家ごと旅ができたら便利そう。カールじいさんの空飛ぶ家の感想です。

 

作品紹介

妻との思い出が詰まった家。10297個もの風船を結びつけ、カールじいさんはパラダイスフォールを目指す。
ピクサー・アニメーション・スタジオ製作、2009年公開。
第67回ゴールデングローブ賞アニメ映画賞・作曲賞受賞。
 


 

感想

2010年元旦、久し振りに映画館で映画を見ました。
♪\(>∀<)/♪

1日は映画の日、元旦でも1000円で見れるとは知りませんでした。TOHOシネマズ六本木ヒルズへ。《 アバター 》を見るつもりだったのですが、あまりの人気。もう1番前の席しか残っていませんでした。チケット売りのお兄さんは、3D映画なので正直お勧め出来ない席との事。第2候補の《 カールじいさんと空飛ぶ家 》となりました。Kさん曰く。

《 カールおじさんも面白いらしいよ 》

カールおじさん?う~ん、それだと
《 それにつけても、おやつはカール~♪ 》

になっちゃうなぁ。
( ̄▽ ̄;)

《 カールじいさんと空飛ぶ家 》 はディズニー・ピクサー制作の3D映画。物語はこんな感じ。

~映画館で一度観ただけなので、多少の思い違いはご容赦を~

妻エリーが亡くなり、一軒家にはカールじいさんひとり。まわりには高層ビルが建ちはじめ、取り残された一軒家もポツン。毎日のように立ち退きを迫られます。工事の人との揉め事で、杖を振り上げてしまったカールじいさんは裁判所へ。凶暴な人間と判断されてしまいます。

施設行きの日、連れにきた男たちの目の前。煙突から立ち上る色とりどりの風船。見る見るうちに家より大きくなって、やがて一軒家ごと大空へと運びます。そう、カールじいさんは旅立ったのです。亡き妻、エリーと共に夢見たパラダイスの滝へと・・・。

まず冒頭の回想シーン。映画館のニュース映像、冒険家チャールズ・マンツが怪鳥を発見したとの知らせ。胸躍らせ見詰めるカールは、まだほんの子供、眼鏡も丸いです。

ニュースの続きは学者の偽物だという判定。怒ったマンツは再び秘境へと旅立ちます。同じく怒りながら帰るカール。途中、廃屋(はいおく)に人影が。恐る恐る中に入ると、そこには快活な女の子が一人冒険ごっこを。無口なカールを気に入ったその子は、彼に秘密の計画を打ち明けます。

《 大きくなったらここに行きたい、私をパラダイスの滝につれてって! 》

ここからは台詞なし。大人になったカールとエリー、二人の結婚から永久(とわ)の別れまでが振り返られます。わずか数分のシーン、でもこれが秀逸。まわりの女性はみなハンカチを目に添えてました。このシーンだけでもこの映画を見る価値があります。

大空へと飛び立ったカールじいさんは一路、パラダイスの滝(南アメリカ)へ。針路を取るのは家の窓から両脇に延びたカーテンの帆。お気に入りの背もたれ椅子に落ち着くと、ドアをノックする音が。

 … ノック!?

この空の上で一体誰が?ドアを開けると、そこにはラッセル少年の姿が。丸々と太ったボーイスカウト。最後に残った《お年寄りに親切したバッチ》を手に入れ、上級隊員になりたいラッセル。適当に追っ払っていたのに、また来てたのか。壁に張り付き震えてるラッセルを、カールじいさんは渋々、家の中へと入れてやります。

偏屈老人とあどけない子供。ドラマではよくある組み合わせ。子供が女の子でなく男の子、それも太って貫禄あるというのは新しい。世代ギャップ、老獪と柔順の掛け合いで笑わせ、お互いの寂しい境遇でホロリ。この辺りは映画の常套、でもあっさりです。ベタベタしない匙加減がCGアニメにあってます。

順調な空の旅、しかし前方に大きな黒い雲が。カールじいさんの空飛ぶ家は嵐の真っ只中へ。家の中も大荒れ。風船も割れ始め、ついに墜落か?気が付くと地上に投げ出された二人。そして遠くに見えるのは何とパラダイスの滝。

《 え~っ!もう着いちゃったの~!? 》

とは、観ていた私の心の声。これからどうするのかと思ったら、ちゃんと残り時間分、冒険が残っていました。空中散歩ではなく、空飛ぶ家を風船のように引っ張って行くという格好ですが。やっぱり、風船の飛行シーンは制作費がかさむのかなぁ。
(^_^;

ここからはネタバレ。これから映画館へ行く人、DVDで見る予定の人はジャンプして下さい。ネタバレ部分は青文字になってます。


ジャングルを行くカールじいさんとラッセル。その前に現れたのが巨大な鳥ケヴィン。羽根が七色、ダチョウみたいだけど嘴が長い。これがシギという鳥か?

