◆ 父の入院
● 今回は極めて個人的な記録なので、他の人は読んでも面白くないと思います・・・。
● 父親が入院することになりました。ちょっと心配。入院当日と翌日(手術)は会社を休むことに。その間は父の代わりをしなければ。料理はだいたいわかっているけど、後は何があったっけ。洗濯、風呂の掃除、家の戸締まり、・・・他は母に任せられるかな。
父を病院に送って、病室の人に挨拶をして、看護婦さん達にお煎餅でも渡して。そうか、あと医者(せんせい)と話をしなければ。これが一番憂鬱だなぁ。
● 一日目、入院
入院当日だというのに父が一番早起き。私が居間に降りて来た時には、荷物をすべてまとめ、ちょこんとテレビの前に座っていました。何を持って行くかは意見の分かれたところ。入院の書類、保険証、印鑑、着替えは必須。ラジオ、スリッパもわかるとして、洗面器はいらないような・・・。煩(うるさ)がられるのを知っているのか、母の見送りは台所まで。いま一番自分をもどかしく思っているのは母かもしれない。父を助手席に乗せ、S病院へ。
回覧板が来たら奥の家へ。ゴミ出しは月曜と木曜、ネットのかけ方もわかった。もうこれで全部僕ができるから、しっかり治してねと言うと、父は黙ってうなずきました。病院に着いたら主治医の先生に寸志を、看護婦さんにはお菓子を渡すよう念を押す父。やっぱり、そんなことするのかな。入院中は暇だろうと買ってあげたのは真田太平記(池上正太郎)の1~3巻。珍しく楽しみにしているようだ。
受付を済ませると、すぐ病室へ。父はパンフレットをみて、病室を決めていたようだけど、既に割り当てられているようだ。確かに来てから部屋を指定するのは、ホテルでもむずかしいかも。
左右にベットが3つづつ、6人部屋。真ん中のベットは三方がカーテンで覆われてます。窮屈だから一週間以上はいられないと言い出す父。枕も低いらしい。
担当の看護婦さんは利発そう。父の手にフルネームの書かれたiDバンドをつけてます。患者を取り間違えないようにと始めたらしい。そういえばどこかでそんな事件があったっけ。
しばらくして主治医から手術の説明が。症状、処置法、そしてリスク。これがインフォームド・コンセントというものか。よくある手術なので大丈夫らしいが、万が一ということもあるらしい。父はざらざら血液の流れをよくするため、血が固まりにくくなる薬を飲んでいるとか。今週はもうその薬を飲んでいませんねと、何回か確認されました。全身麻酔をするのか。
説明が終わる。。。、このタイミイングしかない。寸志を差し出すと先生は、そういうものはもらえなくなりましたとキッパリ。先生の目をみて、引っ込めました。
テレビを見るのにイヤフォンが必要なことが判明。近くの100円ショップへ。途中母に電話、寸志の話をすると、そう言われても置いてくるのが常識だという。そうなのか、本当はどうなんだ? 先生によるのかな。
入れ替わりで一人退院したらしい。ベットを片付けている若い看護婦さん。みなさんで食べて下さいとお菓子の包みを差し出すと大慌てでナースセンターへ。婦長さんがでてきて、もらえないと言います。持って帰っても食べないと困った顔をすると受け取ってくれました。看護婦さんも、どっちでもいいのかも。
ひと段落したので帰るというと、夕方にまた来るかと聞く父。えっ? 今日はもう来ないけどと答える私。・・・やっぱり心細いのかな。
● 二日目、手術
父の枕を家から抱えて病院へ。父はすっかり病院になじんだよう、テレビも何時間か見た様子。術後にベットが変わるとのこと。昨日空いた角のベットへ移動するそうだ。着替えなどを鞄にしまって、移動の準備をしていたら、利発なナースの登場。ベット毎運ぶのでその必要はないらしい。慌ててすべて元に戻すことに。
血圧と簡単な問診。終わるともうすることがない。昨晩、うまく炊けなかったご飯の話をする。目盛りに通りに炊いたの、ごわごわ。間髪を入れず、それは水を入れてすぐに炊いたからだと答える父。1時間は浸しておかなければならないのだとか。そうだったのか。そういえばそう言われていたような。
持って来たはずの歯ブラシが見つからないという。また100均へ。戻ってきて、またやることがない。でも父には少し緊張が見て取れる。
