★[感想]ゴジラ対ヘドラ

 感想記事の抜粋


原題 ゴジラ対へドラ
惹句 流れ星でやって来た公害怪獣ヘドラ!街を森をふみつぶし 二大怪獣が大決戦!
監督 坂野義光
俳優 矢野徹 / 山内明
俳優 矢野研 / 川瀬裕之
女優 矢野敏 / 木村俊恵
女優 富士宮ミキ / 麻里圭子
蘊蓄 大きな社会問題であった公害問題を前面に打ち出し、特に当時話題だった「四日市コンビナートの工場煤煙」、「田子の浦港ヘドロ公害」を題材に採った。
円谷英二亡き後のゴジラ、ゴジラ対ヘドラの感想です。

 

 

作品紹介

1971年(昭和46年)に公開された、ゴジラシリーズの第11作。「東宝チャンピオンまつり」の1本として上映。短縮再編集版ではない、2年ぶりの新作ゴジラ。シネマスコープ。
円谷英二亡き後、東宝経営難による低予算の中、監督を務めたのは坂野義光。
深刻化する公害(環境)問題を背景に。ヘドロの怪獣ヘドラが東京を襲う。迎え撃つゴジラだが・・・。第一作目が持っていたメッセージ性を取り戻した内容。
空を飛ぶゴジラに日本では賛否両論、しかしアメリカでは大絶賛。
  

感想

人類の進歩と調和。あの大阪万博が噓のよう、万能と謳われていた科学が、バラ色の未来世界が一変しました。光化学スモックにヘドロ、土壌汚染。高度成長の歪が、牙を剥きだし始めた昭和40年代後半。スモック警報に不安を覚えながら、下校してた記憶があります。

その頃観た映画がこれ、ゴジラ対ヘドラ。確か珍しく封切で、それも超珍しく日比谷辺りに連れて行ってもらってみたような・・・。なので、かなり印象深かったはずなのですが、ゴジラが空を飛んだことぐらいしか覚えていません。

今回、レンタルで見直してみて納得。ちょっと小学生にはサイケデリック文化や若者のモラトリアムはわからないかもしれません。アングラバーとかも、ただ不良がいくところぐらいにしか思ってなかったし。それにこのあと日本は、あさま山荘(’72)あり、横井さん(’72)あり、オイルショック(’73)あり。事件がテンコ盛りで、不安がいつも上書きされていたからなぁ。

冒頭、麻里圭子さんの「かえせ! 太陽を」という主題歌。これが凄い。
「水銀 コバルト カドミュウム ナマリ 硫酸 オキシダン シアン マンガン バナジュウム クロム カリュウム ストロンチュウム 汚れちまった海 汚れちまった空♪ 」
海辺を埋め尽くす汚染物資をバックに、グループサウンズなのか、フォークなのか、ちょっとサイケも入ったような曲に圧倒されます。
オキシダンってなに? バナジュウムは体にいいのではないのか? 平成になって、日本の川や海はずいぶんきれいになりました。

子供向けは飽きた。この辺で原点回帰、初めのゴジラが、戦争や核をテーマにしていたように、この辺で社会派ドラマにしよう!・・・というわけで取り上げた問題が、その頃旬だった公害らしい。子供には難解としなければならなかったのかも。

ゴジラ対ヘドラは、「東宝チャンピオンまつり」として上映。同時上映は『帰ってきたウルトラマン』『昆虫物語 みなしごハッチ』『いなかっぺ大将』『わらしべ長者』です。(何時間かかるんだww)

突然、夕日をバックに現れるゴジラ。シネマスコープのアスペクト比、凄い! 完全に善玉(いいもの)、むしろゴジラは地球を汚す人間を叱ってます。子供だけはゴジラが仲間とわかっているという流れは、ガメラの影響か。カモン、カモンと外人レスラー並みに全身でヘドラを挑発するゴジラ。わかりやすい動き(中島春雄節)は残ってます。

