★[感想]2001年宇宙の旅【長文】

 感想記事の抜粋


原題 2001: A Space Odyssey
惹句
原作 アーサー・C・クラーク
監督 スタンリー・キューブリック
俳優 デヴィッド・ボーマン船長 / キア・デュリア
俳優 フランク・プール / ゲイリー・ロックウッド
俳優 ヘイウッド・R・フロイド博士 / ウィリアム・シルベスター
50年前、本当に未来を描いた映画があった。2001年宇宙の旅の感想です。

 

 

紹介

原作 アーサー・C・クラーク、監督 スタンリー・キューブリック。アポロ11号が月に着陸する前、1968年4月6日にアメリカで公開されたSF映画の金字塔。
木星に向かう宇宙船ディスカバリー号。長い長い旅の途中、人工知能HAL(ハル)が宇宙船の異常を発見、ボーマン船長は調査をするが異常は見つからない。HALの異常を疑ったボーマン船長とプール隊員は、HALを停止させようとするが・・・。
ワンカット、ワンカットが素晴らしい! その後50年、人類が月に行けないように、これを超えるSF映画も撮られていません。
 

 

 

感想(1)ファーストインプレッションとオープニング(2020/06/11)

大学時代、新宿で観た記憶。もちろん、何回めかのリバイバル上映時(初演は1968年)のことです。ぴあの「もあテン」(もう一度観たい映画ベスト10)で長きに渡って1位をキープしてたこの作品、ずっと映画館にかかるのを待ってました。普及し始めたビデオで観るという方法もありましたが、これは映画館で観る映画だと思ったので。スカラ座でだったか、プラザでだったか・・・。

ファーストインプレッションは、なんて静かな映画。台詞がほとんどありません。爆発シーンも宇宙空間なので、音無しという完璧主義。環境ビデオとして部屋に流しておきたいと思いました。

他は

ヒトザルの投げた骨が宇宙船に変わるシーン。淀川さんが言ってる程スムーズでない。
確かにストローの中の液体は下がってた。(当時、この映画の唯一のミスと言われてた)
木星への旅。ボーマン船長の孤独が身にしみる。HAL9000は欲しいかも。
途中で休憩が入る(HALが口を読むシーンのあと)のに驚く。上映時間は141分。
最後は言われている通り、なにがなんだかわからないことがわかった。それにスターチャイルド、鯖の目で怖い!

くらいかな。

H瀬君は宇宙ステーション5にオリオン3型宇宙機が進入するシーンで、上部と下部に映る管制室、その中の人たちの動きがわかるのに感動してました。確かに合成に違和感がないのは凄い。

さて今回、何十年かぶりに、デジタルリマスター版を視聴。これから先は時系列に感想(昔の感想、今の感想)を書いていこうと思います。

冒頭、真っ暗なスクリーン。そこに雑音?と思うほど小さな音で、現代音楽が。それが3分程度続きます。

なんか壊れたようだ。映画館の人を呼びに行かなきゃいけないと真剣に思い始めた頃、MGMのロゴがでて、あの有名なリヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」のEinleitung(導入部)、”Sonnenaufgang”(日の出)が流れはじめます。

ピアニシモ。コントラバス、コントラファゴット、オルガンのペダルによる低音のC。スクリーンには薄っすらと手前下に地球、その奥に月、その先に太陽が頭を覗かせます。シンメトリックに展開する惑星。トランペットの動機、奥からのぞく太陽が眩しい! ダンドン、ダンドン、ダンドン、ダン。ティンパニーが鳴り響き、なんか、凄いのが始まった感じが。すでにキューブリックマジックか。冒頭の5分はこんな感じでした。
(^^;

 

感想(2)人類の夜明け(2020/06/14)

タイトルの後、スクリーンは再び静かに。朝焼けの台地の映像。人類の夜明け(THE DAWN OF MAN)の文字。虫が鳴いています。やがて日が沈み、朝が来て、また夜が来る。たっぷりとしたカット。長い時の流れを表しているのでしょうか?

果てしなく続く荒野。遠くに地平線が見えます。1960年代、地球上にまだこんなところがあったのか、それとも合成なのかな。動物の骨が見えます。人の骨があります。そして2匹のヒトザル、何か食べてます。

数頭のバク。餌を狙うバクに威嚇するヒトザル。ヒトザルは着ぐるみ? 皮膚を張り付けている? かなりスリムなのもいます。それにしても毛が長い。バクは本物のようです。
ヒョウに襲われるヒトザル。昼間から目が光ってるヒョウ、ヒトザルは本当に噛まれてる? キューブリックのことだからなぁ、考えられます。
(^^;

水溜まりに集まるヒトザル。お互いを毛繕いしてます。そこの別の集団が。お互い雄叫びをあげ、体を広げて威嚇。ヒトザルの演技、大変そう。50回もNGを出されたら、役者(にんげん)辞めるかも。

洞窟で眠るヒトザル。何かに怯え、聞き耳を立ててます。聞こえるのはヒョウの唸る声。

明け方、目を覚ましたヒトザルが、異常に気が付きます。バックに流れる怪しげな声楽。
なんと、ヒトザルたちの前に黒い石板(モノリス)が。大きい。騒ぎ立てるヒトザルたち。
一匹が恐る恐る手で触れました。そしてまた一匹、もう一匹。モノリスを取り囲み、手に触れます。
石板に登る太陽、その先に月が見えます。突然、ぶつりとこのカット終了。驚きます。