実はこいつが冒険家チャールズ・マンツが追い求めていた怪物、そしてマンツが未だに追い求めているとは読めませんでした。普通なら大きな鳥が出てきた時点で気が付くのに。あんな前フリがあったのだから。久し振りの映画館で油断してしまったか?

ラッセルがカールじいさんの家に初めて訪ねた時、追っ払うのに使った手が

《 (庭を荒らす)シギを捕まえろ 》

というもの。追っ払うために適当に言ったことが本当になった、そういう伏線だと思ったのが敗因。もっと前にもっと重要な伏線が張られていたのでした。シギはファイク?伏線は1つに1つ。そう考えてる観客を逆手に取った演出か・・・。勝手に《 二重伏線 》と命名しました。面白い!いつか使ってみよう。
( ・・・って一体いつ? f^_^;)

マンツの手下の犬。しゃべる犬たちが笑わせてくれます。しゃべれる理由は首輪の装置。バウリンガルの進化系?人間のようにしゃべり、怒り、笑い、泣き、あざけるけど、根はやっぱり犬。リスと聞くとウズウズ、投げられた球はご主人様に届けなきゃ。

ほかの人間が出てくると秘境の雰囲気が失われ、しゃべらない動物だと話のテンポを悪くするし、動きの意味も曖昧に。上手い手を考えたものです。声質の変わるダイヤルにも笑いました。

映画を観てて思いました。これはみんなの《 夢 》の物語なんだ。カールじいさんはパラダイスの滝へ行ってサリーに報告すること、ラッセルはバッチを全部集めてパパに褒めてもらうこと、マンツは怪鳥を生け捕りし名声を取り戻すこと。

必死に夢にしがみついている老人二人とは対照的に、大切なことのためには夢を捨てるラッセル。やがてカールじいさんもラッセルに動かされ、行動の原動力は夢以外のものに。

諦めなければ必ず夢は叶う。でもそれよりももっと大切なものがある。冒険より生活、夢よりも日常。チルチルミチルということか。

いやまてよ、カールおじさんはエリーの思い出すら捨てました。重たい思い出の品を全部捨て、家を軽くして、再び大空へ。何かに捕われ過ぎては道を誤るということか。

カールじいさんが何度かお気に入りの椅子に座るシーンがあります。その時の《 どっこらしょ 》という感じ。《 ああ~一息着いた 》という気持ち。それが英語でも直接伝わってきました。この声はトム・ハンクス?と思ったら別の人、でも上手い。今はもう利用していない武蔵野線ですが、週の後半のラッシュ時、やっと座れた時を思い出しました。

3D具合にはちょっとがっかり。あまり飛び出て来なかったのは残念です。以前、ソニプラで美ら海の3Dを見た時はウツボが目の前まで出てきて、かなり驚きましたが、そういうことはありませんでした。CGだからかなぁ、トイストーリー3の予告も同じようだったけど。

普段かけてる眼鏡の上に3D眼鏡をかけるのも辛かった。それに3D眼鏡をかけると、せっかくのカラフルな映像が暗くなってしまってます。外すと輪郭が二重線に見えて酔いそうだし。錯覚を利用しているせいか目に負担も。映画館を出た後、しばらく現実世界が2Dに見えて驚きました。観るのであれば2D版がお勧めです。

ワンシーン

《 Up(英語タイトル) 》の《 Married Life 》と呼ばれてるこのシーン、私の言葉で再現してみると。
※()内は私の感想です。
カメラのフラッシュ。若々しい青年カールの横にはエリー。花嫁衣装にブーケ。エリーはカールに飛び付き熱烈なキス。大笑い、大はしゃぎで祝福するエリーの一族。ボーッと見つめるカールの親戚。
(二人の性格の違いは血筋だったんだ(^。^))
子供の頃ふたりが出会った廃屋。お姫様抱っこで入っていく二人。
(あぁ、ここに住むのか)
エリーはウエディングドレスのまま、大工仕事。裾をたくしあげ、角材にノコギリを入れてます。その後ろで棚を直すカール。大きな窓の下のお気に入りの椅子を置く二人。
(エリーの椅子をカールが、カールの椅子をエリーが押している)
郵便受けに二人の名前を書くエリー。カールが手をどけると真っ白な郵便受けにカールの手形が。笑いながらエリーも自分の手形をつける。画面一杯にノートの切れ端。カラフルに塗られた家がかかれてます。それをどけると、そのままに塗られた二人の家が。
(そうか、中古の一軒屋を改装するという手もあるか)

