原題 Mars Attacks!
惹句 -
監督 ティム・バートン
俳優 ジャック・ニコルソン
女優 グレン・クローズ
俳優 ピアース・ブロスナン
蘊蓄 劇中、ナタリーの飼い犬として登場するチワワは、かつてティム・バートン監督とリサ・マリーが来日した際に、歌舞伎町近辺のペットショップで購入したものである。
B級を目指したA級作品、マーズ・アタック!の感想です。
作品紹介
1996年公開のSFコメディ。突如、大群で現れた空飛ぶ円盤、乗っていたのは骸骨顔の緑色生物(火星人)。慌てふためく地球の様子をコミカルに、時に残酷に描く。
B級テイストながら出演者は超豪華。ジャック・ニコルソン、グレン・クローズ、アネット・ベニング、ピアース・ブロスナン、ダニー・デヴィート、サラ・ジェシカ・パーカー、マイケル・J・フォックス、トム・ジョーンズ、ナタリー・ポートマン、リサ・マリー、ジャック・ブラック、・・・凄い。
監督はティム・バートン。公開当時アメリカではティム・バートン史上最悪と酷評されていたが、一部でカルト的な人気を得ている。
感想
SF映画の定番、宇宙人が地球に攻めてくる話をティム・バートンが監督。豪華キャストと、丁寧なCG合成で見せてくれます。
冒頭、ケンタッキー州 。良い匂いがするけど、バーベキューでも始めたかと尋ねる村人。聞かれた村人はなんのことだかわかりません。そこへ大群で近づいてくる何か、牛だ!尋常じゃない数、そしてみな背中全体から炎をあげてます。匂いの正体はこれか・・・。
唖然とする村人、すると家の影から円盤が飛び去っていきます。この後、牛は出てきませんが、後の円盤の中の描写に登場してるとの話も。
大群で地球に向かう空飛ぶ円盤、アダムスキー型。幾何学的なフォーメーションを組んでます。数が半端じゃありません。これでもかという数。未知との遭遇が母船の大きさで驚かせたから、こちらは数で驚かせる計算か。
単純な造形ですが、よく見ると汚れや塗装のハゲまで再現されている空飛ぶ円盤。微グロ。ティム・バートンワールドにぴったりかも。
やせっぽちで緑色、髑髏にギョロリ眼(まなこ)、何を考えているかわからない火星人。ネバダ砂漠で人類とファーストコンタクト、ホワイトハウスの議会でセカンドコンタクトを取るも、その場にいたものを皆殺しにします。友好的に見せていて、一転大虐殺。意外に残酷で、笑いがひきつります。
モアイ像をピンに見立てボーリングしたり、ラシュモア山の大統領の顔を火星人の顔に変えたり。地球侵略というより、悪ふざけ。やりたい放題で、笑えます。実はバートン監督がやってみたかった事をやってる?
(^_^;)
テルミンが主旋律を奏でるテーマ音楽は超有名。この手の番組で使われることが多いけど、この映画のテーマ曲と知る人は少ないと思われます。
ジャック・ニコルソンは、アメリカ大統領、ジェームズ・デイル役と、カジノを経営する不動産王、アート・ランド役で登場。彼はこの映画にかなり乗り気で、監督にどの役をやりたいかと聞かれたとき、「全部」と答えたらしいです。他に仕事がなかったのか。
(^_^;)
演じた大統領役は思慮深そうな、優柔不断のような。でもトランプ大統領みたいな人が、リアルで登場した後に見ると、地味に見えちゃいます。
終盤で火星人大使と1対1で会談。火星人の流す涙にわかり合えたかと思うも、火星人の腕が外れ、虫のように動きだし、串刺しにされ死亡。
グレン・クローズは、ファーストレディ、マーシャ・デイル役。大統領婦人の座を得て有頂天、ホワイトハウスを私物化してます。
ファーストコンタクトの後、強硬派に。
火星人がホワイトハウスを襲撃した時、落下してきたシャンデリアの下敷きになり死亡。
アネット・ベニングは、アート・ランドの妻バーバラ・ランド役。アルコール依存症。
火星人の友好宣言に歓喜するも、その後の惨劇を見て悲観にくれる。最後まで生き残る。
ピアース・ブロスナンは、ドナルド・ケスラー教授役。楽観的な温厚派だが、セカンドコンタクトの時に、火星人に連れ去られ実験台に。首だけになる。同じく連れ去られたナタリーと恋仲になるも、宇宙船が衝突。共に墜落、死亡。
ピアース・ブロスナンは当時『ゴールデン・アイ』で5代目ジェームズ・ボンド役を襲名したばかり。
ダニー・デヴィートは、ギャンブラー役。あまり出番なし、他の出演者との会話もなし、一方的に話してる感じに違和感。 シックスセンス並みに会話がありません。まさか合成?