再び、荒野。ヒトザルの一匹が、餌を探し、動物の骨をあさってます。
ここで「ツァラトゥストラはかく語りき」。
ヒトザルは何かに気づき、骨を手に、他の骨を叩きます。骨を振り下ろすヒトザル、砕ける骨、そしてバクが倒れるカット。ヒトザルは道具(武器)を使うことを覚えました。

満足げにバクの生肉を頬張るシーンが、数カット。幼いヒトザル登場。骨を加えてます。この子は本物の猿のよう。

翌日、ヒトザルたちは、再び水溜まりに。何匹かは手に骨を持っています。殴り込みか?
迎え撃つヒトザルを骨で撲殺。水場を奪いました。

勝利の雄たけび、そして手に持っていた骨を真上に放り上げます。高く上がった骨はゆっくりと落下。それがパッと軍事衛星に変わります。超有名な早変わりシーン。

そして、青い地球が映り、バックに「美しき青きドナウ」が流れます。優雅だ。
気が付くと、もう上映開始から20分。
余計なシーンを入れない分、説得力があります。人類は武器で進化したということなのね。

 

感想(3)宇宙ステーション5(2020/06/17)

未来の地球、その周りを漂う宇宙船が1機、2機、3機、4機。そして巨大な宇宙ステーション。美しき青き地球、まだ温暖化は始まっていないもよう、涼しげです。
そして宇宙ステーション5。観覧車の輪っかを2つくっ付けたような外観。半分くらい作りかけです。ゆっくり回転。重力を作っているのね、そのくらいはわかります。

ぐ~~~~っとカメラが、宇宙ステーションに寄ります。ぶつかるぞ~~~~ぉと、大丈夫でした。映画館で観た時は本当に本物のよう、模型でこれだけ人の眼をだませるなんて凄い、CGよりリアルな気がします。なにが違うんだろ。

宇宙船に近づく、オリオン3型宇宙機(宇宙ステーションの往還に利用されるスペースプレーン、乗客定員は20名)。ワルツでも踊るようにすすすすす、優雅にステーションに近づきます。

船内ではフロイド博士が睡眠中。ペンが手から離れ、宙に浮いています。

スチュワーデスが変な帽子(シャンプーハット?)を被って登場。足元がおぼつかないのは、グリップシューズというのをはいているからと言いたげなカットあり。無重力だと歩けないなのね。宙に浮いたペンをとり、フロイト博士の胸ポケットへ。どうやって浮かしてたんだろう、ちょっとだけ違和感あり。

リオンは宇宙ステーションを捕捉、進入の準備。操縦室の操作盤。IBMの文字の下、PC98(NEC、1982年発売)のような3D画面が、船をナビゲート。操作盤にはスイッチがぎっしり。この辺が限界か。

宇宙ステーション内。円筒状のエレベータ、ソファ付き。広い! 上から下まで、ピンクの制服の女性は誰? 結構、派手です。

受付で挨拶。その後、認証ゲートへ。こんな昔からセキュリティは考えられていたのか。受付嬢は17ゲートを選択、博士にアナウンス。その後、言語(英語)のボタンを押します。・・・そこは人任せなのか。
(^^;

モニターの案内嬢。目的地・国籍・名前・洗礼名を告げるフロイド博士。声紋認識をパスします。

宇宙ステーションの通路、白い壁、白い床、白い天井。そこに真っ赤な椅子が点在。一度見たら忘れられないくらい派手。どこか時計仕掛けのオレンジ風です。

途中、電話ボックス(椅子付き)に入るフロイド博士。自宅にテレビ電話。あっ、カードを挿した。すぐ、幼い娘が出ます。誕生日に何がほしい? 猿の赤ちゃん!? 人類の夜明けとつなげる気なのか?

初めて見たときは、やがて電話はこうなるんだろうなぁと思いつつ、最後に表示される1ドル70セントに笑いました。こんな未来になってもお金はなくならないのね。

現実世界では、テレホンカード(1982年発売)が出回り、ポケベルも普及(1990年代前半)、ケータイ(1990年代後半)が出てきて、写メ(2000年発売)が流行り、スマホ(2007年発売)に統一され、新型コロナでテレビ会議も一般化(2020年)しそう。通信の分野は遅ればせながら映画の未来を上回ってるようで良かった、良かった。

でも、後でディスカバリー号で使われるタブレット端末とか、当たり前に出てきてて、この映画の先見性に驚かされます。ただ、クラークもキューブリックも実際に建設されたに国際宇宙ステーション(ISS、2011年)が、大型バス1台程度の閉鎖空間になるとは、予想できなかったようです。

ソ連の科学者たちと話をするフロイド博士。月で何か起きている、何か知らないかと聞かれます。答えられないと言う博士。映画公開当時は冷戦真っ只中。でもこのシーンに険悪な雰囲気なし。2001年には雪溶けているという読み? 現実の2001年では、すでにベルリンの壁は崩壊しています。

 

感想(4)月へ(2020/06/23)

宇宙ステーション5から月面基地、クラビウスへ。フロイド博士を運ぶアリエス1B型月シャトル。まん丸の機体、色は白。宇宙の乗り物はみな白なのか。

バックに流れるのは、再び美しき青きドナウ。しばし、セリフはありません。

流れるように飛ぶシャトル。月の存在感に圧倒されます。本当に宇宙で撮っても、こうはいかないかも。美しい。

シャトル内、食事の時間? トレイを運ぶ女性クルー。あの帽子は標準なのか。船内も白がベース、膨らんでる黄色い壁が鮮やか。

分厚いトレイに、ストローが伸びたパッケージが8つ。コーヒー、オレンジ、とうもろこし、えんどう豆、ニンジン、チーズ、・・・ヒラメ? 配って歩く女性クルー。あ、柔道を見てる人がいる!

