人種差別ホラーっていったい・・・、ゲットアウトの感想です。

 

紹介

「パラノーマル・アクティビティ」「インシディアス」「ヴィジット」のジェイソン・ブラムが製作、お笑いコンビ「キー&ピール」のジョーダン・ピールが初メガホンをとったホラー。
低予算ながら全米で大ヒットを記録。
第90回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞の4部門にノミネート、脚本賞を受賞した。

感想

外出先で待ち時間発生。2時間は長いなぁ、さてどうするか・・・。 北千住は何度も歩いているしなぁ~。マンガ喫茶があったので、そこで時間をつぶすことに。映画でも見ようかな。

行ったことがある人はわかると思いますが、マンガ喫茶ではオンデマンドで映画を見ることができます。パソコンのモニターとヘッドフォンでの鑑賞、暗くて静か。それほど悪くはありません。ただラインナップはちょっと微妙。見たいのがあるような、ないような。ジュースの飲み放題と同じなので仕方がありません。

そんな中、「15時17分、パリ行き」を発見。クリックすると映画が始まりました。でもなぜか音が出ません。モニターの音量、ウィンドウズの音量、プレイヤーの音量。どれを調整してもヘッドフォンに反応なし。だいたい、なんでヘッドフォンが2つあるんだ。他に打つ手もないので途方に暮れます。しばらく来てなかったので私のマンガ喫茶リテラシーはここまで下がったのか。
(^^;
他の映画にしよう。次に選んだのが「ゲット・アウト」。でもやっぱり音がでないなぁ。仕方がない、自分のサイトが他のパソコンではどう見えているのか確認でもするか・・・。と、思ったらヘッドフォンから音が出てる。えっ!? なぜ? でもまぁ、これにするか。

黒人が椅子に縛られ叫んでいるポスター、覚えています。この人は何に驚いているんだぁ~!?、とても興味がありました。 確か、アメリカでは映画評論家の評価が高く、アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞の4部門にノミネート。見事脚本賞を受賞したという作品。さて、予備知識も少なく見た「ゲット・アウト」。実はホラー、それもこれってB級のような・・・。

クリス(黒人青年)とローズ(白人女子)は恋人同士。両親に紹介したいとクリスを実家に誘うローズ。クリスは乗り気ではありません。

「まだ俺が黒人だと話していないんだろ」「そんなのぜんぜん問題ないわ」

彼女の親に会うというのは緊張するものです。キスを交わすローズとクリス。白と黒のキスというのは映画でもあまり見ないような。黄で島国から出ることがない私にはよくわかりません。まだ、ポアチエも観てないし。

山道、車を走らせる二人。運転するのはローズ、淡々と進む話。突然車の前を横切る何か、車にぶつかりサイドミラーを壊します。犯人は鹿でした。パトカーを呼ぶクリス。事情聴取、ローズの話を聞いた後、クリスに身分証を見せろという警官、素直に従おうとするクリス。しかし、その必要はないとローズが制します。頑なに拒むローズ・・・。

やっぱりこういう話なのか。何か事故が起きて警官が死んで、その犯人としてクリスが終われのかなぁ。日本であまり話題にならないのは、人種差別がテーマだからだな。日本人がアメリカに行ったら、黒人側のポジションだろうし。大手のタコスチェーン店でも、平気で日本人には売ってくれないらしいし。
(--;
・・・って、感想を書いてみると、うまくミスリードされていたことがわかります。

二人を迎えるローズの父と母。保養地にある別荘のよう、自然の中の静かな家。お金持ちで教養もありそう、このあたりの人をアメリカではリベラルと呼ぶらしい。差別などしない? でも黒人のメイドに黒人の管理人。クンタキンテの頃の南部の街ような・・・。でも、クリスよかったね、普通に受け入れてもらって。そうなるとこの後怪物でも出てくるのか、それともさっきの警官が街のみんなをついれて襲ってくるのか。

クリスの感想は違っているもよう。違和感を覚えたといいます。ボビー・オロゴンをハンサムにしたようなクリス。そうかなぁ、確かに、メイドは満面の笑みを浮かべながら涙流しているし、管理人は夜中に外を走り回っていたけど。スマホの充電が外されてたって、過充電を心配して、誰かが抜いてくれたんじゃないかなぁ。