小高い丘を駆け上がるエリー。その後をふらふら着いて行くカール。シートの上で寝転ぶ二人。空を見上げてエリーが一言。
《 あの雲、亀みたいだわ 》
動物園で。風船を売るカール。オウムを手に南アフリカ館から出てくるエリー。彼女は冒険家の衣装。カールがエリーに声をかけると、風船売りの車が空中に。あわてて押さえるカール。それをみて笑うエリー。窓辺に座り本を読む二人。カールの手を握るエリー。再び小高い丘の上。エリーが指差す先に象のような雲。カールは赤ん坊の形の雲を見つける。
《 ほんどだわ、でもほら! 》
エリーがぱっと手を広げると、空にある雲が全部、赤ちゃんの形に。驚くカール。梯子に登りコウノトリの絵を描くエリー。その横で赤ん坊用の別途を組み立てるカール。
(生まれるのか?)
画面が横にスライド、暗い病院の診察室。辛い顔をしているドクター。手で顔を被い泣くエリー、椅子に手をやるカール。
(突然の暗転 (TへT))

音楽がピアノのソロに変わる。窓の外に目をやるカール。背を向けて座っているエリー。カメラがエリーの横顔を写す。静かに目をつぶっているエリー。そっと傍らに跪くカール。古い冒険の書をエリーに手渡す。
(子供の頃、エリーがカールに見せたやつかな?)
壁に絵を描くエリー。パラダイスの滝、その上には立つ自分達の家が。カールが大きなガラス瓶をテーブルの上に。パラダイスの滝と書いてある。小銭を入れるカール。うなずくエリー。昼、夜、朝。次々に小銭を入れていく二人。ビンの中の半分ほど小銭で埋まる。
ドライブの途中、車がパンク。しょうがないとエリー。仕方なくビンを割るカール。病院のベットに横たわるカール。右足が天井からつられている。また割られるビン。嵐で家に木が倒れてくる。またまた割られるビン。

カールのネクタイを締めてあげるエリー。緑のネクタイ、赤いネクタイ、ベージュのネクタイ。カールの胸元のアップが続く。カメラがひくと少し年取った二人の姿。ネクタイを締めて、ネクタイを締めて、ネクタイを締めて・・・。ふたたびカメラがひくとすっかり年取ったふたりの姿が。
動物園。子供たちに風船を売るカール。冒険家の衣装でそれを写真に撮るエリー。風船売りの車が浮くのを軽く肘で止めるカール。夜の家でワルツを踊る年老いたカールとエリー。朝、窓を拭くカール。外からはエリーが拭いている。目が合い、微笑み合う二人。
(年をとっても仲良しだ)
リビングを掃除する二人。子供の頃の写真を手にとるカール。その後ろを見上げるとパラダイスの滝の絵が。腰が曲がったまま掃除をするエリーを見るカール。意を決するカール。

航空会社でチケットを受け取るカール。チケットはバスケットの中に。思い出の丘を登るカール。エリーはなかなか上れない。倒れそうになるエリーを見て、慌てて駆け寄るカール。病室で冒険の書を読むエリー。メッセージをぶら下げた風船が飛んでくる。メッセージは読まず、カールに手を伸ばすエリー。冒険の書をカールに渡す。手を握り、エリーの額にキスをするカール。まっくらな教会。花輪の横で一人座っているカール。ひとり立ち上がり、暗い家へと戻るカール。
((T。T) また泣けてきた。)