火星人がカジノに押し入ったとき、光線銃で焼かれ死亡。
当時まだ無名のサラ・ジェシカ・パーカーは、リポーターのナタリー・レイク役。ジェーソンの恋人。ファーストコンタクトの時、ジェーソンを殺され、ペットのチワワと共に宇宙船に連れ去られる。実験台にされ、チワワと首をすげ替えられてしまう。
(゜ロ゜;ノ)ノぎゃ~~っ、嫌だ~~。
最後ケスラー教授役と愛を打ち明け合うも、宇宙船が衝突、墜落、死亡する。
マイケル・J・フォックスは、ジェーソン・ストーン役。ナタリーの恋人だが、ファーストコンタクトの時、ナタリーを助けに行き、光線銃で丸焼きになる。ヘビーだ。
(・・;)
ロッド・スタイガーは、デッカー将軍役。強硬派。核爆弾で円盤を攻撃するも効果なし。火星人に小さくされ、踏みつぶされる。
トム・ジョーンズは、本人役で登場。最後まで生き残る。
ナタリー・ポートマンは、大統領の娘タフィ・デイル役。現実を一番冷静に判断している。最後まで生き残る。
ポートマンはこの時、まだ15歳。ポツリと言うつぶやきが笑える。「鳩に罪はなかったわね」には声を上げて笑いました。
ジム・ブラウンは、元チャンピオンボクサー、バイロン・ウィリアムス役。カジノでエジプト人のコスプレをして働き、妻と子を養っている。火星人の襲撃時、その前に立ちはだかり、身を呈して皆を救う。
最後生きていたことがわかるが、このシーンは、試写後に「後味が悪い」という理由で急遽つけ加えられたもの。
ルーカス・ハースは、リッチー・ノリス役。トレーラーハウスに住む家族からバカにされているが、火星人の弱点を見つけ、地球を救う。
リサ・マリーは、火星ガール役。髪形と歩き方が個性的。実は中に火星人が入って操縦している。ホワイトハウスに入り込み、大統領暗殺を企てるも、返り討ちに。
リサ・マリーはティム・バートンの元パートナー(籍は入れず)。
シルヴィア・シドニーは、この映画が遺作となった。リッチーの祖母役で登場。施設でレコード聞いてるとき、火星人に襲われる。しかし、逆に火星人が苦しみ始め、頭が爆発。駆け付けたリッチーが、原因が聞いていたレコード、ウェスタンソング「インディアン・ラブ・コール」のためだと突き止める。
ジャック・ブラックは、ビリー・グレン・ノリス役。トレーラーハウスに住むノリス一家の長男。ファーストコンタクトの時、焼き殺される。
火星人(声)は、フランク・ウェルカーが担当。おさるのジョージの声の人らしい。
冒頭、在りし日のツインタワーが一瞬映ります。思わず声を上げてしまいました。火星人には破壊されなかったのになぁ・・・。
終わり
蘊蓄
火星人の円盤のデザインは、『世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す』に登場する円盤を基にしている。
劇中で倒壊するジャック・ニコルソン演じるアート・ランドのホテルは、実際にラスベガスで廃業したホテルを爆破して撮影された。その話題は日本のニュースで取り上げられた。
日本と海外では評価の温度差が激しく、特に本国アメリカ合衆国では、公開当時ティム・バートン史上最悪と酷評されていた。
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』以来、監督のティム・バートンと音楽のダニー・エルフマンは仲たがいしていたが、この作品で再びコンビを復活させている。ダニー・エルフマンは、雑誌のインタビューでそれまでやった仕事の中でこの映画の音楽に一番満足していると語っている。主題歌はトム・ジョーンズの「よくあることさ」。
劇中、ナタリーの飼い犬として登場するチワワは、かつてティム・バートン監督とリサ・マリーが来日した際に、歌舞伎町近辺のペットショップで購入したものである。
分析、宇宙人は敵か見方か
宇宙人が地球に来る映画(有名どころ)を、日本公開順に、以下の3つのカテゴライズしてみました。
<定義>
【神】高度な文明の宇宙人が、地球の危機を救う、または平和な世界へ導く系。
【鬼】圧倒的な力を持つ宇宙人が、地球を侵略する系。
【友】友好的な宇宙人が、地球人と友達になる系。
<サンプリング>
1951年【神】地球の静止する日
1953年【鬼】宇宙戦争
1956年【神】宇宙人東京に現わる
1977年【友】未知との遭遇
1978年【神】スーパーマン
1982年【友】E.T.