ここで超有名なあのシーン。女性クルーが奥の扉から現れ、円形の廊下の中へ。向きを変え、廊下を歩くと、クルーは30度傾き、60度傾き、90度傾き!? 最後は180度、逆さまになって別の扉から出ていきます。
まだ、CGなどない時代。回転するセットを作っての撮影だったとか。どんだけ費用がかかっているんだ。でも、この映像を観て、あっと言った人の数を考えると安いものかもしれません。

でもキューブリックに言いたい、2020年になっても、木星探索など夢のまた夢。それに未来はそんなにお金がないんだよ。
( ̄▽ ̄;) ははは。

食事中のフロイド博士。ここも別な意味で有名なシーン。あちこちのチューブから食事をとるフロイド博士。口を離すと吸った液体がパッケージに戻ります。

重力のない場所(この後、トレイが宙に浮くシーンあり)だから、ストローの中の液体は下に落ちないはず。完璧な映画の唯一のミスと言われてます。

しかし改めて調べてみると、いやいや表面張力はあるんだから、下がるだろうたいう話もあり。どちらが本当になのでしょう。前澤元ZOZO社長とか、スペースXで試してくれないかなあ。

他に、フロイド博士が無重力トイレの使い方を、真剣に読んでるシーンあり。数少ない笑えるシーンです。

月面基地へ。今(2020年6月)観ても、見劣りすることなし。科学による夢の未来を映像化しています。

ゆっくりゆっくり降下するアリエス。着陸用の脚が四本(ショックアブソーバ)伸び始めます。
クラビウス月面基地はそれに同期、ヒトデの口のように大きくを開きます。
サンダーバードどころじゃないなぁ、素晴らしい出来。科学の勝利、巨大ロボットでも出てきそうな勢いです。

キューブリックは撮影後、使った模型をほとんど破棄してしまったそう。後から真似されたくなかったからという事ですが、なんてもったいないことを。
しかし、アリエス1B型月シャトルは現存、オークションで、約4100万円で落札されたということ。さもありなん。

月面基地での評議会。メンバーを撮影するカメラマン、カメラはあまり進歩していないもよう。フロイド博士は、ジョーク交じりのスピーチ。でも、月で何があったのか、肝心のことは言いません。焦らすなぁ。

月面を移動するロケット・バス。月なので重力があるよう。途端に不気味な音楽、モノリスが出るのね。

船の中でランチタイム。よく食べるシーンが出て来る映画だ。何が食べたい? ハム。え~と、ハムハムハムハム。ここだけは、字幕なしでも意味がわかりました。
(^^;

月面に大きな工事現場。何かを掘り起こしたもよう。動きやすそうなスリムな宇宙服。坂を下りると、そこにモノリス。400年前に埋められたらしいって、ヒトザルと同じころだ。

「 イイィィィイイイイイィィィイイイイ ♪ 」

って、ひときわ気持ち悪い声楽。フロイド博士たちは、モノリスの前で記念写真を撮ろうとします。

突然、今度は

「 ピィィィーーーーーーーーーーーーーー 」

という電子音。そして、このシーンもブツリと突然終わります。一体なんなんだ。
|)゚0゚(| ホェー!!

 
 

感想(5)ディスカバリー号(2020/06/30)

ここまでで約1時間経過。場面が切り替わり、18か月後。ディスカバリー号が木星探索へ向かいます。

カメラの左横を追い抜いて行くディスカバリー号。まだ続く、まだ続く、なっ、なっ、な、な、長い! 1977年公開の最初のスターウォーズの冒頭、レイア姫を追うスター・デストロイヤーを思い起こさせます。あちらはカメラの上をスター・デストロイヤーが進むカット、より大きさに驚く演出になってます。このディスカバリー号のカットを応用したのかな。

ディスカバリー号の形状にも驚き。こんな形の宇宙船、他では見たことがありません。先頭は球形の指令モジュール(直径10~12m)。話はほとんどこの中で進みます。そのあとにコンテナ(燃料が入っている?)が11個続き、最後に原子力エンジンモジュールが。細い串に頭でっかちの飴が刺さっている感じ。真ん中辺りにあるコンテナには、パラボナアンテナが配置されています。こんな船どうやって打ち上げたんだろう。打ち上げ直後爆発しそうな名前だし。

ただただ、真っ直ぐに進むディスカバリー号。バックに流れる音楽はガイーヌのアダージョ。だんだん感覚が麻痺する感じ、その後の船内シーンに合ってます。

指令モジュールの中、人工重力居住区。巨大なタイヤの内側にでもいる感じ。でも船内の色はやはり白。広く見えるからなのかな?

