◆ 「としは」「まだ若いのよ」「いくつなんだい」「まだ若いのよ」
● 賞を取って話題のNHK番組 《 星新一ショートショート 》。タイトルは《 ボッコちゃん 》の回、ボッコちゃんとバーの客との会話です。
● 星新一さんのショートショートに夢中になったのは、中学生の頃でした。定規で書いたような等太との線、イラストに引かれて手に取った新潮文庫。ぱらぱらとページを捲(めく)ると、どれも数ページの短編。内容も宇宙人や悪魔、未来の世界が登場、小説というよりマンガに近い感じです。一冊買って読んで見ると・・・。
登場人物はアルファベット一文字(例えばN氏)で呼ばれ、文学的な表現は皆無、漢字すらJISの第一水準。設定は無駄なく整理、単純化され、センテンスの順序が話への興味と読者のオチ予想をコントロール。プチSFのストーリーと絡み合い、気が付くと迷い込んでいる透明で無機質な世界。
あぁまるでプラスチックのようだ~♪
そう、ちょっと人間の素直な感情を拒んでいるような世界です。でも私が夢中になるのは《 ゆきとどいた生活 》という短編を読んでから。それはこんな話です。
● 80階建てアパートの72階。宇宙旅行専門の保険会社に務めるテール氏。一日の始まりは心地よい音楽から。やがてそれは起床時間の知らせに変り、そして出勤の支度を促すメッセージに。
巨大なマジックハンドが現れ、優しくテール氏をすくい上ると、ゆっくりと洗面所へ移動。ベットは壁に格納されます。全自動のシャワー。ドライヤーが伸びてきて髪を乾かし、着替えも自動、ネクタイまで締められて朝食。
リビングに移動したテール氏に差し出されたのは、焼きたてのパンにソーセージ、スクランブルエッグ、そして搾りたてのジュース。本当に行き届いた生活。
出社の時間になって、カプセルに乗せられるテール氏。カプセルは細いチューブの中を軽やかに進み、瞬く間に会社へ。同僚たちが彼を迎えます。
《 おはよう、テールくん 》
《 テールくん、おはよう。おや、顔色が悪いようだけど大丈夫かい。テールくん、テールくん! たいへんだぁ~、医者だ! 医者だ!! 》
《 先生、どうでしょう具合は? 》
《 もう手遅れです。心臓発作を起こしたのです 》
《 いつでしょうか? 》
《 そうですね、死後約10時間ですから、昨晩というところでしょうなぁ 》
(原作のようにはとても書けないので、七人風に多々アレンジしてます)
● 見事、一本背負いで1本! これほど《 やられた! 》と思うオチは、その後の私の読書・映画・テレビ人生の中でも数えるほどしかありません。
みんながぼんやりと思い描いていた夢の未来世界。それを簡単な言葉で表現、あったらいいなぁと思わせておいて、最後数行でその世界の皮肉る。このままテクノロジーが進めば、人間なんていらないんじゃないか。どんどん楽になると、生きていようと死んでいようと同じになる。少し哲学めいた余韻も心地よかったのを覚えています。
● シニカルなオチ、自業自得なオチ、結局駄目だったオチ、巡りオチ、ほのぼのとしたオチ。次はどんな終わり方で、驚かせてくれるのか…。本屋にいくと新しい巻がでてないか、新潮文庫の棚をチェックするのが習慣になりました。(その頃はまだ単行本の存在は知らなかったので)
なので新しい巻がでるまでの期間がだんだん長くなり、ついには訃報に接することになった時には、とても悲しかったことを覚えています。本当に星新一さんの代わりはいないのにと。
…。
さて、この話にもオチをつけなくちゃ。どうしようかな。
● ボッコちゃんは、星新一を一躍有名にしたショートショート。タイトルにした、ボッコちゃんとお客の会話はとても懐かしいものでした。
中学時代に読んだ時はバーもクラブもそれ自体が空想の場所。ボッコちゃんのオオム返しに毛が生えたような会話に、それでも会話が成り立つことに驚き、この程度なら20世紀中には実現するに違いないと、理系な感想を持ちました。
でも今の感想は…。本当のバーやクラブの女性も、してる会話はボッコちゃんと変わりがないなぁ~。
(^_^;
( この話は2008年08月25日に、東京つまみ食い1にアップしたものです ♪ )
◆ 更新記録 2015年12月20日 ~ 2016年1月26日
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[ 街角アイキャッチ ]
● 2009年01月撮影分
● 2008年12月撮影分
● 2008年11月撮影分
[ 幸せを呼ぶ料理 ]
● 2009年02月撮影分
● 2009年01月撮影分
● 2008年12月撮影分
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◆ タイトルの言葉
● 出張で移動、日暮里で早めの昼食をとることに。そろそろ牛丼でも食べようか、今月はまだ食べてないから、食べてもよいでしょう。ガーデンタワーの松屋に向います。向うから歩いてきたお爺ちゃん、私より2~3歩早く店の中。券売機の前へ。フル液晶画面に変わった券売機。癖があるけどお爺ちゃん、買えるかなぁ~。そんな心配は不要、速やかに購入し席へ。ガラガラの店内、でもカウンター席ではなく、テーブル席へ。カウンターの高い椅子は難しいのかな。頭と体、どちらが先に衰えた方がいいのだろう? やっぱり体だな。
● お金を払うタイミング、それさえを気をつければ大丈夫。プレアム牛丼を購入、カウンターで汁だくに変えてもらいます。値段が上がって、名前が変わって、松屋の牛丼は美味しくなったと思うんだけど、そう思うのは私だけ? 黒胡椒の出が悪いのは、どこの店でもいっしょですが。
紅しょうがをドンブリに入れてたら、カウンターに人の気配。
「 牛丼、大盛り 」の声。
「 ・・・食券を 」と店員さん、その声を遮るように
「 ネギ抜きで 」と続きます。
店員さんは厨房内の画面で注文を入力、食券をかわなくていいパスがあるのか。追加注文用かな。それに随分横暴な注文、ネギ嫌いの風上にも置けない・・・と見るとその客は関取。店内に微かに鬢付け油の匂いも。
そうか!!指が太くてボタンが押せない!? それとも食券の買い方がわからない?? まぁ関取では仕方がない、なんか力士は演技がいいしな。
()^О^()