1982年【鬼】遊星からの物体X
1996年【鬼】マーズ・アタック!
1996年【鬼】インデペンデンス・デイ
1997年【鬼】メン・イン・ブラック
2017年【神】メッセージ
<結果>
やっぱり、【鬼】が多いもよう(46%)。ドキドキするし、逆転勝利のカタルシスがあるから、映画が作りやすいからなのかもしれませんけど。
資料
原題 Mars Attacks!
英題 Mars Attacks!
惹句 -
脚本 ジョナサン・ジェムズ
原作 -
監督 ティム・バートン
制作 ティム・バートン、ラリー・J・フランコ
指揮 -
音楽 ダニー・エルフマン
主題 -
撮影 ピーター・シャシツキー
編集 クリス・レベンゾン
美術 ウィン・トーマス
視覚 インダストリアル・ライト・アンド・マジック
俳優 ジェームズ・デイル大統領 / ジャック・ニコルソン
女優 マーシャ・デイル(大統領夫人)/ グレン・クローズ
俳優 ジェリー・ロス広報官/ マーティン・ショート
俳優 デッカー将軍 / ロッド・スタイガー
俳優 ドナルド・ケスラー教授 / ピアース・ブロスナン
女優 タフィ・デイル(大統領の娘)/ ナタリー・ポートマン
女優 ナタリー・レイク(リポーター)/ サラ・ジェシカ・パーカー
俳優 ジェーソン・ストーン(キャスター)/ マイケル・J・フォックス
俳優 アート・ランド(不動産王)/ ジャック・ニコルソン
女優 バーバラ・ランド(アート・ランドの妻)/ バーバラ・ランド
俳優 バイロン・ウィリアムス(元チャンピオンボクサー)/ ジム・ブラウン
女優 ルイーズ・ウィリアムス(バイロンの妻)/ パム・グリア
俳優 ギャンブラー / ダニー・デヴィート
俳優 トム・ジョーンズ / トム・ジョーンズ
俳優 火星人大使(声)/ フランク・ウェルカー
女優 火星ガール / リサ・マリー
俳優 リッチー・ノリス / ルーカス・ハース
俳優 ビリー・グレン・ノリス(リッチーの兄)/ ジャック・ブラック
女優 リッチーの祖母 / シルヴィア・シドニー
会社 ティム・バートン・プロダクションズ
配給 ワーナー・ブラザース
公開 1997年3月20日
上映 106分
国旗 アメリカ合衆国
言語 英語
費用 $70,000,000
収入 $101,371,017
The Martians in Mars Attacks! (1996) – YouTube
(10) MARS ATTACKS! – The Martian Madame from Mars Attacks! – YouTube
本編を観るには・・・
参考・引用
マーズ・アタック! – Wikipedia
映画【マーズ・アタック!】ネタバレ感想!犬は?火星人が来た理由は?│天衣無縫に映画をつづる
映画「マーズアタック! 」ネタバレあらすじと結末・感想|起承転結でわかりやすく解説! |hmhm[ふむふむ]
『マーズ・アタック!』は本当にクソ映画なの?| ティム・バートンのルーツを考察・解説・感想 | フラスコ飯店
フランク・ウェルカー – Wikipedia
『マーズ・アタック!』の真剣な悪フザケ【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.52】|CINEMORE(シネモア)