ジョギングをするフランク・プール副長。彼をいろいろな角度から、たっぷり見せられます。あまり嬉しくないですが。
(^^;
下から顎を映すカットは、床も天井もなく連続してる床を見せたいからか。おかげで船内の様子があらかたわかります。

人工重力居住区は自転しており、地球の1/6の重力が発生している設定。通路に沿って人工冬眠している他のクルーが見えます。

ペイスト状の食事をトレイに。テーブルにはタブレット端末が。ipad(2010年発売)にそっくり。40年も前の映画なのに・・・って、この形がいいのは、前々からわかってたけど、やっと技術が追い付いて最近具現化出来たというだけか。
よく見ると、タブレット画面の下にボタンが10個並んでます。タッチパネルではないのか。BBCニュースではなく、検索画面が出てたら凄いかも。

ニュースでは1億2,900万キロはなれたディスカバリー号の特集。船員二人のインタビューが紹介されます。「通信に要した7分間の感覚はテープ編集でカット」という説明がリアルです。

自分たちのインタビュー、ディスカバリー号の仕組みを説明する自分たち。それを冷めた目で見るボーマン船長とフランク副長。この導入もうまいです。説明的なセリフは説明で、なりほど、巧みです。そしてレポーターの問いに、初めて声を出すHAL9000、出たぁ~。

ちょっと舌っ足らず、オジサン声のHAL9000。今流行りのAIでもこんな流暢には話せません。HALに身の回りの世話をお願いしたいものです。

電動ベット?(ソファ?)でくつろぐフランク。HALが声をかけます。「ご両親からの通信です」。ベットをモニターに近づけるように指示するフランク。ベットがモニターに接近します。

再生されるビデオメッセージ。他愛のない話。それを冷めた目で見るフランク。最初に見た時は、この無表情が一番印象的でした。なんというか、表情がすでに平成。日本は遅れているんだと、どんなテクノロジーを見せられるより、そう感じました。最後に両親はハッピーバースデーを合唱、ビデオは終わります。発音がネイティブだなぁ。HALがフランクに声をかけます。「誕生日おめでとう、フランク」「ありがとう、HAL」とフランク。

ちゃんと内容を理解してるんだ、HALは。初めて見た時は笑いました。2度目に見た時は怖くなりました。今回は「富岳」でも無理だなと思いました。

チェスでHALに負けるフランク。船内のスケッチするボーマン、それを見たいというをHAL。そして、HALはこんなことを言い出します。「今回の航海に疑問はないのか? 私が心配しているだけならいいんだけど」。そして次は、AE-45ユニット(パラボラアンテナ)が72時間以内に故障すると診断します。・・・はじまった、はじまった。意外に早い。

 

感想(6)HAL9000(2020/07/07)

HALからの指示を受け、AE-45ユニットの調査するボーマン。管制センターに連絡、ユニットを回収、手元で調べることに。
ボーマン(赤い宇宙服)はスペースポッドで移動、パラボラアンテナからユニットを回収します。その様子をディスカバリー号からモニターするプール。

このシーンもじっくり時間をかけ、丁寧に撮られてます。宇宙遊泳すら、珍しかった1960年代。リアルタイムで見た人は別だけど、今観るとちょっと間延びした感じを受けるかも。 この映画は全体的にそうだけど、なぜここだけそう感じるんろう? 初めて緊迫したシーンになったからか。

回収したユニットを調べてみても、問題なし。これは困ったことになったと、ボーマンとプール。HALを問いただすと、こんなはずはない(It’s puzzling)。私は一度も間違えたことがないのにと、ユニットを戻して、故障させ、原因を究明しましょうと提案します。

コンピュータなんて、突然訳のわからない動きをして、驚かされるもの。でもほとんどは仕様の漏れとか、プログラミングミス、劣化によるハードウェアの故障。メインフレームが自ら悩んでくれるなんて、ある意味羨ましい。まぁ、たぶんこれはHALの芝居だったのですが。

一方、管制センターからはHALが故障予測を過った可能性があるとの報告が。地球にあるもう一台のHALが、そう結論付けたといいます。困惑するボーマンとプール。すかさず、HALが話しかけてきます。「本気で心配してませんよね」ボーマンが「なぜ2台のHALで答えが違うのか」問うと、すかさずHALが言います。

「原因は明らかです。人間のミスしかあり得ません。過去の例が示すようにミスを犯すのは人間です」

無口なAIより、説得力あるなぁ。結局そうだったし(2010年で判明)

ちょっとこっちに来て。プールを呼び、スペースポッドCの中に入るボーマン。HALにドアを締めさせます。これでHALに自分たちの声は聞こえない。1、2つHALに指示を出すボーマン。反応しないHAL、それを確かめ、本題に入ります。

「なぁ、フランク、なんかHALおかしくないか? 」
「いや、デイブ、実は僕もそう思っていたんだ。」

そうか、やっぱり。と言う話に。一度ユニットを戻し、故障しなかったら、HALを切り離そうと言うことに。そうしよう、そうしよう。でも一般の自動制御システムはこのそうね。

メインコンピューターを切り離すなんて、大胆。私なんかカーナビがなければ、旅行にすらいけないのに。
(+_+)

その前にログを外部メディアに保存しておかなくていいのかなぁ。

「でも、HAL9000はどうなるだろう、いままで電源を切ったことがない」

心配するボーマン。ポットの外からHALは二人の口元をじっと見ていて、読唇術で会話の内容を把握します。映画館では、ここで休憩(INTERMISSION)となります。

HALのビジュアルは、ここまで火災報知器のような、丸くて赤いランプ。中にカメラがある程度です。究極の無表情、その目がじっとふたりの唇を読んでいる。怖いです。

 

感想(7)HAL9000(2020/07/13)

ボーマンとプールは行動を開始。プールがユニットを戻すことに。スペースポットで宇宙空間へ出るプール、ユニットを持って宇宙遊泳。彼の呼吸音だけが聞こえます。その時、背後に忍び寄る影が。ポットがプールを軌道の外へと押し出します。HALの仕業。チューブが切れ、息ができないフランク・プール。ジタバタもがきますが、拠り所なし。やがて動かなくなります。明確な殺意。