午後2時、やっと手術開始。点滴を押しながら手術室へ歩く父。そして頑丈な扉の中に。親族の方はこのフロアにいて下さい。まずは麻酔から、それが効いてからオペなので始まるまで少し時間がかかるらしい。扉の上、消えたままの《 手術中 》の文字を見つめる。
心配はしないことにして、持って来たザウルスで料理のレポートを書き始める。1つ、2つ、3つ。しまった、もう充電池の残りがない。一旦休憩。下に降りて缶コーヒーを購入。戻ってきてもまだ消えている《 手術中 》の文字。もう一時間は経過、一体中では何が・・・。
ランプが消えているのを見て、もう終わりましたか? と利発ナース。いや、まだ始まってないようだと答えると、おかしいと言って、脇の扉のから中へ。やがて《 手術中 》が点灯しました。
・・・手動だったのか。
それからまた、30分が経過。扉が開き、看護婦さんが終わりましたと顔を出しました。脇の扉から先生が私を呼び、手術は予定通りで、うまくいったとの報告。私に部位の一部を見せる。二人とも笑顔でないのが気になる。
ベットが運ばれてきて手術室の中へ。一度静けさを取り戻した廊下。しかし扉が開くと、急に慌ただしくなる。医者と看護婦。みなに囲まれたベット、その間に見る父の姿。声をかけてもわからない。眉間に皺をよせ、酸素マスクの下に歪んだ口が覗く。苦しいんだ。その姿に少し涙がでました。
そのまま病室へ。うわ言で何か言う父、わからないで戸惑っていると水はまだ飲めないので我慢してと利発ナース。うなずく父。なんで通じるんだろう。麻酔が残っているので3時間はこのまま、何もできない。しばらく、横に付き添ってから、家に戻りました。
・・・本当に大丈夫なんだろうか。
● 三日目、面会
仕事を早々に切り上げ、病院へ。受付を済ませ面会のバッジを取り、病室へ。カーテンを開ける手。中にはふとんも掛けず、ベットで横になり、日本シリーズを見てる父がいました。うって変わって元気な父。傷口を見せられました。
(すごい、傷は10cmはある)
そして、今度は何もいらないから、早く家に帰って母をみてろという。・・・ふぅ、なんかもう邪魔みたいだ。面会は5分で終了。まぁ、これだけ元気なら大丈夫…か。
(^.^)
※ この記事は 2006年10月30日 に 東京つまみ食い に アップしたものです。
あれから10年。この頃はまだ、父はしっかりしていたんだなぁ。
◆ 更新記録
(2016年07月10日 ~ 2016年07月16日)
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◆ タイトルの言葉
● テレビの悪足掻きに「 花のピュンピュン丸 」の記事を書こうとして、いろいろ下調べをしていた時のこと。ケメ子のモデルが、三遊亭歌奴の落語、「 給料日 」に出てくる「 君塚君子 」と知りました。どんな話なんだろう?
ザ・ダースの「 ケメ子の歌 」のモデルも、この人らしい。漫画やフォークソングにまでに影響を与えた歌奴(現:圓歌)って凄い。
● さてタイトルは、歌奴の超代表作「 授業中 」で取り上げられていたドイツの詩人、カール・ブッセの「 山のあなた 」から。全文はこうなります。
~「 山のあなた 」カール・ブッセ / 上田敏 訳 ~
Uber den Bergen,
weit zu wandern, sagen die Leute,
wohnt das Gluck.
Ach, und ich ging,
im Schwarme der andern,
kam mit verweinten Augen zuruck.
Uber den Bergen,
weit, weit druben, sagen die Leute
wohnt das Gluck.
山のあなたの 空遠く
「幸い」住むと 人のいう
噫(ああ)われひとと 尋(と)めゆきて
涙さしぐみ かえりきぬ
山のあなたに なお遠く
「幸い」住むと 人のいう
●「幸い」はなくてもいいかな、私はただただ、どこか遠くへ行って見たい。
(´・ω・`)ショボーン