しかし段々、そうも言ってられない状況に。でもコーヒーがなくなったからコーヒーサーバーに行かなくては。ポーズをかけて休憩。映画館ではこれはできない。

おじいさんのお祝いとかがあって、アーミテージ家に多くの人が集まります。みな白人ばかり、差別じゃないけど、みんなクリスを珍し気にみて、いろいろ聞いてきます。いい体してるなぁ~って、これって逆差別?
黒人の男がいてちょっと安心するクリス、でも動きが白人っぽい? 白人老女の夫!? どこかで見たことがある男だとスマホで写真を撮ろうとしたら光るフラッシュ。撮られた男は逆上、クリスに迫ります。

「ゲット・アウト!」

タイトルがセリフで出てくる映画って好き。

ローズの母に催眠術をかけられ、タバコを吸えなくなっちゃうし、身の危険すら感じ始めるクリス。ついにローズにニューヨークに帰ろうと話します。しかし実はローズも・・・。物語は一気にB級路線になっていきます。そうきたか、なぞはすべて解けた。しかし、一つわからなことが。どうしてこの映画の評価がそれほど高いんだろう・・・?

ネットの批評や感想を読むと、その理由は伏線と暗喩。この映画にはお手本のような伏線が引かれているといいます。ニューヨークのクリスの部屋の写真から、ローズの家の笑いながら涙を流すメイド、Get Outの意味・・・。見終わった後振り返ると本当の意味が、そしてもう一度見るとそれらが違和感なく仕掛けられているのがわかります。・・・確かに。

どのような展開をするのか、ラストシーンはどうなるのか。その予想の当たり外れを映画を見る一番の楽しみにしている私。先にエンディングがわかれば自分の勝ち、エンディングに驚かされれば映画の勝ちとしています。
ただそれだけでなく、伏線というのが重要なポイント。伏線はエンディングに向けてのヒントのようなものなので、今回んように伏線が多いのに終わり方がわかなれければ、完敗になります。まぁ、トンデモ落ちなので微妙ではありますが。

評論家の人たちはそのような評価はしないとは思いますが、やはり上手い伏線は脚本のポイントになるようです。暗喩の方は人種差別関係なのでわかりにくい、というかわかりませんでしたが・・・。

ネットで見つけた細かな伏線や暗喩を挙げておきます。映画を観た後、できれば2度観たあとに見ることをお勧めします。
(^。^)
 

細かな伏線・暗喩(ネタバレ注意)

冒頭、拉致されているのはローガン。拉致しているのはローズの弟ジェレミー、最後の最後に車の中にその時していたマスクが見える。西洋甲冑の兜、そして白い車、暗示するものは白人至上主義団体・KKK。
クリスの部屋には飾られている白黒写真。白人の少女が黒いマスクを被っているものがある。
ローズが実家に向かう時にひく鹿。クリスにひき逃げされた母親を連想させ、深層心理を刺激、深い催眠にかかるようアーミテージ家が準備していたもの。
死んだ鹿はブラックバックのメスであり、Black Buckは、白人の女性を襲う黒人男性に対するスラング。
鹿(Deer)は「彼女を作ろうとして失敗する男」のスラング。
警官がクリスの身分の証明書を提示を求めた時、ローズが頑なに拒否したのは行方不明になるはずのクリスの情報を残したくなかったため。
ローズの父親がクリスに家を案内した時、地下には黒カビ(Black mold)が生えていると説明するが、moldには型に嵌めるという意味がある。
ローズの父親がクリスに家を案内した時、彼の祖父が陸上短距離の選手で、ミュンヘンオリンピックでジェシーオーエンス(黒人)に及ばなかったと話す。後に登場する使用人のウォルターが庭を疾走していくシーンにつながる。
ローズの父親が使用人のジョージィナを紹介する直前、クリスに「私の母親は、キッチンが好きだった。」と言う。その後すぐにキッチンにたたずんでいるジョージィナが紹介される。
ジョージィナのセリフに「彼らは私たち(使用人)を家族のように扱ってくれる。」というのがある。
ローズの母の名はミシー(Missy)。MissyはMistress of a slave-holding(奴隷を抱えている家の女主人)の省略形である。
クリスがミシーに「催眠術」にかけられるシーン。クリスがテレビを見ているような構図になっているのは、母親がひき逃げされた時、クリスが何もせずテレビを見ていたことをミシーが利用したため。
ローガンがクリスに叫ぶ《 Get Out 》。「 出ていけ 」という意味と「 逃げろ 」という意味がある。
カタコトの英語で笑顔を振りまく老人は大山泰彦氏という日本人。国際大山空手道連盟最高師範というれっきとした空手家。
ローズの家族はリベラル派。リベラルは平等を謳っている実はそのリベラルがというメッセージがある。
縛られた椅子から綿をつまみ取り、催眠から逃れるクリス。これはpicking cotton(大規模なプランテーション農業によって酷使された黒人たちの綿花摘み)の歴史を表和している。
カメラのフラッシュで我に返るローガン。白人警官による暴力をスマートフォンカメラで告発するという行為が多発したエリック・ガーナー窒息死事件がメタファーとなっている。
 