古き良き時代、アシモフのロボットの三原則というのがありました。第一原則は「ロボットは人間に危害を加えてはならない」。しかし、コンピュータのことを知れば知るほど、それがただの人間の希望、祈りに過ぎないものとわかってきます。プログラムは基本、ストアドプロシジャー。人が人を殺すようなシステムを作れば殺すし、殺さないように作れば、殺さないし。ヒトザルが手にした骨と同じ。それに、殺さないように作ったつもりでも、想定外の状況に、バグが出てくるかもしれないし。

その様子を船内からモニターしていたボーマン、別のスペースポットでプールの救出に向かいます。マニュアル起動かな? (この間、HALは他のクルーの睡眠装置を操作、全員死亡させます)
なんとかプールを回収するも、HALが帰還を拒否。ディスカバリー号に戻れないボーマン。HALは本気、でもボーマンも本気。ハッチを爆破して非常エアロックに突入します。

宇宙空間には空気がないので音がしません。この爆破シーンは、それを表すものになってます。(船内に入った辺りから空気の噴射音がする)
無重力もどうやって再現したのでしょう? ボーマンが爆破の勢いで上下左右の壁にぶつかったりします。多少のぎこちなさはありますが。

船に戻ったボーマン、HALを切り離すために、メモリー(論理記憶中枢)室に向かいます。アッシュ(エイリアンに出てくるアンドロイド)のように、手足が有るわけではないHAL9000。ボーマンの説得に懸命。しかし、ボーマンは聞く耳を持ちません。

何百とあるクリスタルの板のようなもの(論理記憶端末)、それを数枚取り出すと、徐々に理性を失うHAL。やがて、自分の生い立ちを話すまでロールバック。初めにデイジー・ベルを習ったというHAL、聴いてみたいというボーマン。HALが歌い始めます。HAL、実は弱い。

このシーンが怖いような、悲しいような、笑っちゃうような、その場にずっといたいような。自分のパソコンがあんな風にシャットダウンしたら、気持ち悪いだろうなぁ。

何かを習う機能、それがあれば、よりコンピュータが便利になる。そう思ってました。そこにAI登場、ディープラーニングと言う考えに驚きました。

ちょうど、ブログ用に文章を文節毎に区切るスクリプトを探してた頃。ワードのマクロにあり、それがAI技術を使ってると言うので、使ってみました。・・・なるほど、ちゃんと文節毎に分かれる。

ワードのエンジンでもAI出来るんだ。ならばとExcel用に移植しようかとソースを見て、びっくり。まったく何をしてるのかわかりません!これは人間が作ったんだよね? 扱うデータが大量になって、if文のお化けになっただけじゃないんだ。恐るべしAIとAIを考えた人。

でも、AIはHALのように「感情や意識を持ってるように見える」と言うことはないもよう。目指す先が違うんだな。HALの方がいいな。まあ、感情や意志のあるなしって、ある程度複雑で、人がその行動を慮(おもんぱか)れるかどうかってことのようですが。

本題戻って・・・。ここでメモリー室のモニターが切り替わります。本部からの極秘指令の説明、木星に到着したあと、流れる予定のものだったよう。映画は終盤に突入します。
 

  

感想(8)スターチャイルド(2020/07/20)

映画も終盤。ここからはもう台詞もありません。生き残ったボーマンひとりを乗せ、ディスカバリー号は未知の空間に突入します。CGのように鮮やかな光の壁、その間を進むディスカバリー号。これはワームホール!? 木星行きはどうなったんだ?

長く続くこのシーン。これはキューブリックに無茶振りされたダグラス・トランブル(後に未知との遭遇やブレードランナーの特撮)が、めまいのオープニングをヒントに作り上げたものらしい。公開当時は斬新だったろうなあ。今見るとちょっと長くて飽きちゃうけど。

そして、再び場面は切り替わり、フランス風の部屋。ぽつりとひとりボーマンがいます。宇宙服のボーマンから、バスローブ姿、初老のボーマンへ。最後にベットに横たわり、静かに死をむかえるボーマン。そしてスターチャイルドが生まれます。意味がわからないことで有名なこのラスト、再びツァラトストラが流れ、映画は終了します。・・・長かった。実際は2時間20分程です。

このラストのわからなさ。これがこの映画が長く人の心を捕らえて離さない理由のひとつであることは確か。
でもクラークはこのシーンのために、わかりやすいナレーションを考えていたそう、でもキューブリックはすべて削除してしまったらしい。つまり、わざと分かりにくくしたと言うわけ。訳のわからない映画は多々ありますが、人を惹き付ける訳のわからない映画は少ない。狙ってやってるんだから凄いです。

キューブリック自身がラストをどのように考えていたか、それがわかる動画がネット上にありました。

1980年代の人気深夜番組『11PM』のために撮影されたもので、キューブリックに電話インタビューしてるのは矢追純一。企画自体がボツになり、インタビューもお蔵入りになってたのですが、youtubeにアップされたとのこと。これです。
 

あれは、ボーマン船長が神のような無形の純粋なエネルギーをもった知的生命体に取り込まれた、というアイディアからきています。その知的生命体はボーマン船長を人間動物園のようなものに入れて観察していた、そして船長の全人生があの部屋を通過し、彼は時間を超越した存在になったのです。
あの部屋はフランスの建物を不正確に再現しています。それは知的生命体の考える、人間にとっての良い環境が作られているからです。人間が動物園を設計する時に、人間が考える自然環境を再現しようとするのと同じです。
そしてボーマン船長の命が尽きた時、彼は何かしらの超越した存在に変化して地球に戻るのです。地球に戻った後のことは想像するしかありません。