薀蓄

《 シギを捕まえてこい(snipe hunt) 》は慣用句。先輩が後輩に、無いものを探させる悪ふざけらしい。
パラダイスの滝のモデルはエンジェルフォール。
《リスだ!squirrels》。外国では公園にリスがたくさんいるらしい。黒くてネズミみたいだとか。ライオネス・コーヒー・キャンディのCMに出てくるような可愛いリスではないらしい。公園を散歩してると犬がリスを気にして言うことを聞かないので、飼い主は困ることが多い。
実際に家一軒を持ち上げるには風船が何個必要か?PIXERは専門家に計算を依頼したそうです。その結果は20,662,000個。映画ではその1000分の1が描かれているそうです。
公開になる前、10才の末期癌の少女がこの映画を観たいとせがんだ。ピクサーは極秘の完成フィルムをコピーし病室へ。すでに画面を観ることができないほど衰弱していた少女は、耳元で説明する母の声で映画を鑑賞、その7時間後に亡くなった。
第82回アカデミー賞にて、アニメーション映画としては1991年の『美女と野獣』以来史上2度目となる、作品賞候補入りを果たした。
カールの家が旅立つ際、『トイ・ストーリー』に出てきたピザプラネットのデリバリートラックが通常より角ばったデザインで登場する。
犬語翻訳機の元ネタはタカラトミーの玩具バウリンガル。
カールの家の前には「SUSHI PRONTO」というお店がある。
カールが出廷した法廷の部屋番号がA113。
カールの家が雲の中で雷雨に襲われるシーンは、天空の城ラピュタを参考にしている。
カールが南米行きの航空チケットを購入した受付にあるパンフレットに、ピクサーの短編『ニック・ナック』に登場する水着の女性がいる。
カールが町を旅立つ際、窓の外を通る子供部屋に、次回作『トイ・ストーリー3』の「ロッツォ・ハグベア」がカメオ出演している。
「パラダイスの滝」のシーンはギアナ高地に実在する滝(エンジェル・フォール)を取材したものだが、1925年の無声映画「ロスト・ワールド」へのオマージュが込められている。
カールの容姿は、名優スペンサー・トレイシーの晩年をモチーフにしている。
監督が仕事のプレッシャーから逃げ出したいと思ってて『飛んで消えたい!』っていう願望からアイディアが浮かんできたらしい。
カールの家を飛ばすためには、実際には12,658,392個の風船が必要になる。(映画の中では20,622個)

資料

原題:Up
コピー:愛する妻が死にました― だから私は旅に出ます。(チラシ・テレビスポット)
コピー:いくつになっても、旅に出る理由がある。(予告編・前売チケット)
コピー:じいさんだって、飛べるんです。 (特報・パネル)
コピー:人生、このままじゃ、終われない。 (新聞広告)
コピー:人生って、最高の冒険だ。(DVD・ブルーレイ・microSD)
コピー:僕のともだち、78歳。(DVD・ブルーレイ・microSD)
監督:ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン
脚本:ボブ・ピーターソン、ロニー・デル・カルメン
原作:ー
制作:ジョナス・リベラ
製作総指揮:アンドリュー・スタントン、ジョン・ラセター
音楽:マイケル・ジアッキーノ
主題歌:ー
撮影:ー
編集:ケヴィン・ノルティング

カール・フレドリクセン / エドワード・アズナー(飯塚昭三)
チャールズ・F・マンツ / クリストファー・プラマー(大木民夫)
ラッセル / ジョーダン・ナガイ(立川大樹)
ダグ / ボブ・ピーターソン(松本保典)
ベータ / デルロイ・リンドー(檀臣幸)
ガンマ / ジェローム・ランフト(高木渉)
アルファ / ボブ・ピーターソン(大塚芳忠)
トム / ジョン・ラッツェンバーガー(楠見尚己)
アナウンサー / デヴィッド・ケイ(垂木勉)
エリー(子供時代)/ エリザベス・ドクター(松元環季)
カール(子供時代)/ ジェレミー・レアリー(吉永拓斗)

配給:2009年12月5日
公開:2009年12月5日
上映時間:96分
製作国:アメリカ合衆国
言語:英語

制作費:$175,000,000

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参考・引用

カールじいさんの空飛ぶ家 – Wikipedia
今夜放送、『カールじいさんの空飛ぶ家』をもっと楽しめる雑学 – NAVER まとめ
もしマイケル・ベイが『カールじいさんの空飛ぶ家』を監督したら | コタク・ジャパン
風船で空を飛ぶ「リアル・カールじいさん」現る : ギズモード・ジャパン
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■ Disney•Pixar’s Dug the Talking Dog In Real Life | Oh My Disney IRL ■

あの「カールじいさんの空飛ぶ家」がリアルに行われていた!! – NAVER まとめ


■ Disney’s “Up” house created in real life and flown for National Geographic show ■

更新履歴

3稿)2017年06月15日、シネマドローム
2稿)2015年07月25日、シネマドローム
初出)2010年01月17日、シネマパレード~隼