★[感想]THE GUILTY / ギルティ【ネタバレ】

 感想記事の抜粋


原題 Den skyldige
惹句 事件解決のカギは電話の声だけ。88分、試されるのはあなたの<想像力>
監督 グスタフ・モーラー
俳優 ヤコブ・セーダーグレン
女優 イェシカ・ディナウエ
俳優 ヨハン・オルセン
俳優 オマール・シャガウィー
デンマーク発のワンシチュエーション映画、THE GUILTY/ギルティの感想です

 

 

紹介

2018年公開のデンマーク映画。舞台は緊急通報指令室だけという、ワンシチュエーション、スリラー。オペレーターのアスガーは、電話からの声と音だけを頼りに誘拐事件を解決する。
サンダンス映画祭観客賞受賞。ジェイク・ギレンホール主演でリメイクが決定。
 

 

 

感想

映画は安全な旅行のようなもの。地球上あちこちの国へ、時には時間を越えて訪れることができます。なんて便利なバーチャル空間。家で観ればコロナ知らずだし。

そんな中。今回観たのはデンマーク映画。聞いたことはあるけど、デンマークってどんな国? どんな街並み? どんな料理? ストーリー以外も楽しめそうです。

・・・しかし。映画を観終わっても、まったくデンマークがわかりませんでした。何しろこの映画、主人公アスガーが、緊急通報指令室から一歩も出ることがありません。水を飲むのと、隣の部屋に行くだけ、後はインカムで話してます。カメラも同じく、建家から出ることがありませんでした。
(・。・; デンマークに名所はないのか?

コペンハーゲン。緊急通報指令室のオペレーター、アスガー。かかってくる電話に応答、システムを使って、情報を収集、対応します。
(かかってきた電話番号から住所や氏名、ケータイの場合は最寄りの基地局、おおよその居場所がわかる仕組み)

でもかかって来る電話に、まともなものが少ない緊急通報室(オランダでは112番らしい)。麻薬で体調が悪くなった男、風俗街で強盗にあった男、なにやら喧嘩している男、交通事故だ、・・・。肝心の現在地さえ告げない相手が多く、それに何だか喧嘩腰。面倒だなぁ、イライラし始めるアスガー。でもこれも明日まで。明日裁判所に出廷すれば、もとの刑事の仕事に戻れるんだ。と、アスガーは自分自身に言い聞かせます。他のオペレーターともあまり関わらないようにしてるよう。

そこにかかってきた女性からのヘルプ。アスガーの顔色が変わります。
電話の主はイーベン、声が尋常でない。会話もおかしい。ひょっとして、これは誘拐されてる? 現在進行系?

イーベンから、なんとか情報を聞き出そうとするアスガー。でも、車は誘拐犯が運転、通話にも気付いてる様子。子供と話してることにしてとアスガー。イーベンを宥(なだ)め、犯人に気付かれいよう、車種や車の色を聞き出します。なかなか巧み。刑事だったからか、特にマニュアルとか確認することなく、迷いもなく、目まぐるしく変わる状況に対応するアスガー。
 
犯人を気にして、一度電話を切るイーベン。次の電話でも同じ自分につながるから安心してとアスガー、すかさずイーベンの自宅に電話。そこに幼い姉、弟がいることがわかります。母親を連れ去ったのは、別居中の父親ミケル。アスガーはマチルデからケータイの番号を聞き出す。心細さに泣き出すマチルデ(姉)、アスガーはオリバー(弟)の元に行くように促します。

大きく動き出しす事件。今度はミケルを調べるアスガー、ミケルは過去に傷害事件を起こしてます。車のナンバーも判明。捜索の手配を掛けます。警察がイーベンの家に到着、保護されたマチルデは血まみれ。その血はオリバーのものでした。弟は腹を裂かれ、死んでいました。