 
なるほど。聞いてみると、1960~70年代のSFにありそうなオチ。そういうことだったのか。確かこの設定がナレーションで流れると、わかりやすいかも。でも、感動は映画館の中だけに留まったかもしれません。それにしても、こんな動画よく残っていたなぁ。おかげで私もようやく、2001年宇宙の旅から、卒業できそうです。

終わり

 

蘊蓄

「Dr.StrangeLove」(邦題・博士の異常な愛情)で高評価を得たキューブリックは「宇宙人東京に現わる」(1956年)に触発され、科学ノンフィクションを読み漁り、さらに意欲的な”語り草になるような良質の空想科学映画作品”の構想を練っていた。アーサー・C・クラークと互いの頭の中の知識をやり取りし、ファーストコンタクトを題材とした映画制作と小説(兼・脚本)の並行作業という形で話は決まり、クラークはホテル・チェルシー1008号室にて執筆に取りかかる。
撮影は1965年12月30日に開始し、イギリスのMGM-British Studios(ボアハムウッド)を中心拠点にして進められた。翌1966年5月までに俳優の演技シーンを撮り終えたが、SFXシーンの完成までさらに1年半以上を費やした。製作費は予定の600万ドルを大きく超過し1050万ドルに達した。
映画は70mmシネラマ規格で制作された。キューブリックは映像表現にシネラマスクリーンでの上映効果を最大限に狙っている。視覚効果では「Dr~」でB-52の特撮を担当したウォーリー・ビーバーズのほか、ダグラス・トランブル、コン・ペダースン、トム・ハワードなど少人数しかクレジットされていないが、実際には巨大なプロジェクトであり、視覚効果デザインの上で科学考証に多くの科学者、研究者が参加している。
クラークはすでに、宇宙人と人類のファーストコンタクトを描いた小説『前哨』を1948年に発表(ハヤカワ文庫の同名短編集などに収録)の他「地球への遠征」等の他4篇の短編小説を下敷きにしてプロットを組み上げて執筆した。後にクラークが発表した『失われた宇宙の旅2001』によると、キューブリックとクラークがアイデアを出し合い、先ずはクラークが「小説」としてアイデアをまとめあげ、その後キューブリックが脚本を執筆している。
当初キューブリックは美術担当として漫画家の手塚治虫の協力を仰いだが、当時の手塚は連載漫画の他に、連続テレビアニメの制作や原稿を多数抱え、日本国外での映画制作に携わることは物理的に不可能であったため、オファーを断った。「200名もの人間を食わせなければならないので」云々と云う主旨の返信を送ると、キューブリックは「家族が200人もいるのか?!」と驚嘆したという。
宇宙空間では大気が存在せず、遠くの物体も鮮明に見えることから、カメラのレンズを極限まで絞り込み、それによって不足した光量を補うために1フレームに4秒以上の超低速度撮影が使用されている。
作中、宇宙船のコンソール等の各所にワイヤーフレームによる3次元コンピュータグラフィックス風の映像が埋め込まれているが、それらは全て実物のコンピュータグラフィックスではなく、手作業などで描かれたものである。
キューブリックは飛行機恐怖症のため猿人達のシーンをアフリカでは撮影できず、撮影班をアフリカに送って大面積のスチル写真を撮影し、スタジオでフロント・プロジェクションを使った合成を行っている。
画像合成の簡略化を図ったため、どの宇宙船も宇宙に浮かぶ地球や月や木星を画面内で滅多に横切らない。また、本作に登場する地球の姿は実際より青白くなっているが、これは撮影当時、地球の姿を正確に知ることができなかったからである。
本作で使用された宇宙船の模型は他作品への流用を防ぐため、キューブリックの指示で図面も含めて廃棄処分されたことから資料が少なく、舞台となるディスカバリー号でも撮影に使われた模型の全長が57フィートと54フィートの説があり、左側面は資料が存在しないなど不明な点が多い。
(1)メインタイトル、(2)「人類の夜明け」、(3)ラストと合計3回使われている『ツァラトゥストラはかく語りき』の演奏はヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のデッカ・レコード録音版。
キューブリックは当初、自分の監督作品『スパルタカス』の音楽を手がけたアレックス・ノースに作曲を依頼し、前半部分まで完成したスコアの録音まで完了していた(この最中にノースは過労で倒れてしまった)。しかしそれ以降は一切の連絡もないままノースの音楽を没にし、リヒャルト・シュトラウスなどの音楽に差し替えてしまう。ノースがそのことを知ったのは、試写会の会場であった。ノースはこれに激怒し、訴訟寸前にまで至った。
当初予定の1966年から1年4か月遅れ、アポロ11号が月面着陸を果たす前年の1968年に公開された。
日本の文部科学省が「特選」に指定している、唯一のSF映画としても知られている。
1991年にはアメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録された。

