2003年、東京オペラシティ アートギャラリーでのビデオアート展です。

  レポート

海外にも進出し、活躍目覚しい束芋。畳の部屋、、小太りの母、疲れた父。にっぽんの普通がポップアートぽい絵で描かれています。そしてそれが動き出したときに溢れる日常生活の毒。実際はどんなもとかと東京オペラシティへ行きました。感想を一言で言えば、とても判りやすいアート。でも驚きもその毒も笑いも《 お笑いオンエアバトル 》の方が上だったかなぁ・・・。

展示は3種類。まずギャラリーまでの廊下に展示されている原画の数々。それとギャラリー内の《 にっぽんの御内 》と《 にっぽんの湯屋(男湯)》です。

《 にっぽんの御内 》。
これはちょっと説明に行数が必要です。薄暗いギャラリー内の奥に小さなスクリーンがあります。その前に畳があって、炬燵のような台の上にマウスが。そのマウスと足元のペダル型マウスの2つを使って、スクリーンの中に映っている家の中を調べていくという作品です。私達が入った時には既に誰かがマウスを操作しているところでした。
後ろに回ってみていると・・・。

操作にあわせ画面はぐるんぐるん動いています。おどろおどろしい音楽の中、進んでいくと台所がありました。冷蔵庫をクリックするとアニメーションが始まりました。
母親が取り出したのは《 高級男脳 》。それを鍋で煮始めます。ぐつぐつ鍋が煮えてくると灰汁が出てきました。でもそれはよく見ると裸の女性。母は気にも留めずオタマで取り除いていきます。とまあ、こんな感じのアニメーションが何種類も出てきます。

電子レンジの中で大声で演説している政治家。冷蔵庫の中で書類仕事をしている父親?は、母にまな板の上でで首を切られてしまいます。電話から聞こえる天気予報は《 晴れ時々高校生 》。その通り高校生が街に降ります。脱衣所で脱皮(背中のジッパーを下ろす)を繰り返す息子。などなど。
炬燵が空いたので操作してみましたが、これがなかなか難しい。それに一度見たアニメーションは、他のアニメーションを全部見終わらないと見れないようで、新しいのはほとんど探し出すことはできませんでした。これなら家のパソコン上で操作したいなぁ。

次は《 にっぽんの湯屋(男湯)》

ギャラリーは真ん中を引き戸が分けています。ガラスに《 男 》と書かれた引き戸を開けると、大きな3面のプロジェクターが。こちらは繰り返しアニメーションが流されているタイプでした。本物の洗面器がスクリーンの前に点在しています。両横には洗面器が山になっていました。何故か女性達が真ん中の壁を越えて女湯から男湯に乗り込んできたり、相撲取りがキスしあって、一方が中身を飲み込んでしまったり、・・・。最後、風呂の栓を抜いたら全てが流れ出てしまいました。
同じネタが両方に入っているのがあったのがちょっと気になりました。

27歳の女性アーティスト、束芋。イマドキの女性は本当にこんな風に今の「 にっぽん 」を見ているのだろうか?
 

  案内

注目の映像アーティスト束芋の個展
日本社会の歪みを手書きのアニメーションで表現
場所 / 東京オペラシティアートギャラリー
料金 / 900円、エイヤ=リーサ・アハティラ展の料金含む

  データ

一昨年史上最年少26歳で京都造形芸術大学の教授に
本名は田端アヤコ
田端さんちの妹なのでタバイモ、束芋は予備校時代のニックネーム
 

  リンク集(参考サイト)

現代美術作家 束芋(Tabaimo)とは – NAVER まとめ
 


[ 更新記録 ]

2稿)2018年02月24日、街角アイキャッチ
初稿)2003年03月31日、東京つまみ食い