公害が生んだ忍者怪獣。名前もヘドラと直接的。合体を繰り返し、工場の煙を飲み込んで大きくなるヘドラ。骨のないドロドロ、その掴みどころの無さにゴジラは苦戦します。赤く左右に開く目が怖い、あのキャラの原型か。形が変形、進化するところはシンゴジラの原型か。
 

何度かあるゴジラとヘドラの対決シーン。東宝が傾いていて予算は最小限以下。ゴジラとヘドラの対決シーンは多いですが、建物が壊れるシーンは少ないです。自衛隊が用意したヘドラ乾燥装置、北海道の農家が使っているものを参考にしたって、本当なんだろうか? 正常動作をしない乾燥装置でしたが、ゴジラとの合わせ技で勝利・・・、かと思いましたが、そう甘くはありません。逃げるゴジラを自ら放つ放射能の反動で飛ぶゴジラ、うまく丸まってバランスが良さそう、本当に跳べそうです。
シェーするよりまとも。
 
映画中盤。富士山麓に集え、若者100万人ゴーゴー。実際に集まったのは100人。遠巻きに見ている地元民。

「しょぼくれたってしょうがないぜ、もう緑の大地は俺たちの胸の中にしかないんだ。歌おうみんな、踊ろうみんな。せめて俺たちのエネルギーを宇宙にぶちまけよう!」「よし、やろう!!」

焚火を囲み、踊る若者たち。じっと見てる地元民。これだけみてると、地元の人の方が真面に思えます。この後、上空をヘドラが飛んで、みんな骸骨になってしまうのですが。

ゴーゴー喫茶で踊る若者たち、頭が魚に。LSDの幻覚を表現しているのでしょうか? 子供の頃は笑ってみてたに違いない。

薀蓄

大きな社会問題であった公害問題を前面に打ち出し、特に当時話題だった「四日市コンビナートの工場煤煙」、「田子の浦港ヘドロ公害」を題材に採った。
坂野義光により書かれた本作の続編となる『ゴジラ対へドラ2』がプロットとして存在する。
娯楽の多様化とテレビの台頭による「邦画の斜陽」は、当時の東宝本社に深刻な制作本数の減少と売上の悪化をもたらし、「何をやっても当たらない」という状況となっていた。また、東宝特撮映画の顔であった特技監督の円谷英二が前年初頭に死去したうえ、主要スタッフのほとんどが東宝を辞職もしくは異動させられるなど、当時の東宝特撮の現場はほぼ崩壊状態にあった。
冒頭のヘドロの海が延々と写されるのも「公害」を訴える演出意図によるものであり、坂野は「あれだけ強調してやっとわかるんじゃないかと思う」と語っている。汚染された海面は特撮大プールに本物の魚や各種素材を混ぜ込むことで表現したが、撮影当時の季節ゆえに腐敗が速く、悪臭がものすごかったという。
俳優は極力少人数として主演の矢野博士役を務めた劇団民藝所属の山内明ら以外は出演料の少ない新人を中心に起用し、本編セットは「矢野博士の研究室」と「ゴーゴー喫茶」の2つだけに留め、残りはすべてロケ撮影とした。
制作期間は5週間しかなかった。ラストの決戦シーンは、坂野と中野が同じ特撮第11ステージのセット内で互いに1日に30カットほどの撮影をこなすという、驚異的なペースで進行したという。また、自らがスキューバ・ダイビングの免許所持者であり、東宝内で水中撮影班を率いていた坂野は、矢野博士の潜水シーンの吹き替えも行っている。
本作では飛行形態となって逃げるヘドラをゴジラが追う際、「ゴジラが口から熱線を放射する反動で後ろ向きに空を飛ぶ」というシーンが描かれて話題となったが、この描写のために撮影スケジュールには支障が生じている。「ゴジラの飛行」は、監督である坂野と特撮班のリーダーである中野が「テレビ時代のスピード感を」と提案して採り入れたものだが、これに対してプロデューサーである田中は猛反発した。このシーンでの田中と坂野による論争を含め、低予算での制作体制が現場にさまざまな軋轢を生み(本編班で助監督を務めていた川北は、正統派怪獣映画としては本流から外れるこの「公害テーマ」には違和感があったと述べている)、撮影中途で制作予算が尽きてしまった。このため、東宝本社は本作の制作を打ち切ることを決め、撮影を中止するよう現場に伝えた。そこでスタッフは、前作まで本編演出の要として「ゴジラシリーズ」を支えてきた本多猪四郎に中途までのフィルムを観てもらい、監修してもらう形でなんとか本社から制作再開をとりつけた。こういう役割を本多に依頼しなければ、到底再開は無理な状況だったという。
こうした最中、田中が体調不良で入院した。坂野はこれを幸いと、その間に東宝の重役、宣伝部長、撮影所所長らから「ゴジラの飛行」の許可をとりつけ、劇中に盛り込んだ。中野によると、この「ゴジラの飛行」は内外でも賛否両論だったが、アメリカでは大絶賛されたといい、宣伝部長や撮影所所長らも「スピード感が出ていいんじゃないか」と褒めてくれたという。このシーンは坂野によると、「カットしても前後がつながるよう撮った」とのことであるが、田中が退院した時点ではもう変更できない段階だったとのことで、試写でこれを観た彼は「ゴジラの性格を変えてもらっては困る」と立腹し、しばらく坂野と口をきかなかったそうである。後年、坂野は田中が「あいつには二度と特撮映画を監督させない!」と激怒していたことを人づてに聞いたと語っている。なお、坂野は本作の続編企画を立てていたが、実現しなかった。
坂野は本作の主題歌「かえせ!太陽を」の作詞も手掛けているが、この歌の「鳥も魚もどこへ行ったの」や「野も山も黙っちまった」などの詩文は、当時アメリカの反公害運動のテキストだった『沈黙の春』(著:レイチェル・カーソン)からイメージをとったものだった。