1962年、ベル研究所にてIBM製のメインフレーム IBM 704 を使った音声合成が行われた時、音声出力装置にヴォコーダーを使い、「デイジー・ベル」を歌わせた。このデモをアーサー・C・クラークが実際に聴き、「2001年宇宙の旅」のクライマックスシーンを着想したとされる。これよりスタンリー・キューブリックとアイデアを出しあい、HAL 9000 の原型が生まれた。実際の映画の制作は、3年後の1965年からである。
HALはIBMを1文字ずつ前にずらして命名されたとする説(H←I、A←B、L←M/IBMより一歩先行くコンピュータを意味させている)が根強いが、監督のスタンリー・キューブリックや、共同脚本のアーサー・C・クラークはそれを否定している。
小説『2010年宇宙の旅』では、チャンドラー博士自らIBM説を否定するくだりがある。しかし、アーサー・C・クラークは後年になってからIBM社がこの説を迷惑がっているどころか半ば自慢しているらしいと聞き及び、著書「3001年終局への旅」のあとがきで「今後はこの説の間違いを正す試みを放棄する」と述べている。

映画『2001年宇宙の旅』冒頭で第1部「導入部」が使われていることは非常によく知られている。冒頭シーンを模倣し日食などの天体現象を図案化したデザインがレコード~CDジャケットで多用されるほどこの映画が楽曲に与えた影響は強い。使用された演奏は、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるデッカ盤。ウィーン・フィルとの共演を望みデッカの録音技術に惚れ込んでいたというカラヤンがそれまで専属だったEMIと並行する形で契約した最初の録音である(ウィーン・フィルがデッカ専属だったため。また同時期にドイツ・グラモフォンとの録音も本格的に開始している)。
映画で使用された冒頭部最後のパイプオルガンの和音は録音会場となったウィーンのゾフィエンザールにオルガンが無かったため、郊外の小さな教会で収録しミキシングされた。

1964年05月17日ニューヨーク。クラークとキューブリックがアパートで映画の構想を練っていた時、未確認飛行物体を目撃している。
「光る物体が空高く移動し、突然止まった。明らかに1分以上動かずに浮かんでいた」
当時キューブリック36歳、クラーク47歳。二人は子供のように興奮し、アメリカ空軍にまで報告した。
クラークはキューブリックのことを、恐るべき子供と思っていた。キューブリックはシリアスな目を持つ、やっかいな男と。
地球外生命の姿はいかなるものか? 思い悩むキューブリックにクラークは「本当に進歩した地球外生命は、完全に無機質かもしれない」といった。
それだ!とキューブリックは直感。ふたりは固定概念を覆す。地球外生命を出すのではなく、その存在を感じさせるものを出せばいいのだと。こうして誕生したのが謎の物体モノリス。宇宙人が作った遺物という設定。
映画の脚本にはナレーションが書かれていた。クラークは大変な労力をかけ、ナレーションを何ページも書いた。しかし、キューブリックはそれを全く使わなかった。クラークは説明なしでは物語がわからないと危惧するクラーク。キューブリックは意味不明でいいといった。説明することは馬鹿げた単純さだと。未知の世界との遭遇が台無しになると。
(公開時)だれも見たことのない映画だったので、観客は困惑していました。途中で映画館から出ていく客もいました。父は凄く不満で、その数をカウントしていましたよ。
二三日後、ラジオのDJが、この映画見なきゃ駄目だ、すごいぜと言い始めたのです。すると映画館の前に十代、二十代の若い男性が長い列を作るようになり、一気に殺到しました。若者たちの支持を得たんです。

(カタリーナ・キューブリック)

キューブリックは極度に質の高いものを、常に要求してきたんだ。全て完璧でなくてはならず、一切のミスは許されなかった。だから我々スタッフの中では、キューブリックは人をひどく怒らせ、落胆させる男だと悪評が立っていたね。

(ダグラス・トランブル)

スタッフを苦しめたのはキューブリックが求める未来の世界。当然、誰も見たことがなく、イメージもなかった。しかも監督からの具体的な指示はなく、質問しても「できるかどうか、分からないものが欲しいんだ」と衝撃的な言葉が返ってくる。
キューブリックは「私には簡潔な言葉で話せ」と言い出した。「ペンキがほしい」みたいに3つの単語だけで話せと。それだけしか聞きたくない、時間がないから早く本題をいえ。数日しか続かなかったが、気が狂いそうになったよ。

(ダグラス・トランブル)

父(トニー・マスターズ)はキューブリックと気はあったが、とにかくストレスが溜まる仕事だったようだ。真夜中の2時にキューブリックから突然電話があり、あれこれいわれ、うぉ~とね。

(ドミニク・マスターズ)

トニー・マスターズ(美術)を苦しめた監督からのオーダーはモノリス。モノリスの初期のデザインはピラミット型だった。そして透明にしたいからアクリルでつくろうとキューブリックは言う。マスターズがアクリル業者に相談すると、ピラミット型は不可能だが、タバコの箱のような形なら可能との答え。監督に相談すると、その形にしようと了承された。数か月後、完成したモノリスをみて、キューブリックは言った。
「なんてことだ!ただの透明な板にしか見えない、片付けろ!」
落ち込んだマスターズは、しかし、起死回生のアイデアを出す。
「ならいっそ黒い板にしよう、それなら正体がわからない」
マスターズは完璧になるまでモノリスを作り、その枚数は14枚にものぼった。
映画公開1年後、人類は初めてが月面に到着した。家族と共にその様子を見ていたキューブリックは、地球の映像を見た時、その表情が一変
「なんてことだ 地球は緑や青、ふわふわした雲で覆われているが「2001年宇宙の旅」の地球は、色が薄すぎる」
と怒り出した。

(アナザーストーリー “2001年宇宙の旅” 未来への扉は開かれた!、2020年05月12日放送)

(クラヴィウス基地は)月のクラヴィウス・クレーターあるアメリカの月面基地。かなり大規模な基地で、民間人のコミュニティまで存在している。その月面の生活も描写する予定だったが、試写のあと、最終的にはカットしてしまった。そのカットされたシークエンスにはキューブリックの長女と次女がスケッチをする子供役で出演していた。

