● 黒澤明の監督デビュー作。姿三四郎の感想をどうぞ。

姿三四郎 [Blu-ray]
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作品紹介

● 黒澤明監督のデビュー作。1943年、戦時中に製作されたもの。
● 本編は再上映の際、一部がカット。そのフィルムの一部は未だに失われたまま。

感想

● 黒沢明の初監督作品。戦時中の1943年公開、当然モノクロです。明治時代、柔術と新興の柔道がせめぎ合う中、修道館・矢野正五郎の門下になった姿三四郎。その成長を描く青春物。フィルムが一部紛失してるらしく(冒頭に説明あり)、とことどころ映像の代わりに説明が入ります。
三船敏郎は出てきません。志村喬の名がタイトルバックにあったので、若い時の姿が見れると思ったら残念、既に初老の役でした。
(^_^;
それでもさすが黒沢監督。おっと思ったシーンが3つもありました。

● 一つ目は下駄のシーン。闇討ちを仕掛ける門馬三郎とその弟子たち、それを軽々と投げ飛ばす矢野正五郎。その光景を目の当たりにした三四郎は感銘、正五郎に弟子入りします。履いてた下駄を捨て、正五郎の人力車を引く三四郎。その後です。
カメラは三四郎を追わず、捨てられた下駄のアップに。夜が明けてなお通りに取り残されている下駄、雨の中に濡れる下駄、子犬に遊ばれる下駄、鉄門のてっぺんに引っ掛けられた下駄、そして下駄は川に流され、たどり着いたのは祭りで賑わう村。そこで修道館の三四郎が大暴れをしているとつながります。
この展開のスムーズさ。無駄を削ぎ落とし、それでいてわかりやすい。そしてその間の出来事を思い回らさせる。63年後の今でも新しいのが凄い。

● 次は道場を俯瞰するカメラ。神社で願をかける娘、小夜。ほのかな思いをよせる三四郎。互いに名も知らぬ二人。しかし、小夜の願いを聞いて三四郎は愕然とします。それは武術大会で、父(村井半助)が三四郎という男を倒すこと。運命のいたずらか、嘆く三四郎。しかし大会当日、三四郎は豪快に半助を投げ飛ばします。
二度、三度、四度。試合を俯瞰(ふかん)するカメラ。画面右下には、勝利しながらも、がっくりと肩を落とす三四郎。画面左上には、三四郎の方に頭を向け倒れる半助。立ち上がって成り行きを見守る観客、審判団。誰もいない畳を中心にスポットライトが当たってる。このカットが美しい。また、わかっていても見入ってしまう展開は編集の妙でしょうか。

● 最後は右京ヶ原の対決。この決着のつけ方が潔い。初め、ふたりは組み合って草むらの中。追ってくる立会人、心配そうに見つめる小夜。そのカットに競り上がるように顔を出す二人の武道家。檜垣源之助の締め付けに顔を歪める三四郎。一気に緊迫します。風、そして雲までもが演技をしています。
両者ともに譲らず。やがて三四郎の投げ技が決ります。草むらに沈む源之助。駆け寄った三四郎達に《 まだだ~まだだ~ 》と近寄ってくる源之助。しかしすぐに力尽き、頭から逆さまに坂をずり落ちていきます。ホラー映画などでよく見る、どっこいまだ生きているの元祖か・・・。すぐに力尽きるところにリアルさを感じます。

● 他に気になったのは、異様に長い間。三四郎が武闘大会で門馬三郎に投げ勝ったあと、娘が三四郎をじっと睨みつけます、このシーンが長い!どうしたんだぁ~と思うほど(約15秒)。
もう一つ、源之助が村井家に訪れるシーン。三四郎が食事を振る舞われ、お互いの健闘をたたえ合ってるところに彼が現れます。誰も何も言わず、ただお互いのアップが続くこのシーン。思わず吹き出してしまいました。
今の感覚と大きく違う。昔の人はこのぐらいの間には違和感がなかったのでしょうか。他がテンポよく進むだけに目立ちます。
また台詞が聞き取り憎いのも気になりました。音響技術のせいでしょうか、黒沢監督の映画はいつもそう感じますが、そう思っているのは私だけなんでしょうか・・・。

● いつの間にか長文になってしまいました。やはりおそるべし黒沢明。思い出すシーンに、何かしら言いたくなります。
(^^;
今度は初期の作品を順に観ていこうかな。

薀蓄

● 映画がカットされたのは電力節約のため。1作品の上映時間が80分以下に制限されから。
● ソ連崩壊後、持ち去られていたカット部分のフィルムの一部が発見された。そのフィルムを含めた準完全版のDVDあり。
● 右京ヶ原の決闘。スタッフは本当に風が鳴き、雲が荒々しく流れる天候になるまでひたすら待って撮影した。
● 当局の検閲では、検閲官の一人だった小津安二郎が「100点満点として120点」と絶賛した。

資料

● 監督 / 黒澤明
● 脚本 / 黒澤明
● 撮影 / 三村明
● 音楽 / 鈴木静一

♂ 姿三四郎 / 藤田進
♂ 矢野正五郎(柔道の達人)/ 大河内伝次郎
♀ 小夜(村井の娘)/ 轟夕起子
♂ 檜垣源之助(宿敵)/ 月形龍之介
♂ 村井半助(良侈心当流)/ 志村喬

1時間19分(原版1時間37分)
1943年、日本

【 Youtube 】姿三四郎(プレビュー)

本編を観るには・・・


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参考

姿三四郎 (1943年の映画) – Wikipedia

更新履歴

2稿)2015年11月07日、シネマドローム
初出)2006年10月16日、東京つまみ食い