのは不幸を減らすため。同じように考える人もいるはずだが、自分のようには実行できない」と述べたと言います。

私はそれを聞いて、この人は大きな勘違いをしていると思いました。犯人は障害者を殺したと思っているでしょうが、遺族は息子や娘を殺されたと思ってます。
犯人は、手間がかかる子供がいて可哀想と思ってますが、遺族は息子・娘がいて幸せ、でも今は障害があるんだよねと考えていたと思います。障害というのは息子や娘の属性であって、だからといって殺してしまうというのは本末転倒です。

チャーリーは遺産があるから、レイモンドに近づきました。でも何度も、なぜ兄がいることを教えてくれなかったんだと嘆いてます。カジノで儲ける事が無くても、チャーリーは笑顔だったのでは。血のつながった兄がいる。それだけでも生きる意味を感じたのかもしれません。

終わり

薀蓄

サヴァン症候群のキム・ピークがレイモンドのモデルであると言われている。キムと面会した作家のバリー・モローがその能力に驚愕し、小説を書きあげた。
当初、ホフマンは弟の役だったが、兄の役柄に大きな感銘を受け、自分が演じることを直訴。何度もキムに面会し、役作りに励んだ。
床に落ちた爪楊枝を瞬時に計数したキム・ピークの実体験がそのまま映画のエピソードとして出てくる。ただし自動車運転などは困難を極めたという。
公開後に有名となったキムは、しかしなんら生活を変えることなく、毎日を図書館で過ごし、小説から図鑑、電話帳、住所録までを片っ端から読破して、記憶する日課を死ぬまで続けて、2009年12月19日に58歳で亡くなった。
日本では2006年に世界で初めて舞台化され、チャーリー役に椎名桔平、レイモンド役に橋爪功を起用しヒットした。

名優ダスティン・ホフマンはあるシーンがとても気に入っているのだそうです。そのシーンとは電話ボックスでチャーリーが電話をしている最中にレイモンドがおならをする場面。実はこのシーン少しアドリブが入っていて、ホフマンは本当におならをしたのです。このユーモアあふれるシーンがホフマンのお気に入りのシーンなのだそうですよ。

 

資料

原題 Rain Man
英題 Rain Man
惹句
脚本 バリー・モロー、ロナルド・バス
原作 バリー・モロー

監督 バリー・レヴィンソン
製作 マーク・ジョンソン
指揮 ピーター・グーバー、ジョン・ピーターズ
音楽 ハンス・ジマー
主題
撮影 ジョン・シール
編集 ステュー・リンダー
美術

俳優 レイモンド・バビット / ダスティン・ホフマン
俳優 チャーリー・バビット / トム・クルーズ
女優 スザンナ / ヴァレリア・ゴリノ
俳優 Dr.ブルーナー / ジェリー・モーレン
俳優 ジョン・ムーニー / ジャック・マードック
俳優 サリー・ディブス / ボニー・ハント
俳優 Dr.マーストン / バリー・レヴィンソン

配給 UIP
公開 1989年02月25日
上映 134分
国旗 アメリカ合衆国
言語 英語

費用 約2500万$
収入 ?

 


 

 

本編を観るには・・・

参考・引用

レインマン – Wikipedia
「レインマン」|新しい人生をはじめる前に過去を振り返る
映画『レインマン』のあらすじ・キャストまとめ【ネタバレあり】 | ciatr[シアター]
映画「レインマン」愛、自閉症、家族、邂逅の物語。あらすじ、感想、ネタバレあり。 – キシマの映画日和
人生論的映画評論・続: レインマン(’88) バリー・レヴィンソン
「レインマン」~自閉症を世に知らしめた作品~ | 小さな映写室
レインマン : 自閉症博物館~大人の発達障害者より~
相模原障害者施設殺傷事件 – Wikipedia

更新履歴

2稿)2022年07月20日、シネマドローム
初出)2017年11月01日、シネマドローム
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