当初はクルー全員が無事に木星圏にたどり着き、ビック・ブラザー(巨大なモノリス)の詳細な調査が行われる予定でした。その後、スペース・ポッドに乗り単独でビックブラザーの調査に向かったボーマンが変化したモノリスに飲み込まれる、という流れになっています。
最終的にこの案はボツになり、ボーマンだけが生き残る事になりました。その理由は明確ではありませんが、木星探査のプロセスを映像化するには予算が足りない、または当時のSFX技術で映像化するにはハードルが高すぎる(実際木星を映像化するだけでも悪戦苦闘していました)など理由はいくらでもありそうです。

 

資料

原題 2001: A Space Odyssey
英題 2001: A Space Odyssey
惹句

脚本 スタンリー・キューブリック、アーサー・C・クラーク
原作 アーサー・C・クラーク

監督 スタンリー・キューブリック
制作 スタンリー・キューブリック
指揮
音楽
主題『ツァラトゥストラはかく語りき』ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(デッカ・レコード録音版)
撮影 ジェフリー・アンスワース、ジョン・オルコット
編集 レイ・ラヴジョイ
美術 トニー・マスターズ、ハリー・ラング、アーネスト・アーチャー
特殊 スタンリー・キューブリック
SFX ウォーリー・ビーバーズ、ダグラス・トランブル、コン・ペダースン、トム・ハワード

俳優 デヴィッド・ボーマン船長 / キア・デュリア
俳優 フランク・プール / ゲイリー・ロックウッド
俳優 ヘイウッド・R・フロイド博士 / ウィリアム・シルベスター
俳優 HAL 9000(声)/ ダグラス・レイン

会社
配給 メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
公開 1968年4月11日
上映 141 分
国旗 イギリス、アメリカ合衆国
言語 英語

費用 $10,500,000
収入 $190,000,000

 

 

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関連 ~ 2001年宇宙の旅、解説本

 

 

参考・引用

2001年宇宙の旅 – Wikipedia
HAL 9000 – Wikipedia
『2001年宇宙の旅』キューブリックが徹底研究した作品と、集められたスペシャリストたち |CINEMORE(シネモア)
【ネタバレ解説】SF映画『2001年宇宙の旅』が描いた人類進化論とモノリスの意味を徹底考察 | FILMAGA(フィルマガ)
もう難解なんて言わせない!?『2001年宇宙の旅』 | 映画 | BANGER!!!
2001年宇宙の旅 | 好きな映画だけのブログ
2001年宇宙の旅 | 今日もこむらがえり – 本と映画とお楽しみの記録 –
R.シュトラウス ツァラトゥストラはかく語りき
「2001年宇宙の旅」のミス、再び: 5001:a cinema odyssey
「2001年宇宙の旅」はこう撮っていた メイキング写真集 | ハフポスト
思い出がいっぱいの映画です ~「2001年宇宙の旅」の話題の広場 – 新・午前十時の映画祭
「2001年宇宙の旅」の真相
【場所・地名】クラヴィウス基地(Clavius Base) : KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック
【ブログ記事】不法投棄された『2001年宇宙の旅』で使用された宇宙ステーションの模型 : KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック
2001:a space odyssey ディスカバリー号
クラビウス基地へ_2001年宇宙の旅 | SUDAREの部屋
映画『2001年宇宙の旅』は実は「食べ物」の話? | ギズモード・ジャパン
SF映画の中の食べ物 – FoodWatchJapan
再びあの椅子について。 | SUDAREの部屋
■2001年宇宙の旅、ディスカバリー号の構造: 万象酔歩
『2001年宇宙の旅』に見るミッドセンチュリー・モダン | 人生を豊かにする東京ウェブマガジン Curiosity
デヴィッド(デイブ)・ボーマン船長(キア・デュリア) – 「2001年宇宙の旅」 | 映画スクエア
フランク・プール(ゲイリー・ロックウッド) – 「2001年宇宙の旅」 | 映画スクエア
キューブリックの『2001年宇宙の旅』のあの部屋がロサンゼルスに誕生した実験的なアートスペース「14番工場」でインスタレーションで再現! – シネフィル – 映画とカルチャーWebマガジン
【考察・検証】『2001年宇宙の旅』の「スターゲート・シークエンス」を解説する : KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック
「2001年宇宙の旅」でスタンリー・キューブリックが採用した特撮(SFX)の数々とは? – GIGAZINE
『めまい』 オープニング・タイトル – ニコニコ動画
「2001年宇宙の旅」の「HAL 9000」を、2019年のテクノロジーで解説しよう (1/7):デーイジー、デーイジー – @IT
【考察・検証】なぜキューブリックは『2001年宇宙の旅』のHAL反乱シークエンスを小説版と変更したか : KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック
【関連作品】キューブリックが『2001年宇宙の旅』の参考に観た日本のSF映画『宇宙人東京に現る』 : KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック

 

更新履歴

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8稿)2020/07/13、感想(7)&蘊蓄追加、シネマドローム
7稿)2020/07/07、感想(6)追加、ボーマンとプールをあちこち取り違えていたので、修正しました。、シネマドローム
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4稿)2020/06/17、感想(3)追加、シネマドローム
3稿)2020/06/14、感想(2)追加、シネマドローム
2稿)2020/06/11、感想(1)追加、シネマドローム
初出)2020/06/09、シネマドローム
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