資料

原題 ゴジラ対へドラ
英題 GODZILLA vs The SMOG MONSTER
惹句 流れ星でやって来た公害怪獣ヘドラ!街を森をふみつぶし 二大怪獣が大決戦!
脚本 馬淵薫、坂野義光
原案 坂野義光

監督 坂野義光
制作 田中友幸
指揮
音楽 眞鍋理一郎
主題 かえせ! 太陽を(麻里圭子 with ハニー・ナイツ & ムーンドロップス)
撮影 真野田陽一
編集 黒岩義民
美術 井上泰幸
特殊 中野昭慶

俳優 矢野徹 / 山内明
 ・・・海洋生物学者、駿河湾の調査中にヘドラに遭遇
俳優 矢野研 / 川瀬裕之
 ・・・徹の息子、小学2年生
女優 矢野敏 / 木村俊恵
 ・・・矢野の妻、研の母
女優 富士宮ミキ / 麻里圭子
 ・・・毛内行夫の恋人、アングラバーの歌手、公害反対活動家
俳優 毛内行夫 / 柴本俊夫
 ・・・敏江の弟、19歳、ヘドロ弾を浴びて白骨化
俳優 伍平爺さん / 吉田義夫
 ・・・漁民
俳優 ヘドラ / 中山剣吾

会社 東宝
配給 東宝
公開 1971年7月24日
上映 85分
国旗 日本
言語 日本語

費用
収入 3億円


  

本編を観るには・・・

参考・引用

ゴジラ対ヘドラ – Wikipedia
田子の浦港ヘドロ公害 – Wikipedia
『ゴジラ対ヘドラ』がすげぇ!──日本のヤバい過去を具現した怪作|今日のおすすめ|講談社BOOK倶楽部
『ゴジラ対ヘドラ』(1971)最大の異色作。低迷していた中で制作された奇跡の一本。 良い映画を褒める会。/ウェブリブログ
『ゴジラ対ヘドラ』、これは繁栄の傷が生んだ「兄弟」の戦い – LOGのハウス

 

更新履歴

2稿)2021年04月27日、シネマドローム
初出)2017年09月05日、シネマドローム

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