・・・これからどうなるんだろ? ただリモート(堂本光一、深田恭子)でミケルを捕まえるだけでは、サンダンスで観客賞を取れないだろうしなぁ。

実は犯人(オリバー殺害)は、イーベンなんじゃ。ミケルが誘拐する理由が弱いし、いう程狂暴ではなさそう。むしろ、アスガーの方が冷たいかもしれません。それともマチルデが、悪魔にとり憑かれていて、いきなりオカルト展開に変わるのか。
 

 

<ここからはネタバレ、できれば映画を観てから読んで下さい>

オリバーを殺したのは、やはりイーベンでした。イーベンは精神を患っていて、オリバーが泣き止まないのは、お腹の中にいる蛇のせいと思い、犯行に及んだもよう。そして自分でそれとわかってない。そうと知ったミゲルは、以前治療していた病院にイーベンを連れていくところだったというオチ。

アスガーの指示通り、煉瓦でミゲルを殴り倒し、逃げたイーベンは、明るいところに出て、自分の手が血だらけなのに気付きます。自分がオリバーを殺したことを知るイーベン。自殺しようとしますが、それをアスガーが止めます。その時、自分の罪(武器を持たない若者を射殺した)を告白するのでした。

いまひとつ、しっくりしない終わり方。アスガーが自分の罪をイーベン(および周りのオペレーター)に話すくだりが特にそうです。なぜ、今ここで言う?

最後まで観ちゃうと、アンジャッシュの勘違いコントの悲劇版という感じがしました。コントの方が、勘違いが酷くなっていく分、洗練されているような気がします。

もっとも、現在、コントの方も悲劇に。いや、あそこまでいくと、一周回って喜劇なのか。佐々木希が自分の大きな勘違いに気が付いた時が、本当の悲劇だと思いますが。

 

終わり

 

デンマークについてわかったこと

デンマークの緊急通報用電話番号は112番。アスガーがマチルデに教える。電話しても、火事ですか、救急ですかと聞かれない。警察も同じ番号なのか? ここで受け付けて、振り分けるとのこと。
デンマーク人はデンマーク語を話す。母音が16ある。アルファベットの他にÆ、Ø、Å、æ、ø、åなどの文字で表記される。

蘊蓄

ジェイク・ジレンホール主演によるアメリカでのリメイクが報じられている。
TBSラジオがオーディオドラマ化した。

誘拐された女性役のイェシカ・ディナウエは、姿は映らずに声のみの出演となっている。そのため、モーラー監督はあえてディナウエの顔は見ずに、音声ファイルだけを聞く“ブラインドオーディション”を行った。

 

 

資料

原題 Den skyldige
英題 THE GUILTY
惹句 事件解決のカギは電話の声だけ。88分、試されるのはあなたの<想像力>
脚本 グスタフ・モーラー、エミール・ニゴー・アルバートセン
原作

監督 グスタフ・モーラー
制作 リーナ・フリント
指揮 ヘンリック・ゼイン
音楽 カール・コルマン、キャスパー・ヘッセラゲール
主題
撮影 ジャスパー・スパニング
編集 カーラ・ルーフ・ハインツェルマン
美術
視覚

俳優 アスガー・ホルム(緊急通報指令室のオペレーター)/ ヤコブ・セーダーグレン
女優 イーベン・オスタゴー(誘拐された女性)/ イェシカ・ディナウエ
俳優 ミケル・ベルグ(イーベンの夫)/ ヨハン・オルセン
俳優 ラシッド(アスガーの元相棒)/ オマール・シャガウィー
女優 マチルデ・オスタゴー(イーベンの娘6歳)/ カティンカ・エヴァース=ヤーンセン
俳優 ボー(アスガーの元上司)/ ヤコブ・ローマン

会社 ノルディスク・フィルム・スプリング、ニュー・デニッシュ・スクリーン
配給 ファントム・フィルム
公開 2019年2月22日
上映 85分
国旗 デンマーク
言語 デンマーク語

費用
収入 $8,170,839

 

  

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参考・引用

映画『THE GUILTY ギルティ』公式サイト|10.16(水)Blu-ray&DVD発売
THE GUILTY/ギルティ – Wikipedia
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更新履歴

初出)2020/06/25、シネマドローム
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