 

薀蓄

当初の計画では、屋敷を脱出したクリスがアーミテージ一家殺害容疑で警察に逮捕されるというエンディングになる予定であった。ピールはレイシズムの過酷な現実を反映したエンディングにしようとしていたのである。それは「黒人であるバラク・オバマが大統領に選出されたのだから、レイシズムは終わったと看做しても良い。もうレイシズムについて語るのを止めよう」と主張する人々に対して、「レイシズムはまだ終わっていない」というメッセージを打ち出すためでもあった。しかし、製作が本格的に始まるまでに、警察が黒人を不当な理由で射殺するという事件がアメリカ国内で相次いだ。そこで、ピールは敢えて本作をハッピーエンドにするという決断を下した。2017年4月4日、本作の公式TwitterはDVDに当初予定のエンディングを収録して発売すると発表した。
長らくコメディアンとして活躍してきたジョーダン・ピールにとって、本作は監督デビュー作であると共に初めて製作に携わったホラー作品であった。長らく「ホラー映画に取り組んでみたい」と公言してきたピールではあったが、監督デビュー作がコメディ作品ではなかったことは少なからぬ驚きを与えた。このことに関して、ピールは「ホラーとコメディは、多様な要素が絡み合いながら展開しているという点で似ている」「コメディアンとしての経験は、ホラー映画を監督するための訓練にもなっていたんだ」と説明している。

資料

原題:Get Out
コピー:何かがおかしい
監督:ジョーダン・ピール
脚本:ジョーダン・ピール
原作:-
制作:ジェイソン・ブラム、ショーン・マッキトリック、エドワード・H・ハム・Jr.、ジョーダン・ピール
製作総指揮:レイモンド・マンスフィールド、クーパー・サミュエルソン、ショーン・レディック、ジャネット・ボルトゥルノ
音楽:マイケル・エイブルス
主題歌:-
撮影:トビー・オリヴァー
編集:グレゴリー・プロトキン

クリス・ワシントン : 写真家の黒人青年 / ダニエル・カルーヤ(三宅健太)
ローズ・アーミテージ : 大学生。クリスの恋人の白人女性 / アリソン・ウィリアムズ(小松由佳)
ミッシー・アーミテージ : ローズの母親。催眠術を使用する心理療法家 / キャサリン・キーナー(藤生聖子)
ディーン・アーミテージ : ローズの父親。脳神経外科医 / ブラッドリー・ウィットフォード(二又一成)
ジェレミー・アーミテージ : ローズの弟。医学生 / ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(佐藤せつじ)
ロッド・ウィリアムス : クリスの親友。黒人系。TSA(運輸保安庁)に勤務している / リルレル・ハウリー(英語版)(間宮康弘)
アンドリュー・ローガン・キング : アーミテージ家のパーティに招かれた客。黒人系 / キース・スタンフィールド
ジョージナ : アーミテージ家の使用人。黒人系 / ベティ・ガブリエル(英語版)
ウォルター : アーミテージ家の庭の管理人。黒人系 / マーカス・ヘンダーソン(英語版)
ジム・ハドソン : 盲目の画商。クリスの写真も審査しているという / スティーヴン・ルート(大塚芳忠)

配給:東宝東和
公開:2017年10月27日
上映時間:103分
製作国:アメリカ合衆国
言語:英語

制作費:$4,500,000

「ゲット・アウト」予告編 – YouTube
 


 

本編を観るには・・・


ゲット・アウト
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( オムニセブン )

参考・引用

ゲット・アウト – Wikipedia
冒頭から不穏だ… 映画『ゲット・アウト』冒頭映像 – YouTube
鑑賞後は解説必須!!ネタバレあり。映画「ゲット・アウト」 | 映画の為ならば。。。
第16回 映画評論 ゲットアウト Get Out 10点! | 中の上の林くん
ゲット・アウト(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて
映画三昧 #1967 ⭐︎⭐️☆ ゲット・アウト(17) | juntana325 趣味三昧
ゲット・アウト/GET OUT – 我想一個人映画美的女人blog
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『ゲット・アウト』どのような差別が描かれたのか?(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

更新履歴

初出)2018年09月25日、シネマドローム